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NEWTがシードラウンドで23億円を調達したデック資料とオペレーションを公開してみる

最近、noteをあまり書かなくなってしまった。社内でも毎月色々なことを発信しているからして、日々ネタがないわけでも、学びがないわけでもなく、単に自分が怠けている。ということが言えそうです。メンバーみんなはいつも必死に書いてくれているのに、自分だけ書かないなんてのは絶対によくないので頑張って書いてみます。(エンジニアブログはここから

2-3月は、ただひたすら来期経営戦略を悶々と考える時期。そんな折、創業の時に使ったファイナンスデックはもしかするとスタートアップの皆さまにちょっとだけは役に立つかもしれない。と、なぜか思い立ち、それを公開してみます。このネタが使えるのもまぁ、NEWT(ニュート)が4月で2周年になるため、このファイルも消費期限がいよいよかという思いがある。笑 

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ではでは、前段長くなりましたがここから本題。


大型シードファイナンスプロジェクトの始動

2021年2月、まだこの創業発表をするよりももう少し前のお話しです。

全てのスタートアップが通る道ではあるが、当時は自分自身もCEOとか関係なく、全部みるし、やるし、ひっくり返すし、走り回るし。みたいなカオスな時期でしたので、セールスも、プロダクトも、採用も、ファイナンスも、管理も、何もかも必死にやっていました。みんなで。だから当然、私自身の時間の100%をファイナンスに向けて割くことはできず「資金調達をどこまで効率化できるだろうか?」というのは、事業を創っていく上でとても重要であったし、必要性がありました。

そこでオペレーションをまずは考えました。すると資金調達のプロジェクトは、突き詰めると以下の4つしかないことに気が付きます。

1:資料を作り、共有をする。(経営戦略を含む)
2:資料を使ってプレゼンをする。
3:追加の質疑に応答をする。交渉過程。
4:契約書を締結する。入金を待つ。

これらのプロセスを効率化するにはどうしたらいいか?を考えました。

1:資料を作る・共有するオペレーション

まず、1の資料を作ることと共有することです。

私は前職Reluxの時も、毎回ファイナンスラウンドのたびに、30社以上(多いと50社近く)の投資家皆様にアプローチをさせていただき、会えなかったり、断られたり、時々少し前に進んだりしながら改善をし、自分たちの会社価値を考えて動くようにしてきた。スタートアップに時価総額なんてものはあってないようなものなので、最もマーケットを客観的に見ていて詳しいVCのみなさまから、私たちの立場・価値を感じ取るのです。

経営戦略の構築仕方はこちらのnoteが参考になるかもしれません。

また、この資料共有のプロセスにおいては大量の繰り返し作業が発生し、手間が多いことがわかっていました。挨拶メールを送り、NDAを締結し、資料を送ったり、誤字を修正しては送り直したり、ある時はpdfにしてみたり、ある時は月次決算をアップデートして再送したり、とにかく膨大な事務作業がある。これをx50社も同じようなことをやるのはとにかく大変だと分かりきっていたため、Notionに全ファイルを公開してそれを更新すればいいやん。と、公開してみた。「え???」と思われる方もいると思うが、本当にすべての資料をNotionで公開した。あとはそのNotion上で、「X月Y日、3月決算をアップしました。」などアップデートをきちんとすれば完成。さながら上場企業のIRページのようなものを作ってしまい、「そこさえ更新しておけば、投資家の皆様は全ての最新情報にアクセスできる」という状態を構築してみたのです。

これはマジでお互いにめちゃくちゃ効率が良かったし、便利でした。全てのスタートアップにおすすめしたいやり方です。(当時はなかなか珍しがられた。)

NotionにIRページのようなものを作って完全公開。懐かしい、2月24日から動き始めていたらしい。笑
こんな感じで中の資料を全部ポイポイ入れていった(これにはさすがにアクセス権限はつけた)

2:プレゼンのオペレーション

オンラインである一定やり取りをしつつ、興味を持っていただけたVCさんのみ、プレゼンの場(MTG)へ進むことが許される。MTGに進んだら必ずピッチ、つまり事業のプレゼンテーションを行うわけであるが、当時はまだ新人YouTuberとして活動していたこともあり、効率を考えるならば「プレゼンはビデオに撮ってYouTubeに上げておくから、先に見ておいてくれたら大きな時短になって良いのではないか?」ということは当然頭をよぎった。が、これはどうも違うかなという結論になり、一社一社ときちんとすべて話しをするべきだと考えた。

なぜ、ビデオプレゼンは違うのか?

雑談の価値とか、フェイスtoフェイスの価値とか、まぁ理由は色々あるが、最もよくないなと思ったポイントは、プレゼンの内容自体を相手(投資家さん)によってがらりと変えるべきだからである。例えば、C向けサービスに非常に強いVCさんならカスタマー視点の戦略や言葉で話を進めるし、金融色の強いVCさんならば私たちがどの程度のIRRをもたらすつもりなのかという数値面の戦略やリターンを中心に話をするし、はたまた昔馴染みのVCさんならばもっとゆるやかに、究極は資料を使わないでビジョンだけをひたすら語っていれば良いかもしれないからである。ここは営業で培ってきたテクニックでもあるが、同じ商材・同じゴール・同じ資料であったとしても、提案の仕方は千差万別であるという大前提を覆さないようにした。もしも逆に、毎回同じプレゼンをしているようなら変えることをおすすめしたい。

