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【ぶらり散歩】薔薇と軍艦の横須賀を歩く

横須賀方面に出向く用事があったので、帰りにちょっと寄り道しようと思い、かねてより興味のあったヴェルニー公園へと赴いた。先月末に映画「沈黙の艦隊」(主演:大沢たかお)が封切られたことも頭のどこかにあったのかもしれない。

気温は20℃そこそこ。風はなくいささか肌寒い。小雨と、スニーカーのヘリで擦れて痛むアキレス腱だけが玉に瑕だが、概ね散歩日和と言って差し支えない日曜の午後だ。

海上自衛隊横須賀基地の港湾沿いに東西にへばりつくようにその公園はある。東側の入り口はは京急の汐入駅から徒歩6分ほど、西側はJR横須賀駅を出てすぐである。今回は汐入側から入って往復した。

ヴェルニー公園が最も輝くのは、5月中旬と10月下旬頃。園内の至る所に色とりどりの薔薇が咲き誇る。そして遠景には、対岸に停泊する海上自衛隊の物々しい艦船群。横浜の山下公園の薔薇と客船とは違ったコントラストが楽しめる。


公園中央から汐入方面の展望

戦艦に詳しくないのが残念だが、潜水艦2隻、護衛艦、そして巨大な空母「いずも」といった灰色で無骨な鉄の塊の頼もしさをバックに、公園の緑豊かで牧歌的な雰囲気が引き立つ。様々な年代のカップルや家族づれに混じって、時折在日米軍基地のTOMODACHIと思しき訪問者も見られた。

空母いずも

「いずも」を間近に臨むJR横須賀駅側には、大正時代にここ横須賀で建造され昭和18年に謎の爆発事故で沈没するまで活躍した軍艦「陸奥(むつ)」の主砲が展示されている。

陸奥の主砲
重さ約1トンの主砲弾

こんな巨大な鉄の塊をぶっ放す戦場の爆音と衝撃の凄まじさはいかほどのものだろう、、、と少し想像するだけでゾッとする。また、これだけ長身の主砲を搭載した陸奥本体のサイズやいかにと思い巡らしたところで、隣接するヴェルニー記念館にまさにその模型があるとの案内が目に入ったので、足を運んでみた。

ヴェルニー記念館
陸奥の模型

あんな巨砲がいくつも搭載されていた上に、石油プラントと見まごうほど複雑で重々しい設備が艦上に聳え立っている。。これが水に浮くというのだからどうにも不思議なものである。

実にこぢんまりとした室内に似合わず、吹き抜け部分に大迫力の鉄塊が鎮座している。こちらは拷問具かと思いきや「スチームハンマー」というもの。蒸気を動力として真ん中のハンマーを持ち上げてから落下させ、下に敷かれた金属を鍛えるためのマシンだそうだ。江戸幕府が横須賀に製鉄所を建造する際にオランダから輸入されたというからかなりの年代物。これを目にした江戸庶民は一体なんだと思っただろう?

スチームハンマー


この時期ならではのハロフィンのフォトスポットもあった。同じ地球上で時を同じくして実弾が飛び交い、殺し合いがリアルタイムに繰り広げられている地域がある一方で、平和一色に包まれたこの場所とボケまくった自分を申し訳なく思いつつ、周辺国とのキナ臭い関係式をふと思い起こすにつけ、本当に余計なことはしてくれるなと密やかに憤りも覚えた昼下がりであった。


■ヴェルニー公園
〒238-0042神奈川県横須賀市汐入町1丁目6
オープン:24時間

◽️ヴェルニー記念館
入場無料
月・木・金 16:30-19:30
土・日 9:00-17:00

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