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【読書メモ】HIGH OUTPUT MANAGEMENT (アンディ・グローブ)

冬休み読書シリーズ第7弾。
こちらはマネジメントの教科書として紹介されることが多い書籍です。
例によって読書メモのため内容は抜粋になります。(要約ではない)

経営管理者のテコ作用

自組織と影響する隣接組織のアウトプットがマネージャーとしてのアウトプットとなる。そのためには、チームの様々なファクターの中でも最もアウトプットに結び付く活動へリソースを配分すべきで定型業務などない。

マネージャーのコアな活動は4つ。

情報収集:
現場に出てほしい情報のみ集めることと、レポートや稟議を通じてメンバーに内省を促しながら情報の漏れを無くす
情報提供:
メンバーが上長に評価される行動や意思決定を理解するために情報を提供して行動に制約を持たせる
ナッジング:
何かしらの原因でアウトプットに繋がらないような行動をしている時は、行動を修正することを意図して情報提供+意見する。
意思決定:
アウトプットを最大化できる選択肢を取る
役割モデル:
職業倫理や行動規範として正しい行動をモデルとなって示す

自身の時間の使い方が重要という認識を持って、
・チームの工程が中断しないようにタイミングをずらして作業する
・自身の得意な作業は部下へ権限移譲してモニタリングする
・メンバーとのコミュ二ケーションで型化できるものは定型化
することで、フリーに動ける時間を作る。

ミーティング

プロセス(情報共有)中心のMtgと、ミッション(意思決定)中心のMtgで分けて考える。

《プロセス中心》

1on1
メンバーのタスク習熟度に応じて頻度を決める。
会議のオーナーはメンバーであり、難しい議題を持ち出せるように設定は1時間以上であるべきだ。
一方で、マネージャーはメンバーが語りきったと認識しても念のため質問を1つしてみる。問題の本質が隠れている場合があるため。

スタッフ・ミーティング
マネージャーはメンバーを問題解決の矢面に立たせて、討議が脇道にそれることが無いように徹するべき。

業務検討会
組織間のMtgであるため、各組織Mgrと説明者・他組織メンバーが参加者となる。このとき、説明者のMgrは説明者を徹底的にサポートする必要がある。

《ミッション中心》

参加は8人以下とする。これ以上だと良い意思決定はできない。

チェアマンに全てがかかっているので、
・会議の必要はあるか(目的は?)
・参加者のコストを考えてもすべきか
などで検証したうえで、議題とTL、加えて時間厳守である旨を事前送付する。

決断、決断、また決断

ナレッジが重要な業種であれば、自由討議と明確な意思決定が大事。
何故ならば、多くのミドルMgrにとって知識のキャッチアップは現場のエンジニア等から行う必要があり、彼らが真実を語らなくなった瞬間に良い意思決定ができなくなるため。そのためには、最低限目に見える優遇措置などは無くすべきだろう。

同僚MgrだけでのMtgにも上級Mgrは参加すべき
同僚Mgrだけの場では、馬鹿だと思われやしないかという恐怖や否決されることへの抵抗感から、自身の本当の意見を言わず、互いの腹を探り合う時間が長くかかってしまうからだ。

計画化

計画には大小あるが、その全ては大体3つのステップで行われる。

ステップ1:環境が要求するもの
チームのアウトプットへの期待と実績を比較する。
そして将来どうなっている「べき」なのかを定める。
ステップ2:現状把握
何が進行中で、いつアウトプットになるか把握する。
進行中のPJなどは一定の失敗を見込んでバッファーを設けておく。
ステップ3:ギャップを埋めるためにすべきこと
自身が何をどのタイミングでインプリすべきか考える。
このストーリーが戦略で、個別のインプリが戦術。

多くの場合リソースは有限なので、プランニングを進めることに同意することは、そのほかのプランへNoと言っていることと同義であることを認識すべき。

ハイブリッド組織

会社の大部分をミッション中心(いわゆる事業部)形態に組織化する長所は、顧客ニーズに接しスピーディーに対応できる点だけで、その他は機能別編成の組織にした方がコスト効率がよくレバレッジも効きやすい。
そのため、ミッション中心形態と機能別編成組織のミックスを取る。

ハイブリット組織では、リソース配分を巡る調整や争いに時間を取られるため、その調整を能率的に解消する方法が必要となる。

二重所属制度

組織図上はミッション中心形態の組織図に見えても、機能別編成組織の要素をミックスさせるためには二重所属制度が必要だ。
例えば、ビジネスユニットは会計や管理に長けた事業本部長が管掌するが、事業本部長が技術のキャッチアップまで行うのは難しい場合は製造部長が技術を管掌する。その上で、技術面の課題を他のビジネスユニットの製造部長と共有・解決することで、機能別編成組織を委員会などで疑似的に作り上げる。

