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詩作のラボ(実験室)

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何故かあまり見ない聞かない「詩や和歌」などの実験的な試み。こんな物好きなことをしている人間は、きっとこの世にあまりいないのだろうと思います(笑)読んで、見て笑ってもらえればありが…
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記事一覧

棚田の案山子【詩】

涼風に ざわざわざわめく無数の案山子 そして目の前に広がる棚田の いつもの(であるはずの)秋の夕暮れは 遠い日の記憶か 将又 幻か いずれにしても今となっては既に有耶無耶 * 今日中に仕上げたい散文の自由詩 そして終わりそうもないという絶望の よくありがちな(何度やっても懲りない)状況は 紛れもない現実 自業自得の結果なのか 今となっては 既に手遅れの のんびり屋 しりしりと舞う無数の羽虫 しかし止まない霧状の雨の 纏わり付いたスレートの家根は 近しい者の 柔な叱責

Nocturne*夜【詩】

しずかに 静かに降り続く雨 野で人知れず 濡れる夕化粧 忘れられてゆく 夏のエピソード 飾れない言葉でいっぱいのオベリスク * やがて安らかに眠りにつく頃 しずかに 静かに空にある月 ノクターンのピアノの調べが聞こえたら 渡る水面の夜空を揺らす 川風が 密かに 密やかに 山肌に 白い霞を棚引かせ * 知っている事 知らない事 伸びてゆくもの 伸ばされるもの 別れてゆく者 出会う者 片時も離さず 離れない想い * やがて安らかに眠りにつく頃 しずかに 静かに降

Dialogue*ダイアローグ【詩】

愛しい想いを自分に向ければ 日々の営みと理想は乖離し ふんわりと空に飛んで消えてゆく そよ風とさざ波の対話は ぼんやりと水平線の彼方に霞む 妖しく揺れる花と陽炎と 不意の涙に心は戸惑う 誘惑の微笑と はにかみの仕草に 投げやりな*言葉は∴つまり∵肩透かし (20240926/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただきました。

あしたのあした【詩】

落ちても落としても拾うだけ 大切なものなら尚更 幸せの 小さな鐘の音を いつまでも鳴り止ませないために あしたも あしたを想う 大切な命を抱いて 夢が叶わない時も 世界は日の光に満ちていて そこに吹く風は やさしいはずだから 無くても無くしても見つけよう 必要なものなら今すぐ たとえ それが幸いにも その時は 如何に 誤魔化して やり過ごせたとしても 明日の朝も あした 直向きな炎を燃やして 夢が叶わない時も 世界は日の光に満ちていて そこに吹く風は やさしいは

猫の手を借りる幸せ【詩】

幸せを絵に描いてみたら餅でした 能弁を讃えるメダルは銀ですが 分け隔てない沈黙は 何処で切っても金でした 借りた手を見れば成る程 猫だったので 役立つ剣やペンよりも 小判を一枚あげました 信じる者になってみたけれど掬われたのは足でした 蚤に心臓はあったかどうか? 藁をも掴めど溺れたままで 「神のみぞ知る」は「お先真っ暗」で 刃がないから せめて「つけまつげ」 ・・・幸せなんて何処へやら ・・・のんべんだらりの生活に ・・・忘れかけていた ・・・家族の温もり そして

神がかりの書を綴る日々【詩】

バラバラの 心の頁の締めくくり 長くて細い 記憶の鎖で 無理矢理 縛れば 笑い種 でも詳細を 見れば不思議と 神がかり 日々 安らかに いつも 我が身を 幸せに 出来れば 心は のんのんと 苦役は 誰かと 代わる代わる 歌や足取りは 軽やかに だけど努力は止めないで 記憶の枷の柵に 緩くて脆い 恩義の鎖で 無理矢理 留めた 忘れ人 結末を見れば そこそこ 神がかり その割に かける命は まぁ 安上がり (20240908/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanv

白黒:Weiß oder Schwarz?

