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棚田の案山子【詩】

涼風に ざわざわざわめく無数の案山子かかし
そして目の前に広がる棚田の
いつもの(であるはずの)秋の夕暮れは
遠い日の記憶か 将又はたまた 幻か

いずれにしても今となっては既に有耶無耶うやむや

今日中に仕上げたい散文の自由詩
そして終わりそうもないという絶望の
よくありがちな(何度やっても懲りない)状況は
紛れもない現実 自業自得の結果なのか

今となっては 既に手遅れの のんびり屋

しりしりと舞う無数の羽虫
しかし止まない霧状の雨の
纏わり付いたスレートの家根やね
近しい者の 柔な叱責か将又はたまた これも幻か

いずれにしても蒸し暑く 眠りにつけない嵐の前夜
しかし の 案山子かかし

乗り心地の
悪い馬車に付きもの なのは
必ずと言っていいほど(そうなのか?)
やはり やり手の 無謀な走り屋
…という不運の兆し

奇天烈きてれつな夢の
妙な光景は
多分 幻か 将又はたまた 不安の現れか

今となっては 不明な状況 だからもう どうでもいいや

涼風に ざわざわざわめく無数の案山子かかし
そして目の前に広がる棚田の
いつもの(であるはずの)秋の夕暮れは
遠い日の記憶か 将又はたまた 幻か

いずれにしても今となっては既に有耶無耶うやむや



(20241001/私之若夜=しのわかや)
※画像はCanvaからいただきました。