書評・ケイト・モートン『湖畔荘』青木純子訳、創元推理文庫、上下巻
この優れた現代のミステリーを読んでわかることは、奇想天外なトリックを捻り出さなくても、語りの豊かさによって、最高級の推理小説がかけるということです。
いろんな偶然が起きても、それを必然と感じさせてしまう力が、この物語にはあります。
ああ、いいものを読んだな。
これが本書の感想です。
真相を知った後で、もう一度読み返したくなる。
そう言われる本はよくありますが、実際に読み返すということはなかなかありません。だって、次に読みたい本があるからです。
でも、本書はもう一度、読んでみることにしました。
物語の過程をゆったりと楽しめるのに、アッと驚く結末が用意されているのですから、すごい本です。
また、読むべきリストの著者が増えてしまいました。
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