わたしきゅうくらりん
目が覚めても布団から起き上がれない日が3日続いた。
昼過ぎまでずるずると寝て過ごし、朝だか昼だかわからない飯を食い、無音になると泣きだしそうなので音楽やYouTubeを流しっぱなしにして、時間が過ぎるのをただ待つ。
いまは、『君の名前で僕を呼んで』という洋画を流している。5,6年前に当時の友達と観に行った映画だ。
夏のイタリアの風景がきれいだった、ということしか覚えていなかったが、音楽もいい。冒頭の、手書き風のクレジットと共に流れるピアノ曲もいいし、主人公のエリオが弾くピアノやギターもいい。私は音楽のいい映画にめっぽう弱い。
用事があって母に電話をしたが、かけた途端に口を開くのが億劫になった。母の他愛ない雑談にうん、うん、と消え入りそうな声で相槌を打っただけで、本来の用事はひとつも話せずに、ごめんねと電話を切った。
こういう状態はときどき訪れる。慣れているので自分ではなんとも思わないが、ありのままを伝えると人には心配されるから、普通ではないのかもしれない。
頭の中心がじんわりと痺れているような気がする。眠いのに目をつぶっても眠れない。憂鬱時の頓服薬なんてどうせ効かないから飲む気にもなれない。
「中」にした扇風機のぬるい風。汗をかいた麦茶のコップ。蝉の声。読みさしの江國香織と途中で止めた映画。怠い夏の午後。
以前から、洋画を観ると、英語が半分も聞き取れないことに劣等感を覚える。
絵だって10年描いても思い通りに描けないし、こんな文章を書き散らしても作家にはなれないし、声優のトレーニングもやめてしまったし、いくらカラオケに行っても歌は下手だし、ギターも万年初心者レベルだ。
趣味が多くていいですねなんて言われるが、ひとつもものにできないならいっそ何もやらない方がマシかもしれない。ただ飽きっぽくて根気がないだけだ。
相変わらず頭の中がまとまらないので、サロメちゃんがカバーしていた曲の歌詞で好きなところを載せて終わりにする。
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