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物語綴り

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2021年9月の記事一覧

「月が綺麗ですね」
なんとなく思ったことを言ったら、君の顔が赤くなった。あぁ可愛いな。思わず口から出そうな言葉を飲み込んで、緊張しながら手を取った。
ずっといたい。初めて思ったこの気持ちは、何年経っても色褪せない。今日も君と同じ時を過ごせることに幸せを。

それは唐突にやってくる。まるで嵐のようにいきなりやっては去っていく。
それはとっても楽しくって周りの人も巻き込んで、素敵な時間にしていくの。皆を笑顔にするその人の周りには、沢山の人が集まってる。私もその1人。
さて、今日はどんなことをしてくれるのだろうとワクワクしている私がいる。

口いっぱいに広がる幸せの味。大好きで通りかかると思わず買ってしまう。
たまに食べるからこそ、より幸せを感じる。ゆっくりと味わうように、ひと口ひと口を噛み締める。
最後のひと口、名残惜しいけどこれでおしまい。次はいつ食べよう、そんなことを考える。今日も幸せをありがとう。

物語綴り

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ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつ。

一定のリズムで雫が落ちる。

ここは古い建物だから、強いが雨が降る時期は雨漏りなんてしょっちゅうだ。

どうしてもマイナスなイメージしか持てないものだけれど、静かに落ちるこの音はなんだか好きだ。

今日も外は強い雨が降っている。

また雨漏りがするだろう。その音に私はきっと耳を傾ける。

物語綴り

物語綴り

カラカラと思考が空回る。
思い起こすと後悔ばかりが浮かび上がる。もう考えることなんてないのに。

傍らに眠るシロを撫でる。毛の生え変わりだからか、白い綿毛のようなかたまりがふわふわと落ちる。
いつか子供の時に流行ったケセランパセランのようだと働かなくなった頭に浮かぶ。
「君が幸せを運んでくれるといいのに」
なんて力無く笑ってみる。

もう戻らない日々を思って。

物語綴り

物語綴り

眠れない。

何度も寝返りをうつ。

今日も一日の終わりがなかなか訪れない。

身体は疲れているはずなのに、思考はクリアだ。

今日もきっとしばらく眠れないだろう。

眠ることを諦めてみる。ベッドから降りて窓に近づく。そっとカーテンを開けて月の光を浴びる。

静かなこの時間を手放すのが惜しくなる。これだからどんどん眠ることが下手くそになるんだ。今日はここで布団に包まって眠ろうか。

自分だけに降り

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物語綴り

ゆっくりとだけど確実に亀裂の音が静かに響き渡る
それはきっと崩壊の前触れ
何かをすれば食い止めることは出来るかもしれない。だけれどもその何かで崩壊が進む恐れもある。
僕は何を選ぶ?