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広島旅行記 ①

7月中旬、広島県の福山市に向かうことになった。

福山は瀬戸内海に面した工業都市であり、中国地方では広島市、岡山市に次ぐ都市圏を形成している重要な街。

私にとって福山は2回目の訪問になる。
過去には東京の日本橋から国道1号・2号をひたすら西に進み、著名な観光地である「鞆の浦」を訪れたことがある。

今回はせっかく広島県まで行くので、尾道市を訪れてみることにした。


小説「夜行」

・・・私は「四畳半神話大系」などで有名な森見登美彦氏が好きで、特に「夜行」という若干ホラーテイストのある不思議な雰囲気を持つ小説が気に入っている。

大学時代同じサークルに属していた女性が、鞍馬の火祭で突然失踪してしまう。

十年後、再び鞍馬の火祭り見物の為に当時のメンバーが集合するが、誰も失踪した女性について語ろうとはしない。

代わりに、それぞれが尾道・奥飛騨・津軽・天竜峡の旅での出来事を語り始める。

森見登美彦「夜行」の紹介

尾道はその最初の話の舞台となっており、何故か強く惹かれるものがあった為、この機会に尾道に行くことを決意した・・・


福山へ

私は仙台在住である。先方からは新幹線の移動を前提に話をされたのでそれに従ったが、約5時間半もかかり鉄道旅行好きの私でも流石に堪えた。

仙台空港ー広島空港には直行便があるが、広島空港から福山まではバスで1時間とあまり便利ではない。

しかし今考えれば、神戸空港まで飛んだ後に新幹線に乗れば、より短時間で移動できたかもしれない。

福山駅

始発の新幹線で朝イチから移動し、12時過ぎに福山駅に到着。

福山駅を利用するのは初だったが、毎時1本程度はのぞみが停車するため結構便利だと思う。

用事を終えて、23時過ぎに駅前のホテルにチェックイン。

アイスが食べたかったので、コンビニで激推しされていた白桃アイスバーを購入。

よく考えたらここは広島県だが、すぐ隣は岡山県なのでセーフか。

リッチモンドホテル福山駅前

ホテルで朝食。

穴子の炊き込みご飯や鯛(お茶漬け用)、もみじ饅頭など広島を感じられるものが多くて嬉しい。


福山散策

福山城天守からみた福山駅

その後は知人の案内で駅のすぐ北側にある福山城へ。
写真は忘れてしまったが、再建した立派な天守が聳えている。

駅のすぐ北に城があるという点では明石と似ているが、明石城跡の公園は多くの市民の憩いの場となっていた一方で、こちらは高台になっているからか人通りはまばらだった。

天守閣内部は中々に本格的な博物館になっていた。

近年改修されたようで、クラウドファンディングによって作られた乗馬体験ゲームなどもあり、久しぶりに福山城を訪れた知人も驚いていた。

現在の福山駅は福山城の敷地内に当たるようで「新幹線で福山を通るだけで福山城に来たことになる」とビデオで説明されていた。

鯛亭

続いて知人の車で、福山市南部の港町・鞆の浦へ。
お昼時だったので、まずは鯛めしを食べに案内された店へ。

昔ながらの飾らない店で、(写真には写っていないが)鯛めしも非常に美味しかった。

常夜燈

鞆港を見守る常夜燈。
穏やかな雰囲気が流れていて心が落ち着く。

高台から鞆港の全景を眺める。
暗めの色の屋根瓦が並んでいるのが良い。

一通り散策した後福山駅まで送ってもらい、知人とは別れて尾道を目指す。

在来線ホームからも見える福山城。
ここから山陽本線に乗車し、尾道までは20分程。


尾道到着

尾道駅

広島地区特有の黄色い電車に揺られ、尾道駅に到着。

尾道市は人口10万強と福山市と比較すると小規模だが、四国と本州を繋ぐしまなみ海道や山陰と山陽を結ぶ尾道道・松江道が集まる他、古くは北前船の寄港地でもあり、陸海共に交通の要衝となっている。

