【コラボ小説「ただよふ」番外編】陸《おか》で休む 4 (「澪標」シリーズより)
澪さんの休みの日と、息子の航平の海外出張が重なってしまったので、弟の千洋の運転で母がいる介護施設に向かった。僕たちは後部座席に並んで座っていた。
「──航さんからエルバヴェールの香りがするの、まだ不思議な感覚になります」
澪さんがそう言うのも、無理は無かった。僕は元々、サムライ アクアクルーズを愛用していた。匂いに敏感な妻に、澪さんとの交際がばれないよう、澪さんにもアクアクルーズを使ってもらっていた。僕がエルバヴェールを使い始めたのは、澪さんに会えなくなってからだ。
「