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コンサル出身起業家の新聞奨学生時代のお話

私の自己紹介などは既に記事にしているため、ここでは簡潔に。もともと新卒でコンサルティングファームに入社し、現在様々な背景をもとに、起業にチャレンジしています。詳しくは過去の記事を覗いてみてください。

自己紹介記事でも触れていますが、学生時代は新聞奨学生として、新聞社に入社し、合計2年間、新聞関連業務に従事しました。
ここまでの人生で(これからの人生においても?)間違いなく最もキツかった時間でした。
実際に、新聞奨学生を始めた時の同期は60名を超えていましたが、半年後には約半数が辞め、1年続けられた者は数えるほどの人数でした。

そんな時のお話を書いてみます。


18歳で味合った絶望的孤独感

時は7年前の18歳まで遡ります。
私は高校の担任教員と学年主任と一緒に、ドミノピザの箱の裏でお金の計算をしていました。大学に通うためにどこに住んで、どのくらいバイトをする必要があるのか、を試算していたのです。
なかなかに絶望感が募ってきた時期に、私の噂が進路指導室の耳に入ったらしく、その先生が3つのパンフレットをくれました。
それは、朝日新聞社、読売新聞社、産経新聞、各社の新聞奨学生のパンフレットでした。これが初めて新聞奨学生という名前を認識した時でした。

新聞奨学生(しんぶんしょうがくせい)とは、新聞社の奨学金制度を利用する学生のことを言う。学費の一部もしくは全額を新聞社が肩代わりする代わりに、在学中新聞配達業務を行う。

業務を行う場所は、学生側が選択することは不可能で、新聞社側が学生の通学時間を考慮し、人材募集中の販売店の中から選択する。多くは、都市部の新聞販売店に斡旋される。自立した生活ができ、経済的問題を解決できる利点の反面、労働環境は決して良好とは言えない場合もある。

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その後、パンフレットに書かれた電話番号に電話をし、面接をしました。(面接といっても、実質、契約内容の確認の場でした)

高校の卒業式から2日が経過したタイミングで、会社が提供する家に入居しました。
本当にボロボロの部屋でとても寒かったのですが、新しい生活に心躍る自分と、一旦生活基盤を確保できたことへの安堵で満たされる自分がいました。

しかし、家に足を踏み入れてから1時間もしないうちに、猛烈な孤独感に襲われました。
それもそのはずで、入居当日、お金もない私は、布団もテレビも冷蔵庫も、つまり何もない部屋に1人で無音の中で過ごしていました。
18歳で未成年かつ連帯保証人もいない私は、スマホの契約をすることができず、スマホさえ持っていませんでした。

ボロボロの家で、壁は薄く、社会がすぐそこにあるはずなのに、超えられない分厚い壁に囲まれたような、社会から完全に断絶されたような孤独を感じました。

ノーヘル配達で車に轢かれることを願いだす冬

その後、会社の方々のサポートもあり、余っている布団やテーブルとして再利用できそうな段ボールを譲ってもらったり、格安スマホを契約したり、と少しずつ人間らしい生活になって行きました。

集金の際には、訪れたお客様の家でご飯を食べさせてもらったり、スープを瓶に詰めてくれるおばあちゃんがいたりと、お客様にも応援してもらいながら、なんとか日々を生きていました。

それでもやはり辛い日々、孤独な日々はとてつもなく長く、とてもなく深い絶望感を抱かせます。時期が冬になると、心を強く持つことがより難しくなっていきます。
寒い中での配達は、本当に辛い。手がかじかんで、新聞紙をかごから取ることもできません。
雨の日はもっと絶望的です。鼻水を垂らしながら、雨なのか、涙なのかもわからないくらいぐしゃぐしゃな顔で、ぐしゃぐしゃな気持ちで配達をするのです。

そんな日々を過ごしているうちに、私の心は完全に折れてしまい、ノーヘル、つまりヘルメットを被らずに新聞配達をするようになりました。

ノーヘルはもちろん道路交通法違反ですし、大変危険です。
でも、その当時の私は、辛すぎて、車に轢かれて楽になりたいという気持ちでした。
(ちなみに、新聞奨学生は基本的には1年契約で、契約期間を全うした時にだけ、学費を新聞社から奨学金としてもらえます。途中でやめると、奨学金ではなく、借金になります。なので辞められなかったのです。)

25歳になった今、思うこと

あの辛い日々を乗り越えて今、思うことは、ただただよく頑張ったなという気持ちと感謝の気持ちです。
新聞奨学生を2年間やりきり、そのおかげで大学にも通えたし、そのおかげで留学にもいけたので、過去の自分自身に対して本当に感謝しかないです。
それだけではなく、相対的にこんな経験をしている人は少ないので、就活でも留学先でも、これまでいろいろな場所で、このストーリーのインパクトに助けられました。

そして何より、新聞奨学生時代のハングリー精神が今の私自身の根幹をなしています。
どんなハードシングスも、新聞奨学生時代を回想すると非常に小さな障壁に感じるようになりました。

今後、起業という挑戦の中でも多くの困難に直面すると思いますが、新聞奨学生時代に築いた精神で頑張って乗り越えていきたいと思います。

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