見出し画像

おごりびと

掬った金魚と家路を急ぐ。
透明な虫カゴを引っ張り出し、ミネラルウォーターをどぼどぼと張る。
食パンを細かく細かくちぎり与えると、彼は言うのだ。
「なぜ一人にするのか。」と。
そうか。救ってあげたわけではないのか。

悲しいが、彼を悲しませる方が悲しい。
ポリ袋に戻して公園に戻るが後の祭り。
ポツリと謝り家路を辿る。
虫カゴの中、食パンを食べ終え、彼は黙っている。

明日、隣町の祭に行くことを彼に約束した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?