このやり取りは 確かに まずいところもあるが でも悪くもない 可なのか 否なのか…… しかし何とも 可否は言い難い もしやと思い 何度も見たが 何故か気付かず ふと我に返ってみれば 後の祭りで 私が悪いということにしておいたのだけれど このやり取りは 確かに まずい でも悪くないが よいのかと言えば そうとも言えない 暫し 白黒は決められない (20240826/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただきました。

夏の終わり【詩】

これは よくあるやつ それも よくあるかな? 壊れた夏の帽子は麦藁 よく よく冷えた麦酒を飲み 過ぎゆく季節を愛おしむ それは よくあるやつ けれど当たり前すぎるかな? 休日の街の 人の賑わい 琥珀色をした果汁を飲み 内なる自分を慈しむ * 既に実のついた朝顔へ 最後の水やり 怠らず続けられたのは誠実さから? 何時になく何故か胸騒ぎ 何時しか蝉の声は遠退き 秋の虫も鳴き始めて久しい (20240826/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただき

雲隠れ【詩】

安心ばかりに包まれて 黒のない 白塗りされた日常に 彼は きっぱり別れを告げて 僅かな希望 と 果てなき無謀を 無理矢理 小さな鞄に詰めて 久しく忘れていた夢を抱き ただの旅行に行く振りをして ある夏の日に逃避行した * 逢い別れ 後悔ばかりの生き方は 宵闇に雲隠れした望の月 (20240821/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただきました。

夢のまた夢【詩】

流行とやらで巷で噂の歌を聞き 図らずも そういったものに縁のない者は 曰く「所詮、世界が違うもの」とか…… 東雲の海の波間に漂う木っ端が 橋の袂の下の端から流されて 嫌々 険しい海風にデンデケデンと晒されて 然る後 箸にも棒にも掛からぬほどの 弱く頼りない小者へと成り下がっていた僕 だから 昨日の夢は 明日も また夢 夢のまた夢 叶わぬ希望 (20240820/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただきました。

夜空の羅針盤【詩】

過ぎ去りし日に 鳴く蝉の声は 移り変わりゆく 木々の葉影を 虚ろな心に さても妖しく映す幻聴 * 瞬く白い星を見ていても 引かないのは背骨の痛み きらきら笑う淡い半月を 吐息でかすめる青い涙雨 次第に闇に溶けてゆく 空の羅針盤 路地裏の猫 時空を渡る鳥の群れ 今夜の風は まだ吹き止まない (20240815/私之若夜=しのわかや)

駆け込み乗車【詩】

知ってしまった 呪いの連鎖と 悪い心の 干渉作用で 役に立たない無能な僕は (閉まりかけている  乗り物のドアへ  割り込むような  駆け込み乗車は  やめてほしい と告げられて) 始発の列車に 乗り遅れ 忘れた何かを取りに帰った (仮初めの平穏  安らぎの言葉  しがらみ欲しさに  飲み続けてきた 真っ赤な煮え湯) * 藁をも掴む狡猾さから 語るに落ちた日常に 優しい言葉は逆効果 (20230813/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただきました

Five Cats【詩】

愛らしい シロ・クロ・キジトラ・ミケ・チャトラ 七つの瞳が闇夜に光る 尻尾は全部合わせて四本 始めから(生まれつき)尻尾がないのが一匹で(彼女は両目が健在で) 仇役の如き「黒い眼帯」の雄が三匹。ではここで問題を二つ ========================================== ・美しいキジトラは左眼帯で ・自慢のチャトラは右眼帯で ・たまに忘れられてるミケネコは尻尾も目も健在で ・隅に隠れてるクロネコは右眼帯で尻尾が長い ならば ①尻尾や如何

制御すべきもの【詩】

私は 私のままに 君の心は そのままに でも もし私だけ先走ることがあったなら もしかして それを追う人がいたのなら 無理矢理にでも止めてほしいのだ 乱心模様の 本能による 飽和状態のストレスに 鈍感なまでの耐性を纏い また休むことなく進み続ける私を 君に諫めてほしいのだ 私は 私のままに 君の心は そのままに でも もし私だけ先走ることがあったなら もしかして それを追う人がいたのなら 無理矢理にでも 君に 私を諫めて止めてほしいのだ (20240811/私之若夜=し