この時、この二重所属制度を機能させるためには、個々の意思決定を疑似的な組織へ自発的にゆだねることが大事。

コントロール方式

職場での行動をコントロールするのは、「自由市場原理の力」「契約上の義務」「文化的価値」の3つ。

自由市場原理の力:
同一尺度の評価が共有できるとき、需給によって行動をコントロールできる。ただ、複数組織への価値提供を行う時、適応は難しい。
契約上の義務:
提供価値へ同一の尺との値付けが煩雑な場合(エンジニアの事業への貢献を金銭換算するなど)や、独占的な権限を与える場合は、契約に基づく納品と検収、違反時の罰則などの規則が必要となる。
文化的価値:
トランザクションが複雑になると、規則の策定までもが煩雑化してしまうことになる。その時に組織全体の利益を個人の利益に優先するという「信頼感」などの価値観が前面に出て行動のコントロールが図られることとなる。

どのようなコントロールの仕方を行うのかは、環境の複雑さや不確定さ、不明瞭さ(CAU要因)と個人の動機付けのクロスで決める。

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新入社員は、自分の利益が前面に出やすいから、先ずはCAU要因が低い仕事を与えて、グループの利益を重視したほうが組織のアウトプットが上がるという経験を積ませるべきだろう。

スポーツとの対比

マネージャーがメンバーのアウトプットを向上するには「訓練」「動機付け」の2方法しかない。

動機付けのためには、欲求を満たす環境を提供する必要がある。マズローの欲求階層に沿って、メンバーの欲求は高度化していく。なかでも最上位の自己実現欲求は満たされることが無い欲求になるので、早くこの段階へ持っていくことが大事

従業員が自分で自分の伸びを測定できる仕組み(他メンバーとの比較)や、適切なメンタリングをすれば勝手に伸びていくはず。

タスク習熟度

マネジメントスタイルに最適なものは存在せず、メンバーのタスク習熟度に応じて適切な形は変わっていく。
当然、習熟度が低いほどタスクの要件を厳密に定めなければならないので、Mgrはメンバーの習熟度をいち早く引き上げることに注力すべきだ。

人事考課

人事考課も目的は業績を向上することであり、メンバーへ不足している技能を気付かせ訓練を促すこととモチベーションを引き上げることが戦術となる。

査定の際に気を付けるべきは次の3つ

該当期間での価値総量:
将来に向けての価値創出をしているのであれば、現在価値分を評価すべき
アウトプットとの時間のずれ:
当該期間のアウトプットに対して、メンバーの貢献が現れる時期なのか否か
ポテンシャルは評価しない:
実績のみが評価対象であるべき。実績の無いメンバーへの顕彰は誤ったメッセージを示してしまいかねない。

問題のあるメンバーへの評価開示はストレスを伴うが、1つづつレベルを上げていくことが大事。特に他人を非難するより上に行けるかどうかで、改善に向けた行動をするか否かが決まるので、そこまではハードネゴも辞さずに対峙すべき。

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面接と退職リテンション

面接では8割方聞き手にまわるべきだが、良い情報を引き出すためにファシリテーションが必要。良い回答を引き出す質問は次の通り。

・直属の上司よりも上のレベルが重要とみなしたプロジェクトについて話してください
・自分の弱点は何で、それをどのように除去してきたか
・わが社はなぜあなたを採用すべきか
・現在直面している問題と、その解決策・防止策を教えてほしい
・なぜ新たな仕事をこなせると言えるのか
・今までで一番重要な達成事項と、重要と思う理由
・あなたにとって一番の失敗は何で、そこから何を学んだか

技術と実績を聞き出し、差異は何で埋めるために何をしているのかを聞く。

退職の申し出らしき接触があった時は、即時に対応する
まずは相手が用意してきた全てを聞き、本当に悩んでいるものは何かを聞き出す。好き嫌いでなく、社に多大な損失をもたらすものとして最大限の行動と提案をしないといけないし、提案を快く受け入れてくれるような準備をすることが必要となる。

なぜ教育訓練が上司の仕事なのか

訓練が効果を生むには、そのプログラムを絶えず首尾一貫させ、信頼できる存在として維持しないとダメ。単なる偶発的な出来事と捉えられてしまうと、意味が無い。
それゆえ、外部業者による高度なプログラムより、社内の事象と首尾一貫しているプログラムの方が効果が出やすいことが多い。


以上です。
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