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就活に不安を感じている皆さんへ②

学歴第一主義で採用する企業の論理

前稿で東大生や京大生がやすやすと内定を獲得するという話をしました。東大生、京大生でなくとも、主要な国立大学や慶応、早稲田のような大学の学生は、第一関門突破が容易であることは間違いありません。
企業は彼らに何を期待しているのでしょうか。
第一に「聞こえが良い」ということがあります。つまり企業の格が、社員の出身大学の格によって裏付けられると思っている傾向があります。ある企業の社長や部長が趙一流大学出であったら、「なるほど、そういう立派な学歴を持った人しか偉くなれない会社なんだな」と思わせられます。それが何代も続くと、その企業を志望する学生も覚悟が必要となりますし、超一流大学出でもよほど優秀でない限り、偉くなれないかも知れないということで、その企業にはより優秀な学生が集まってくると判断するのです。
第二に考え方の「論理性」があると期待しています。勉強が苦手な学生は「ものを考える力がない」と思われています。企業の業務は、社員が毎日朝から晩まで従事しています。大人の人間がそれほど時間をかけて営んでいることなのですから、浅い知識や経験であるはずがありません。新入社員はそれら先輩に一日も早く追いついて、役に立たなくてはならないわけですから、仕事の「覚え」が悪かったり、浅知恵でとんちんかんなことをやってもらっては困るのです。業務の先には必ず顧客がいます。その顧客の信頼を損ねるような仕事ぶりの社員はいてもらっちゃ困るというのが本音です。

期待外れの超一流大学出が多い

さてそれでは、そうして採用した大学出身の社員が入社後にどのような会社性格を営んでいるでしょうか。実は、超一流大学出の「期待外れ」の例は、超一流以外の大学出身者の「期待外れ」と同程度の比率であるのです。
超一流大学出は賢い」という思いは、多分世界中で共通していると思います。しかしその賢さの中身は何でしょうか。
当然ですが、18歳の頃の「試験の成績」が良かったら超一流大学に入学を許可されます。しかしその試験の中身は、ほとんど「記憶力」に依存してたくさん覚えることができた内容です。つまり「カシコイ」という言葉の実態は「賢明」ということではなかったのです。これは日本で特に顕著な大学入試の問題点です。
企業で働いてもらう時に必要な能力は記憶力だけではありません。例えば、分析力、創造力、洞察力、伝達力、理解力、共感力、思いやり、説得力、リーダーシップ、判断力、決断力、協調力、迅速性、文章力、表現力、話術、アイデア力、視野力(世界観)、社会性、責任感、やり抜く力等々、きりがないほどたくさんあります。さて、大学入試でこれらのどの部分が測られるでしょうか。全く適応していないことが明白です。
入社試験や適性検査や面接でも、これらを計ることは難しいでしょう。
ということは、超一流大学出を優先して採用することは、それほどには意味をなさないということなのです。
もちろん、超一流大学の中には、記憶力だけではなく上記のような資質を兼ね備えた学生もたくさんいます。ただ、その数は他の一般大学出の比率と変わらないわけで、超一流大学の学生をみほとんど無試験で入社させるのはリスクが高すぎると思うのです。
企業はその失敗を何十年も重ねてきたにもかかわらず、超一流大学出優先の姿勢を改めて来なかったのです。昔、パナソニックの創業者である松下幸之助氏が言いました。「学士さん(大学出のこと)を雇ったら、会社を潰さはりまっさかいな...
正に至言と言わざるを得ません。
私が28年間の会社生活の中で実感したのは、超一流大学出にありがちな現象として、「理屈をこねるのは上手だが、行動が伴わない」「行動を起こさない理由を述べるのは上手」という2点です。
ということですから、皆さん超一流大学出じゃないからといって就活で落ち込まないでください!!

大学と企業の関係

私が就活指導をしてきた中で、企業の人たちにずっと言い続けてきたのは、「大学のゼミの先生や就職支援担当の職員と、もっと密接に連絡をとって信頼関係を築いた上で、大学から学生の資質を良く見極めて紹介をするような環境づくりをすることだ」ということです。
企業の採用担当部門は、応募者を最終的に役員面接に上げなくてはならないという事情から、学生を選別する基準を学力や面接での評点に依存しがちです。ここでも「論理的」に選考しているのだという、「雇われ人的」な価値判断が優先しています。必然的に「一流大学出」で「快活で」「論理的に話す」「スポーツマン・ウーマン」が選ばれるのです。しかし、会社内には様々な部門があって、そんな人間ばかりで構成していたら、うまく会社が回らないのです。
出来れば、各部門の第一線で活躍している人たちが、「こんな若者と一緒に仕事がしたい」と思うような学生を採用するのが合理的だと思います。つまり、部門ごとに均等な資質を持つ人間を採用するというわけではなく、営業、製造、開発、総務、財務、経理、法務、広報など、職場に合ったバラエティに沿って、バランスを計りながら必要な人材を確保するのです。
部門の中には、リーダーもいれば、フォロワーもいる。快活な人もいれば、無口でおとなしい人もいる。ひらめきの人もいれば、じっくり型の人もいます。人材のバランスを計ってこそ、組織なのです。
他方、大学側にも一つ深刻な問題があります。それは、著しく社会に疎い教員が多くいることです。特に「研究大好き」で、学生の就職のことなど全く関心がないという教員です。大学生で研究者になりたいと思う学生は非常に少なく、ほとんどは企業に就職します。しかし教員の方は自分が最大の関心を持つ「研究」のことだけ考えていたいとなれば、就職希望の学生は不幸です。教員の指導やアドバイスなしに、無手勝流で就活に挑まなければならないわけですから、就職支援担当の大学職員の役割は非常に大きいものになるでしょう。

だから皆さん、就職試験というのは実力テストではなく、企業の一方的なわがままな選考なのです。落ちたからと言って、自分の実力がなかったなどと決して思わないでください。
様々な要素が絡み合って、あなたの就活を難しくしているのです。
しかしあなたがが活躍できる企業は必ず見つかります!!

さて、次稿以降はさらに具体的なことに入っていきます。つまり「どのようにして、学生が自分の活躍の場を見つけられるか」について、順次論理を深めて行きたいと思っています。




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