見出し画像

精神的貴族とのお茶会

大学時代の友達と久しぶりに会った。どれくらい久しぶりかと会話履歴を見てみたら、なんと今年の2月以来だった。たいていふた月に一度会っていたのだが、GWに会う約束をしていたのに、私が体調不良で反故にしてしまったのだ。でもなにも言わずにいてくれた。

彼は紅茶とバラを愛し、フランス語も嗜む精神的貴族である。ぽやぽやとわかめのように波に揺られて生きている私に対し、彼は溢れる教養で知的に学び、働き、遊んでいる。私には到底真似できないが故に、尊敬している。

知識欲がなく、大学で学んだことも本で読んだことも、ところてんのように頭から抜けていく私と話すことは彼にとって楽しいのか、常に不安だが、大学を出て2年以上も個人的に会ってくれるのだから、何らかの楽しみを見出してくれているのだろう。と、思うようにしている。

知識欲に溢れた彼だが、ファッションは苦手らしく、私と会うとよくユニクロやGUで服を買いたがる。普段あまり買い物に行かないのと、人の意見を聞いた方が買いやすいから、と言っていた。今日もマネキンを見ながらチェックのズボンを買っていた。

ユニクロでは最近、生花を売っている。
彼は家に花瓶があるからと、白いリンドウを一輪買った。オレンジのスプレーカーネーションに目を奪われていた私は、リンドウ、しかも白、というセンスには敵わないと思った。大人だ。
白いリンドウは、写真で見せてもらった花瓶(バーミヤンで紹興酒を頼むともらえるという、白地に青の絵付のもの)に、いかにも似合いそうだった。

エスカレーターに乗ると、彼のリュックに小さな金色のキーホルダーがつけられていることに気づいた。よく見ると、ジョウロだった。「ガーデニング愛好家にはぴったり」と彼は笑った。センスのいい持ち物だと思った。

マルイの中のジェラート屋さんで、ジェラートと紅茶を頼んだ。
彼が最近妄想している物語の話を聞かせてくれた。壮大だったので驚いた。ChatGPTで書いてみようかと言っていて、時代を感じた。

私は彼のことが、恋愛感情ではなくただ単純な意味で、大好きなのだが、人に言うと誤解を招くので誰にも言わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?