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【超短編】ピザ

「ふんふんふん♪」

年齢不相応に軽快なスキップで帰宅する。
左手にはビジネスバッグ
右手にはピザ。

給料日だった。

そして明日は休日。

恐らく今この瞬間だけなら
世界で一番幸せな気分を味わっているだろう。

安アパートに独り暮らしだが
寂しさは全く無かった。

それなりに友人も居て
仕事も順調だ。

全くモテない訳でもないので
ただただ人生を謳歌している30代だった。

ピザをコーラで流し込みながら
流行りのサブスクで映画を観る。

(読者も想像しただけで高揚するだろう。)

さて、帰宅し
洗濯などは明日の自分に任せて
今宵は楽しもうではないか!

照り焼きの匂いが部屋を漂い始める。
もう、我慢出来ない。

映画を決める前に1枚食べてしまおう。

そう思って、開けたのだが

中にはデブが入っていた。

「え?」

「え?」

そこにはなんと、デブが入っていた。

意味がわからないが
蓋を開けたら、いきなり出現したのだ。

「な、なんだお前!?」

「お前がなんだ!!!!!!!!!!!」

デブはいきなりキレた。

どうやらインターネット上で
デブの事をピザと表現する事があるらしい。

元となった発言は、ある掲示板の
ピザでも食ってろデブ」の一言が
スラング化し、浸透した様だ。

デブの事をピザと呼ぶ事で
逆に、ピザがデブに変化するという
怪奇現象に見舞われてしまった。

男はデブに押し潰され
敢えなく圧死しました。

ピザを食らう予定が
ピザから致命の一撃を食らってしまったのです。

あ〜あ。



という映画を観たのでした。
さて、どこまでが現実で
どこからが映画だったのでしょう?

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