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私のこどもたち|『ツァラトゥストラかく語りき』

目を覚ませ。よく眠ることなど求めるな。罌粟の花の香りがする徳を。あなたは無意味に生きる人ではない。

あなたは未だ駱駝にもなれていないというのか。「汝なすべし」を主とし、役者として、詩人として生きていると。
自分の意志を意志せよ。自分の世界を獲得せよ。幼子となれ。
そのためにはまず、多くの重いものに耐え、そして更にそれを求めよ。
あなたは目を背け、逃げている。あなたの意志から。

緩慢な自殺を生とし、生き長らえているのならば、今すぐに死んでしまえ。静かで長く、刹那である場所はそこには無いと知らないのか。余計な者たちよ。あなたもそうなのか。それは美しくない。

奴隷ではなく友となれ。あなた自身の。彼はあなたの永遠への眼差しを愛する。あなたも彼の。永遠は最も美しい。そんなものはないのだから。

未だに善悪を信じる人間はもはやいないだろう。しかしあなたは善悪の彼岸にはたどり着いていない。行け。善悪の彼岸へ。人間とは超えられなければならない。

私はあなたの徳に嘔気がする。嘔気。嘔気。
隣人へ逃げるな。己から逃げるな。それは徳では無い。己を愛せ。
しかし私は知っている。あなたが最も愛しているのはあなた自身であると。
あなたは上手く愛せていないだけだ。あなたはあなた自身に耐えることができない。
それを私は愛しいと思う。
あなたはあなたの愛した隣人に突き放され絶望すると良い。そして奴隷ではなく友となれ。

あなたが駱駝となった今宵、驢馬祭りをしよう。それは快癒の兆しだ。みずからを哄笑することを学んだ証だ。しかして敬虔か。驢馬とするのか。
だが私は違う。私とあなたの、それぞれのための宵を。これは私の罪だ。

「わたしは眠った、ねむった――
深い夢からめざめた――。
世界は深い。
昼が思うよりも。
世界の痛みは深い――
歓びは――苦悩よりもなお、深い。
苦痛は言う、去れと。
だがすべての歓びは永遠を欲する。
深い、深い永遠を欲する!」
――ツァラトゥストラかく語りき、第四部「夜を行く者の酔歌」

あなたは私のこどもたちではない。私のこどもたちにはなれない。
だがしかし、兆しは来る。

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