サマーインターン課題設計の裏話「BtoBデザインの醍醐味を味わってもらうには?」
こんにちは、篠原(@shinopara_jp) です。サイボウズという会社でデザイナーとして働いています。
サイボウズのサマーインターンが今年も始まりました!私はここ数年デザイン&リサーチコースの企画と運営を担当しています。
企画の一環で、インターン生に取り組んでもらう課題作りも行っているのですが、これが結構難しくてかなり頭を悩ませられました…。
他社(特にBtoB企業)でサマーインターンの課題作りを担当する方も同じような悩みを抱えているかも?と感じたので、課題設計にあたって直面した壁や、乗り越えるために工夫したポイントを裏話的に紹介したいと思います。
学生がサマーインターンに求めることとは?
サイボウズでは毎年サマーインターン後に学生へのアンケートを実施しているのですが、いつも挙がるのが「実際の業務を体験したい」という声です。就職を考える上で業務を事前に体験してみたいと思うのは当たり前ですよね。
では、実際の業務を体験して本質的に何を知りたいのか?掘り下げてみたところ「サイボウズならではのデザインプロセスやチームワークを通してサイボウズ製品をデザインする醍醐味を味わいたい。そして、自分のやりたい分野か確かめたい。」ということが分かりました。
「サイボウズ製品をデザインする醍醐味」とは?
サイボウズ製品をデザインする醍醐味として頭に浮かぶのは、多様なユーザーを考慮しつつ、「チームワークあふれる社会を創る」デザインに挑戦できるところです。サイボウズ製品を利用するユーザーがどのように多様なのか列挙してみました。
役割(管理者・エンドユーザー・パートナー企業)
習熟度(初心者・中級者・上級者)
既存顧客・新規顧客
業界・業種
多言語・年齢・性別・障害
正直なところ、多様なユーザーを考慮してデザインを考えるのは容易ではありません。新規顧客にとってメリットだと思っていたことが既存顧客にとってはデメリットになったり、管理者にとって嬉しい改善でも、エンドユーザーには逆だったり…。
しかし、多様なユーザーに響くポイントを見つけて改善案を作ることができた時、やりがいと面白さを感じるところが魅力でもあったりします。
その醍醐味を学生にも味わってもらいたい!と思い、課題のプランニングを始めたのですが、3つの壁が立ちはだかりました…。
立ちはだかった「3つの壁」
どんな壁に直面したのか紹介したいと思います。
1️⃣3日間のオンライン開催で完結する
一つ目の壁は、3日間という短期間かつオンラインでサマーインターンを完結させることです。
学生にサイボウズ製品をデザインする醍醐味を味わってもらいながらアウトプットまで作り切ってもらうこと。メンター達が通常業務と並行してサマーインターンに従事できること。この2つを考慮した課題やワークスケジュールを練り上げる必要がありました。
2️⃣製品の利用経験がない学生がほとんど
二つ目の壁は、学生はサイボウズ製品の利用経験がほとんどないということです。そもそも就業経験が少ない学生にとって、BtoB製品であるサイボウズのサービスは身近な存在ではありません。
サイボウズ製品をデザインする醍醐味を味わってもらうためには、製品を触って、ある程度製品知識を身につけてもらう必要があります。いかに製品を体験してもらうかが課題でした。
3️⃣学生にとってBtoB製品が直面している問題は馴染みがなくピンとこない
三つ目の壁は、BtoB製品が直面している問題を自分ごと化して捉えるのが難しいという点です。サイボウズ製品にはさまざまなユーザーやステークホルダーが存在します。それらの人々が抱える仕事上の悩みや困りごとというものは、就業経験が少ない学生にとって共感しづらい点が多いと感じました。
困りごとや悩みごとに共感し、自分ごと化して捉えてもらうための工夫が必要でした。
壁を乗り越えるために工夫したポイント
1️⃣「学生の要望・企業の要望・コスト」の3つのバランスをとる