坂道の特徴的な街並みや瀬戸内の島々などが人気で観光客が多く、街の規模以上に活気を感じる。

尾道は瀬戸内海に面した広島県の町だ。

改札を抜けて駅前の広場を通りすぎると、陽光にきらめく海があって、対岸の向島にある造船所のクレーンや行き交う船の姿が見える。

森見登美彦「夜行」より

残念ながら曇っていたが、確かに駅からすぐにクレーンが見えた。

正直少し疲れていたが、15時前でホテルのチェックインも出来ないので、まずは行こうと決めていた菓子屋へ向かう。

尾道本通り

尾道には立派なアーケード商店街がある。
地図を見ずに歩き始めたので駅前ではその存在が感じられなかったが、観光客が歩く方向に身を任せているとその入り口に辿り着いた。

アーケードは山陽本線と海岸の間を駅から東方向に伸びているので、時折脇道から海や線路が見え、電車が通ると走行音が聞こえてくる。

少し逸れた道にもディープな商店街が続いているようだ。

金萬堂本舗

10分強歩いて以前から訪れたいと思っていた金萬堂本舗に到着。
瀬戸田のレモンを使ったお菓子を販売しており、並んでいるものは全て黄色いパッケージのように見える。

ここでお土産用と今日食べる用のレモンケーキを購入。

市内のあちこちで見られるマンホールにあしらわれているのは七夕飾りだろうか?

一休みしたいのでまだ尾道観光のメインである千光寺まで登るつもりはないが、少し山の手を散策しに行く。


坂道を往く

国道2号の天寧寺交差点を通り、山陽本線の下を潜って階段を登る。

線路下の高さは結構ギリギリで、通行中に頭上を列車が走ればかなりの恐怖を味わうことになりそうな気がする。

階段も線路にかなり近く、しかもこの線路は地方ローカル線などではなく貨物も多く走る大幹線。

昔作られたものだからOKなのか、今の基準に照らし合わせても問題ないものなのか気になるところ。

天寧寺

少し階段を登ると天寧寺本堂に到着。
尾道の写真で有名な三重塔はもう少し上にあるらしい。

三重塔はこちらと案内が出ているので向かってみると、通って良いのか分からない細い路地があった。
尾道はこのような暗い路地が多く張り巡らされている。

天寧寺三重塔

猫に気を取られて写真を撮ることを忘れてしまったが、三重塔に到着。

昔は五重塔だったが、1692年に損傷した上二層を解体し、現在の姿になっているそうだ。

せっかくなので少し違うルートで引き返す。

尾道というのは不思議な町で、海沿いから見上げたときには小さな町に見えるのに、坂の向こうには坂があり、小道はさらに枝分かれして、歩くほど町の奥深くへ迷い込んでいくようだ。

民家の裏側を抜ける路地、草の生えた石段、古びた雨樋。

そんな景色の中を歩いていると、衆議院選挙のポスターが異様なほど鮮やかに見えた。

森見登美彦「夜行」より

この細い坂道が入り組んだ感じが尾道の魅力なのかもしれない。

尾道駅はこちらと書いてあるからには通り抜けが許されているのだろうが、何の案内も無ければ絶対に通らない道だ。


休憩

御菓子所 勉強堂「むぎっこ栗っ子」

街中を歩きまわってすっかり疲れてしまったので、汗だくの服を脱いで乾かし、一度シャワーを浴びて汗を流した。

夕方には夜景を見に千光寺に行きたいので、もう一度坂を上る為に休んで英気を養う。

エアコンを効かせた部屋で地元のニュースを見つつ、福山で買ってきたお菓子を食べる。

金萬堂「まるっと島レモン」

先程商店街で買ったレモンケーキも。
初めて食べたが、中々美味しい。

結局ホテルには15時半頃チェックインし、17時半までゆっくりしていた。
これまで忙しない旅ばかりしてきたので、これからはこのように余裕をもってのんびりした旅も良いかもしれない。

②へ続く・・・

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