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自転車と駐輪台の恋について


駅前の駐輪場で、とある自転車と駐輪台が恋に落ちた。たくさんの話をし、花束みたいな恋をした。

ある日、自転車が現れる前に駐輪場は満席になってしまった。急いでいた自転車の主人はほんの少し考えて自転車を駐輪場の壁に立て掛け電車に乗った。

駐輪台は遠くから声をかけた。「大丈夫かしらこんなことして、私心配だわ。」「しょうがないさ人間だもの。事情があるんだし、誰の迷惑にもなってやしない。半日隠れてりゃいいだけさ。」と話したのも束の間、自転車は鎖の鍵を切られ撤去された。

それ以来主人は駅までの移動を電動キックボードに変え、二人の恋は終わった。

自転車はきいきいと泣くようになった。

駐輪台は、ご利用ありがとうございましたの声が悲しそう、と噂になった。今日も駐輪場からの景色、向かいのホームや路地裏の窓そんなとこにいるはずもないのに、青いGIOSの姿を探している。




という、ショートショートを描いてみました。

これは僕の身の回りに起こった事実笑。

読んでくださりありがとうございました。



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