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【道元と宇宙】 11 道元の言葉の意味は、道元の記憶


13年ぶりに読む道元和尚の言葉は、
凡人の理解を超えている。
それでも、二度目ということで、
わからないなりに、何となく馴染みを感じた。

道元の言葉を読むと、
全員「意味がわからない」という。
当たり前だ。
なぜなら、前衛というものは、
一般人が思いもつかないほど先端的な
知的営為を積み重ねてきたのだから。

そもそも「意味」とは何か。言語学者で唯一、意味を論じたのは鈴木孝夫だ。
言葉の意味は、
「ある音声の連続(イヌならイヌということば)と結びついた,
ある特定個人の経験や知識の総体である。」と定義した。
(鈴木孝夫著「ことばと文化」)

この定義は、
言葉は記号にすぎず、
意味を呼び覚ますものととらえる。

そして、意味は、
個人が蓄積する記憶である、とする。
だから、個人の意識の中で意味は発達する。
また、日常的に意味の取り違え(勘違い)がおきる。

道元の言葉の意味は、
道元の経験と知識の総体を意味とする。
道元の言葉の意味をわかるためには、
彼の経験と知識がどうだったかを、
できるだけ詳細に知る必要がある。

 自分勝手に想像力をはたらかせても、
道元の意味に近づけない。
常識的な意味をあてはめてみても無駄だ。
道元は常識外のことを経験しているのだから。
どれほどの高僧であろうと、
道元の記憶に辿り着かない限り、
本当の道元に出会うことはできない。

僕は意味がわからなくても、
ゆっくり丁寧に読み始めた。
それはまるで、トランプの神経衰弱だった。
ある言葉の意味がわからなくても、
とりあえずそのままに放置しておく。
そして、別のところで、
同じ言葉や類似の場面に出会ったら、
文脈や状況を比較する。
そのような、一見遠回りなやり方で、
少しずつ馴染みの言葉を増やしていく。

 道元本人の文章だけを、
丁寧に、くり返し、読み返すことで、
道元の様々な記憶を共有し、
それを相互にネットワークさせ、
道元の経験や知識に迫っていく。
そうしていくうちに、
自分の中に道元が現れてきて、
自分のことのようにわかり始める。

そのためには、
道元本人の言葉であること。
改ざんや偽書でないこと。
嘘がないこと。
が大事である。

こうやって読み進めているうちに
僕はもっと重要なことに気がついてしまった。



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