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ディズニーで訳もなく泣きだす女になりたくはなかった

昨日、夫とディズニーランドに行った。
年に一度のディズニーが我々の恒例行事なのだが、去年は私の体調不良で行けなかったので、二年ぶりだった。
クレジットカード会社の抽選に当たり、19時半から22時半までの3時間だけではあるが、少人数で貸し切りというものだった。

私はとても楽しみにしていた。ディズニーに詳しいわけではないが、ディズニーランドは大好きなのだ。ヨーロッパみたいな街並み。ミッキーの形の食べ物や、きれいな缶入りのお土産。頭に耳をつけて浮かれた人々。 12月だから、大きなクリスマスツリーも出ているだろう。夜に光り輝くツリーは、それはきれいだろう。
いつもは朝から遊びに行って、19時に花火を見て帰るので、夜のディズニーを楽しむのは初めてで、わくわくしていた。

下調べもしていった。以前ランドで食べたリトルグリーンまんが美味しかったので、ぜひもう一度食べようと思った。お土産は、ミッキーの形のマシュマロが入ったココアにしようと決めた。自分用には、リルリンリンの小さいぬいぐるみかキーホルダー。

ただ、その下調べのせいでつまずいた。
行ってみると、食べ物を出す店の多くは早い時間に閉店していて、リトルグリーンまんは買えなかった。ココアは、お土産屋さんをいくら探しても見つからず、店員さんに聞くと、品切れ中だと言われた。リルリンリンも、大きいぬいぐるみ以外は売り切れているようだった。

真冬の夜は当然寒く、暗いので自分たちがいまどこにいるのかわからず、入ろうと近づいたカフェは煌々と明かりがついているだけで閉店していた。

歩きながら突然、涙が出てきた。寒くて疲れてお腹がすいていた。すれ違う人たちには、夫が私を泣かせたと思われるんじゃないかと気がかりだった。
ぽろぽろと後から後から涙をこぼす私を見て、夫はうろたえながら、まだ開いている食べ物屋さんを見つけてくれた。とにかくあったかいところで座ろう。そう言って。

暖かい室内に入ると涙は止まった。レジに並びながらまぶたを拭って鼻をかんだ。ビーフシチューパイとフライドポテトを買ってもらって、半分こして食べた。パイは大きくてあつあつで美味しく、フライドポテトは280円なのにマックのMよりもたくさん入っている気がした。

楽しまなくちゃ、と気負いすぎていた。年に一度きりのディズニー、せっかく抽選で当たった貸し切り、忙しい夫が会議を休んでまで作ってくれた二人の時間。
それなのに何もかも思い通りにいかなくて、テンションは下がる一方。めいっぱい楽しみに来たのに、どんどん不機嫌になってしまう自分が嫌で泣いてしまったのだと思う。

私がごめんねと言うたびに、夫は「なんで~?」と言った。「かわいい写真いっぱい撮れたじゃん」とニコニコした。

年に一度しか行かないようなニワカには、夜のディズニーは難しいということがわかった。そして、下調べをするなら入念に(お店の営業時間やグッズの在庫状況まで確認)した方がいいし、そこまでできないなら下調べなんてせずに、行き当たりばったりで偶然の出会いを楽しんだ方がいいとわかった。少し賢くなった気がした。

そして、ココアもぬいぐるみも買えなかったけれど、驚異的に可愛いクッキー缶が手に入った。中身は友達に配って、缶は自分と夫の宝物入れにしよう。これから何を入れていこうか楽しみだ。

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