そして、もちろん資料も工夫はした。想いを込めた。創業初期から最低でも20億円は調達したいと思っていたので、その成功角度の説明、蓋然性には強烈にこだわってまとめた。(とはいえ、まだプロダクトの全くない空っぽの企業に出資いただいたことは、私がコロナ禍で創業した度胸なんかよりも、VCみなさまの勇気の方が遥かにすごかったと今でも本気で思う。

プレゼン資料を公開してみる

で、ここからが肝心のファイナンス資料になりますが、飛び飛びですがざっくりこんな感じで進めてきました。流れなども参考になるかもしれませんので、シェア。

まず、ビジョンを掲げた。巨大な会社を創る意思を絶対に伝えたかった。

コロナ禍ど真ん中で、家で隔離生活を強いられていた時期だったため、マジでかなり多くの人に「頭だいじょうぶ??」「シリアルだから半分は遊び??笑」と言われたことは懐かしい。笑 

昔も今も、本気です。

目次はシンプルに3つしかなかった。なぜなら弊社には出せるデータ、KPIがない。笑
「Why Now?」は、マジで非常に重要な問いだと思う。

理由2だけ波風があるためどうしてもグレーアウトするが、要するにコロナ前だったら参入できなかったと。MOATが論理的に考えて決壊してるんです、チャンスだと説明。例えば、2024年の今から海外旅行に参入するのはすでに稼働が伸び始めているため、実際のところはそこそこきついと思います。

私はこの「機会」を、世紀に一度あるかないかのチャンスとずっと強調しており、今でもあの時はそうだったと本気でそのように思っています。

コロナ禍のインパクトについての説明

ここでは、コロナによって偶然落ちただけに過ぎないというメッセージ。そもそも海外旅行産業とは、右肩で上がり続けてきた急成長産業であるし、コロナさえ終われば絶対に急回復するからそこを狙う。と言い続けていました。(と思っていたら、歴史的な円安、ロシア・ウクライナ問題とダブルパンチで外的要因の大きさを痛感することにはなる。全然読みが外れてしまい、サービスローンチができずになかなか焦りました。未来は誰にも予測できないのだ。)

4月の創業発表の前夜から、これをまずやると掲げていたマトリクス。大谷翔平フォーマットを真似しました、ありがとう。
実際に調達活動が終わった頃には、かなりを完了マークにできていた。
ターゲットセグメントと市場規模の説明。

ここのゾーンは「20代女性」がダントツで大きかった。NEWTは現在も70%が女性が利用するサービスに仕上がってきており、ありがたい好評をいただいている。

どういう順番で、何を優先していくのかの全体像。

まぁどんな会社にも当てはまるフライウィールではあると思うし、今思えば当たり前のことしか書いていない。笑 でも、このきれいな形に到達するまでにはものすごく時間がかかったし、そのプロセスこそが創業チームビルディングとして優れているからおすすめです。このさらに奥行きも設計していった。

補足的にではあるが、資金移動ルールを先に決めた

20億円近いファイナンスをシード期でするのは投資するほうも、されるほうもなかなか怖い(普通に私自身が怖い)ので、運転資金口座と保管口座を区分けし、さらにそれら口座は一人では引き落とせない仕組みを構築しておいた。結構良い形だと思うので、これはおすすめです。定期的に資金横領はニュースになりますから、人事ではない。

まとめ : 運がよかったのかもしれない。

途中途中はしょってみたけれど、だいたいこんな感じのストーリーで展開していきました。当時のコロナ禍で「え、海外旅行??」という失笑に近い批判と、素晴らしすぎるタイミングだという賞賛の声の両極端を浴びながらも、なんとか無事にクロージング。となった。よくそんな逆張りできたねと言われるが、私にとっては順張りでしかなかった。こんな落ちたマーケット、根源的ニーズ、戻ってこないわけないと強烈に思っていた。

さて、ここから後のファイナンスプロセス、
3:追加の質疑に応答をする。交渉過程。
4:契約書を締結する。入金を待つ。

の2つがあるわけですが、3はもう勘の良い方ならお気づきの通り、質疑応答表もすべてNotionに完全公開し、他社でももちろん見えるようにしておくことで似た質問の回答効率を上げていました。

4はコロナ禍で一気に流行したオンライン締結サービスのおかげもあり、正直それに乗っかれば今までの「捺印資料xバイク便」みたいな煩雑な紙オペレーションをオールスキップすることができました(と、記憶しているが、もしかしたら紙だったかも。汗) まぁここまで来られていたら後の時間は誤差で、手前のほうが改善インパクトは遥かに大きいです。

しかし、こうやってまとめてみると気が付くこと、これはもはや元も子もないが本当に運が良かったとしか言いようがない。偶然、縁があった投資家皆様、コロナ禍という機運(※幸運という意味ではない)、自身のRelux退任のタイミング、自身や仲間のケイパビリティ、創業メンバーとのタイミングよすぎる出会い、IT上場企業のコロナ禍モメンタム、などなどなど。多くの偶然が重なってファイナンスが無事にクローズでき、そして今日も良い感じにサービスを伸ばせていると感じる。

今はちょうど来期以降の経営戦略を立てるタイミングなので、創業から3年、そして次の3年をどうしていこうかと思っているが、この時から見たら随分と大きくそして遠いところまで来られているので、次の3年はさらに大ジャンプをして、事業で社会に貢献していきたいなと強く思うのでした。海外旅行は、日本社会にとって絶対に必要であるし、もっともっと信じられないほど簡単にし、より多くの人に体験を届けたいと想いは強まるばかりです。

ということで、ここまで長文を読んでいただきありがとうございました!!!少しでも参考になったなら幸いです。

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