VERYモデルの多様化にみる現代女性の価値観
近頃、話題になっているVERYのモデルの申 真衣(しん まい)さん。
2019年6月に誌面に登場して以来、読者の間で話題になり、2020年3月より専属モデルとなった。
下記のように、華麗な経歴をお持ちである。
私は高校生のときからVERYを愛読しており(今思うと相当なおませだ。笑)、その間に表紙モデルが井川 遥さん、滝沢 眞規子さん、そして現在の矢野 未希子さんと3代に渡っているが、今回新たに専属モデルとなった申 真衣さんがSNSで大きな反響を得ているのを見て、VERYモデルの多様化と現代女性の価値観の変化を感じた。
VERYというと「VERY妻」という言葉があるように「セレブな生活を送るキラキラ妻」をターゲットとした雑誌であり、「結婚して妻になり、子供ができて母になっても女性らしさを忘れずに」というコンセプトの雑誌であると理解している。
少し前まではVERY読者の多くが、高収入の夫と結婚して豊かな生活を送ることを理想としていたように思う。
世田谷区や港区に住み、イケダン(イケてる優しい旦那さん)と週末はベビーカーを押して二子玉川に遊びにいく。まさにそんなイメージが「VERY妻」と呼ばれるものであった。
中でも2016年〜2019年で表紙モデルを務めていた滝沢 眞規子さんは、その象徴的存在であった。パートナーはファッション会社の代表取締役社長で3児の母、美しい容姿とファッションセンス、大豪邸での暮らしといったライフスタイルに数多くの女性が憧れを抱いた。御本人は結婚後に専業主婦を経て、30代でスカウトされてモデルになったという経歴である。
一方で、最近話題の申 真衣さんは東大卒、ゴールドマン・サックスでマネージングディレクターまで昇進し、結婚。その後ベンチャー企業の代表取締役に就任して、現在も子育てをしながら働いていらっしゃる。いわゆるバリキャリ女性、ワーキングママである。
昭和55年以降、夫婦共に雇用者の共働き世帯は年々増加し、平成9年以降は共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回っている。平成29年は共働き世帯数が1188万世帯と、男性雇用者と無業の妻から成る世帯数(641万世帯)の約2倍となった。
このように働く女性が増えた今、キャリアと家庭を両立させるモデル申 真衣さんが現代女性の新たな憧れの的となったのだろう。
「美しく聡明で、自身も第一線で働きながら家庭も大事にして、愛される妻として、そして母として幸せな生活を送っている」という現代女性らしいサクセスストーリーが読者の心に刺さり、話題になったのではなかろうか。経済的に自立しつつも愛される新たな「VERY妻」の形のように思う。
また、経歴だけ見ると完璧で近寄りがたいように思うが、インタビューから伝わるサバサバ感やInstagramの気取らない投稿がどこか親しみやすく、共感を生んでいる。
AIでモデルを作れるようになった今、モデルに求めれらるものも変わってきているように思う。外見の美しさだけであればAIでよい。生身の人間に求めれられるのは、その人の背景にあるストーリーを含めた美しさなのだ。
ここ10年における日本人女性の価値観の移り変わりを感じる出来事であった。
〜追記〜
この記事を書いたのは2020年5月だが、2021年11月になったいま、ついに申真衣さんがVERYのカバーモデルになることが発表された。大ファンなので嬉しく思うと共に、まさに時代の流れの象徴のように思う。
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