Essay Vol.8 "ラグジュアリーとは心地いいもの。そうでなければラグジュアリーとは言わない。"
タイトルはココ・シャネルの言葉。
今までの私にとって、ラグジュアリーは背伸びして体験する非日常の空間のことだったから、
この言葉を聞いた時は彼女がお金持ちだからそう思うのだろうなと思って気にも留めないでいた。
でもパリで本当のラグジュアリーを体験した時、とても居心地よく感じて再びこの言葉を思い出すことになる。
今回のpicはパリのホテル「Le Meurice」
ピカソやダリが愛したホテルで、五つ星を超える「パラス」の称号を得ている。
本当はカフェアンジェリーナに行く予定だったのだが、混んでいたので急遽こちらを訪ねることとなった。
入ってすぐに目に入るのは圧巻の天井画だ。
こちらはオペラ座を参考にしてデザインされた、アラスタルノ・スタルク氏の制作らしい。
格式高い形式美の内装に、動きのある壮大な天井画の組み合わせが印象に残っている。
そんな美しい場所で私たちは密かに今回のパリ旅行のテーマを決めたのだ。
奥に進むとサロンのような入り口からは見えづらい場所があり、そこに彼女がいた。
五つ星を超えるようなホテルに足を踏み入れるなんて、普段なら緊張してしまっただろうが、不思議と気負わずリラックスできる。
そんな時にココ・シャネルの言葉を思い出した。
これが本当のラグジュアリーなのかと。
必要以上に干渉してこない、持ち上げてこない接客がとても居心地良く、あの場所だけ時の流れが異なっていたよう。
日本では、ラグジュアリーは「特別感を感じさせる」ものだと定義されているように感じる。
提供する側から1つの「特別感」という解を押し付けられているのだ。
そんな中、マダムの紹介で某デパートの外商サロンへ伺う機会があった。
休日に訪問したのでデパート内は人でごった返していたが、サロン内はゆったりとした時間が流れていた。
時間の流れ方に、ムーリスを思い出す。
サロンでは飲み物を頂き、今日のショッピングの予定を立てたり次の旅行の予定、これからしたいことなどをマダムとお話しした。
ゆったりした美しい空間にいるとアイデアがどんどん湧いてくる気がする。
思いつくままに話していると、思っても見なかったようなことが口から出てきたりするのが面白い。
ひとしきり話した後は、人間観察の時間。
どんな人が外商サロンを利用するのか?
外商サロンで働く人はどんな人たちなのだろう?
気になることは沢山あった。
サロンを利用する方は意外と普通の人(に見える人)が多くて、遠いと思っていたはずの場所がグッと近づいてきたような気がした。
スタッフの方々も仕事に誇りを持っていることが伝わる接客だった。
サロンでは荷物をクロークに預けて買い物をすることができ、購入品の郵送も可能だ。
人と場所、両方の格が揃っているからラグジュアリーでも気負わず過ごせるのだと思った。
場所だけのラグジュアリーが先行していると、こんな場所に居ていいのだろうかと気負ってしまう。
日本ではそういったラグジュアリーが多い気がする。
ラグジュアリーには場所だけじゃなくて、そこで働く人や利用する人間の格も同じくらい重要なのだ。
…とすると、もしかしたら私がラグジュアリーな場所でも気負わず過ごせるようになったのは、私の格がその場に相応しいほど上がったからかもしれない、!🤭
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