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【ぶらり散歩】東京桜ホッピング総集編2024

春=桜、である。今年は桜の名所を巡って都内を飛び回ってみた。桜の開花情報に注目しているとこれまで知らなかった新しい発見もいくつか。

例えば、2月にいち早く満開を迎える寒緋桜という種類があること、桜=ソメイヨシノとばかり思っていたが、オオシマザクラという似て非なる種も同時に見ていたのだということ。そして、何より東京にはいかに多くの花見スポットが存在しているか、ということ。

冬から春に向けた時の移ろいとともに、ボクが捉えた様々な「桜モーメント」をお届けしよう。

🌸荏原神社の寒緋桜(2月14日)

別記事でフィーチャーしたここの桜、40数年の人生で初めて見たが、可憐さにもほどがある!濃いピンクの「小宇宙」の合間を蜜を求めて飛び交うメジロの声や姿とも相まって、愛らしくピースフルな情景が広がっていた。たもとで微笑む恵比須様のご機嫌なこと!

ソメイヨシノが待ちきれない方は、ぜひ寒緋桜のあるスポットを探してみてはどうだろう?身近な場所にこんな思いがけない「ボーナス」が潜んでいるやもしれない。


🌸三浦海岸の河津桜(2月15日)

例年、ソメイヨシノ満開の前夜祭的な感覚で訪れるのがこの場所。今年は日中に訪れるタイミングを作れなかったが、幸いライトアップしてくれていたことで、逆にこれまで知らなかった幻想的な表情に出会うことができた。このタイミングでは蕾も多く5分咲きといったところだったが、暗闇にぼうっと浮かぶボンボン状の薄ピンクの花に心躍らされた。

晴れた日は、京急の線路沿いに続く並木道を行けば、青い空のもと、菜の花の黄色と河津桜のピンクが織りなすハーモニーを同時に楽しむことができる。


🌸豊洲公園のソメイヨシノ(4月1日)

当初25日頃が満開と予想されていたが、ご存じの通り気象変化でこれが狂って、1週間ほど後ろ倒しとなった。江東区豊洲公園のソメイヨシノやオオシマザクラは4月に入ったこの日、生まれたての柔らかそうな花弁をほろほろと広げつつあった。

芝生の上でランチを楽しむ人々、遊具で遊ぶ子供たちを見守りながら井戸端会議に花を咲かせる奥様たち、それに満面の笑みを浮かべてシャボン玉を撒き散らしながら小走りする女の子がいるものだから、どうしたって「平和だな〜」と思わざるを得ない。え、いいんですよね?と確認したくなるほど。



🌸辰巳の森緑道公園のソメイヨシノ(4月3日)

豊洲のお隣、辰巳。ドラマHEROの聖地でもある並木道。訪れた日は生憎の春雨だったが、両脇にこれでもかと延々続く桜並木を満開に晴天下で見たら、感動はどれほどのものだろう。

ほのかなピンクのソメイヨシノに挟まれつつ、時折顔を出すオオシマザクラも同時に開花していた。オオシマザクラは、ソメイヨシノのお母さん(お父さん?)で、ソメイヨシノよりも大振りの純白な花が特徴。ソメイヨシノと同時期に開花するが、こちらは大きな葉も開くので、ぱっと見で緑が多い樹がオオシマザクラと見分けがつく。ちなみに、桜もちを包むのに使われているのはオオシマザクラの葉である。


🌸目黒川のソメイヨシノ(4月3日)

目黒川の桜というと、池尻大橋付近のショットが世界的に有名だが、最近かつてほどの迫力が失われてややガッカリスポットになってしまったのをインスタで見た。

ボクが足を運んだのは、同じ目黒川でも五反田駅付近の五反田ふれあい水辺広場。18:50〜19:00の10分間だけカラフルに変化する灯りでライトアップされた桜並木を楽しめる。その他の時間は灯りがないわけではなく、白いライトで照らされておりそれも十分に美しかった。


🌸靖国神社と千鳥ヶ淵のソメイヨシノ(4月5日)

海外にもよく知られた憧れの花見スポットで、大勢の外国人観光客で溢れていた。何の神社かは言わずもがなで、ただ桜の美しさに見惚れる前にいつも以上に深く首を垂れてお詣り。

どこか厳粛な重々しさを感じながら、標本木を含め満開となったソメイヨシノに圧倒される。お年寄りの集団を見かけると、何となし、どんな思いでいらっしゃるのだろうと気になってみたり。

この日は、九段下駅近くの専修大学の入学式ということもあり、特に人出が多かった。



🌸隅田公園・浅草寺界隈のソメイヨシノ(4月5日)

所変われば品変わる。浅草の屈託のなさはいつ来ても心がほころぶ。特に今年は、スカイツリーを背に桜の下で品よく宴に興じる会社員のグループが見られて、何だか懐かしいものを久しぶりに見たような気分だ。

浅草寺や浅草神社の桜も、仲見世通りの両脇にぶら下がる造花の桜も、迫力あり可愛くもありオツである。この時期に来日した外国人の嬉しそうなこと!ホント、ラッキーだね!


🌸二重橋前のイチヨウ(4月10日)

この名所は知らなかった。この桜の種類も知らなかった。

冬に散歩した際にはまばらな松林に寂寥感を感じたものだが、たまたまフラフラしていたら、ふと視界に桜らしきものが入ったので試しに再訪したら...

この桜、イチヨウ(イチョウではなく、一葉)というサトザクラというものの仲間らしいと後で知った。咲き方が何というかゴージャスで、ポップコーンが鈴なりになっているようにボリューム感がある。

下に並ぶベンチには女性たちが思い思いの格好で寛いだり、女子トークを繰り広げていたり。実は結構穴場なのではなかろうか。


🌸日本橋さくら通りのソメイヨシノ(4月10日)

冬にイルミネーションを求めて訪れて以来となるこの場所が、今シーズン東京での桜の見納めとなった。

東京駅八重洲口から日本橋高島屋に抜ける通りにアーチ状に覆い被さるソメイヨシノはシンプルながら見事にライトを浴び、下を行くボクたちをまるで祝福してくれるかのようだ。



さて、お届けした桜散歩はいかがだっただろうか?
花の命は短くて...限られた時間を縫ってという割には思いのほか多くのスポットを巡り、海外にもその様子を発信することで、改めてこのいかにも日本らしい春の歓びに感動と感謝を禁じ得なかった。

一方で、皆さんはご存知だろうか?ソメイヨシノは今、絶滅の危機にあるということを。

道中、大胆にも枝の途中からバツンと切り取られたソメイヨシノを見かけることがあった。何でそんな酷いことをするのかと思ったが、延命のためのやむなき処置だという。

ソメイヨシノは、戦後復興のシンボルとして植樹されたものの、元は野生種ではなく人工的な交配により創り出されたクローン。であるが故に病気に弱かったり、適切に剪定なされないとすぐに元気をなくしてしまう繊細な生き物なのだ。

そこには人の目配りと手入れが欠かせず、今全国各地で保全活動が繰り広げられている。キリンビールから発売された新ビール「晴れ風」では、缶に印刷されたQRコードを読み取るだけでそうした活動に寄付をすることができる。

ソウルフラワーであるソメイヨシノを愛する日本人の一人として、わずかながらでもできることがある。

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