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翻訳Kindle本がKDPの審査を通過するまで

1月7日から連載していた19世紀の異端科学者はかく語る(原題:The Pleasures of Life)完結・完訳しました。
noteでは、訳者の主観で「感想と解説」を投稿しています。


翻訳Kindle本が審査通過するまで

前回の進捗報告

今回、拙著が審査通過するまでの経緯をつづってみます。
自分用の備忘録のためでもあるし、セルフパブリッシング(個人出版)をやりたい人の参考になるかもしれない。

Kindle出版の審査は、通常72時間以内ですが、本の内容と類似・重複しているコンテンツが見つかると、KDP(Amazonの出版部門)から著作権確認のための連絡が入ります。

なお、テキストデータ(翻訳)、本文データ(epub)、表紙データ(画像)を事前に用意するのは大前提なので、このページでは省略します。

「類似・重複しているコンテンツ」とは?

これは2種類考えられます。
(他人のコンテンツからの盗作・拝借がダメなのは当たり前なので論外💨)

ひとつは、パブリックドメイン(著作権切れコンテンツ)の場合。
このケースでは、原作の初版年と作者の死没年、それらの情報を確認できるwebサイトを提供して、問題ないかを再審査してもらいます。

もうひとつは、著者本人が運営しているwebサイトやブログの内容をまとめて書籍化する場合。
KDPを通した個人出版で、印税を最大化するにはAmazon専売にすることが条件なので、内容が重複しているサイト(該当ページ)を削除する必要があります。その辺を対処した上で、「指摘されている類似コンテンツは著者自身のコンテンツ」だということと「該当ページを削除」している旨をKDPに説明します。

拙著の場合、パブリックドメインが原作で、翻訳文は私自身の著作物(二次著作物)という扱いになります。
今回、私とKDPとの間でちょっと行き違いがあり、昔の翻訳者の情報を提供したら、その人(昔の翻訳者)を著者として併記するようにと指示を受けました。

KDPへの申し開き(弁明)とその結果

翻訳者の著作権はどういう扱いなのか?
平日の日常業務の合間に、先例を探して調べまくり(とても大変だった)
結局、こんな風に申し開きをしました。

先行する翻訳者の情報を提供しましたが、当方の翻訳・執筆過程とは無関係です。よって、著者名:ジョン・ラボック、翻訳者:しんの(当方)にしています。

参考資料として、『星の王子さま』の出版事例を提供しました。

サン=テグジュペリの『星の王子さま(原題:Le Petit Prince)』では、内藤濯がこのタイトルで岩波書店から翻訳・出版。
著作権保護期限消滅後に、複数の翻訳者と出版社が同名タイトルで翻訳版を出版していますが、先行翻訳者の名前を併記する例は見当たりません。

出版関係者で、この名著を読んでない人はまずいないでしょう。

原題(Le Petit Prince)を直訳すると「小さな王子」ですが、『星の王子さま』は天才的にすばらしい意訳だと思います。

著作権が切れてから、複数の翻訳者と出版社が同名タイトル(内藤濯氏の天才的な意訳タイトルをそのまま使用)で翻訳版を出版してますが、先行翻訳者の名前を著作者として併記している例はひとつもなかった。

この申し開きを送信してから3〜4時間ほどで審査通過の連絡が届きました!

新刊:『十九世紀の異端科学者はかく語る』

Kindle本のタイトルは『十九世紀の異端科学者はかく語る:ダーウィンの愛弟子ラボックの思想と哲学
訳者・序文で「ダーウィンとラボックの師弟関係」を書き下ろしています。

5月27日(土)大安吉日リリース。予約受付中!
真っ先に予約してくださった方に、この場を借りて感謝を申し上げます。

カクヨムでは、序文を試し読みできます。



既刊:アレクサンドル・デュマ・フィスの未邦訳小説『トリスタン・ル・ルー』


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