3日間という短期間かつオンラインでサマーインターンを完結させるために意識したのは「学生の要望・企業の要望・コスト」の3つのバランスです。それぞれが重なる部分を理想として課題を練ることにしました(下図左)。ここで一番避けたいのは、企業側の要望とコストのみが重なるNGパターン(下図右)です。
理想の部分を実現するために具体的に行ったことは以下の3つです。
一つ目は業務で取り扱うテーマをベースにした課題の設定です。サイボウズ製品をデザインする醍醐味を味わってもらうには、日頃デザイナー達が取り組んでいるテーマにチャレンジしてもらうことが一番。学生でも3日間で取り組めそうなテーマを選んで課題に落とし込みました。(課題の詳細について紹介すると長くなるので割愛します。)
二つ目は3日間で完走できるスケジュールの整備です。アイデアを形にして最終発表までやりきれるように社員からのレビューを細かく設定しました。また、「もくもくタイム」と呼んでいる集中作業時間では自由に出入りできるZoomを用意して、質問があればいつでも社員に質問できるようにしました。
ただ、このようなレビューの回数やサポート体制だとメンターに過度な負荷がかかるのでは?と感じたため、三つ目としてメンター1人に負荷がかかりすぎない役割分担をしました。具体的には、メンター、サブメンター、企画・運営・司会、レビュー協力の4つで役割を分担しています。
メンター(1名):ワーク・レビュー時のフィードバック担当
サブメンター:もくもくタイム時のサポート担当
企画・運営・司会:課題設計・当日の運営とファシリテーション担当
レビュー協力:レビュー時のフィードバック担当
今までは大半のタスクをメンターが担当していたのですが、それらを分割することで1人にかかる負荷を分散させる狙いがあります。
正直なところ、メンターに負荷がかかりすぎない役割分担はまだまだ改善の余地があると感じています。そのため、来年以降も引き続きベストな形を探っていく予定です。
2️⃣製品に触れる事前課題を用意
製品の利用経験がない学生がほとんどのため、サイボウズ製品に触れる事前課題を作りました。事前課題をkintoneという製品内で行っています。
事前課題内容は以下の4つです。全部合わせて1〜3日で完結できる量と難易度にしました。
サマーインターンの課題確認
kintone紹介動画の視聴
kintoneでアプリを作成
FigmaでkintoneのUI模写
kintoneを使った事前課題は昨年も出題しているのですが、学生からはkintoneについての知識や理解が深まったという感想をいただいています。
3️⃣課題で扱うペルソナの1人を学生に近い人物にする
インターンの課題で扱うペルソナのうち1人を学生に近い人物にすることで、より問題を自分ごととして捉えられるようにしました。
4️⃣最後の駄目押し!予行練習を実施して確認・最終調整
本当に3日間でサマーインターンができるのか?を確かめるために予行練習を行いました。インターン生役として新卒デザイナー2名に協力してもらい、本番さながらに3日間連続でワークを実施。課題説明の仕方や、ワークのファシリテーションなど細かい部分を確認し最終調整を行いました。
デザイナーを目指す学生のより良い選択のために
なぜここまでサマーインターンに力を入れるのか?それは「デザイナーを目指す学生により良い選択をして欲しい」という思いからです。
これからデザイナーとして何をデザインしていくのか?その選択肢の一つとしてBtoBデザインがあることを多くの学生に知ってもらいたいなと思っています。
さまざまな選択肢の中から、自分が本当に取り組みたい分野がわかれば、より納得した就活ができるのでははないでしょうか。
正直なところ、BtoBビジネス領域にデザイン業務が存在することについて、まだまだ認知が学生に広まっていない状態だと感じています。
ですので、サマーインターンをきっかけにBtoBデザインの醍醐味や面白さを知ってもらい、選択肢の一つにしていただけたら嬉しいなと思っています。(最終的にサイボウズに入社してもらえるともっと嬉しいです…!)
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