対面接客の可能性を実践者たちと考える①~ 接客サービスのスペシャリストたちが集うオンラインサロン~

 2020年、明らかな消費行動の変革期を迎えました。特に物販におけるオンライン化は推し進められ、実店舗は急速に来店が減ることは容易に想像しておりました。
 春(5月)にサロンメンバーと語りあった、店舗再開に向けて出し合った時と比較しても状況の変化が見られます。


 あれから数ヶ月、主宰自身もSCや路面店などに出向き「対面接客」の現場を視察している中で、明らかに”接客すること””積極的に販売すること”への姿勢を示さない店舗が目立ってきていること。
 そのいっぽうで、”フィジカルディスタンスを保ちつつも、積極的な接客=販売”姿勢を示す店舗もにも出会ってきました。
 正しいか否かということではなく、各社・ブランドとしての姿勢が明確になってきているように思われ、接客サービスの最前線にいらっしゃるサロンメンバーにも意見を聞いてみたくなりました。

 そこで、10月のサロン定例会では「2020年10月現在の接客サービスの現場」について、以下のようなリクエストをしました。

★具体的に接客で留意している点
★こういう店・スタッフがお客さまに選ばれている
★接客サービスのどういう点が、お客さまからの信頼を得ることにつながっていると考えるなど、情報を収集させてもらえますか?

👤コロナ禍の中で、顧客様やバイヤーさんなど、売上に影響のあるお客さま以外にブランドのファン(売上ボリュームは少ないこともあるが)に目を向けられるようになり、会話を重視・丁寧な対応ができるようになった。
 優先順位を考えると対応をすることが求められる方にかける時間(対応が)が多かった。“ふらっと見に来られるような方”に対して声かけができていなかったことが多かった。「お近くなんですか?」など会話をして、“売り逃していた”ことへの拾えるような会話・投げかけができてきた。接客や会話を楽しめること(お客さまを知ることができる)ことが増え「どういうお仕事?他にはどんな店に?」など、会話をするゆとりが出てきたことで、理解が深まる。
 お客さまをよく観察したり、バックボーンを知ることができるようになった。購入の有無にかかわらず、スタッフに会いに来てくれるような関係ができてきた。

👤「日々、生活必需品を取り扱う店舗は季節が変わってきて変化は?」⇒商品構成が変化してきて“年末”=“繁忙期・売り込み”ということができるような店づくりを準備している。特に生鮮なので、1年間の通信簿とも言われる『大晦日の売上』に目標を定めて行動するような変化もみられる。
 例えば、一歩離れたときに消費者=お客さまとして喜ぶことをしよう!(朝礼・夕礼で店長として伝えるようになってきている)おかげさまで、とても売れている。10月からの売上が良好(昨対比110%超え)、お客さまが購入してよかったと思えるような商品構成・接客を整えている。

👤エコバックの導入後、お客さまからのお叱り“対面での販売”(鮮魚)は濡れている状態でお渡しをしてしまったことがある。これまでは、ビニール袋を会計時に配布があって無かった意見。繰り返し使うお客さまの買い物袋に対する配慮なども大切。

👤年末の繁忙期に備えて体制を整える時期、分担などを定着できるように引き継ぎ・訓練をし始めている。大量の荷物を運搬するところが増えてきている。年末に備えてきているような企業が目立つ。(10月になって増加)会社の書類などを本社に移動などがあるときには、車をチャーターしたほうが良いこともある。サービスの種類も豊富にある中で、どのようなモノなのか目的に合わせて安全にひとまとめに送れるように提供している=年末にかけて増えている。

👤商品は自家需要もあるものの、通常はお土産(贈答)需要が多い。その中で、ここ最近は2つに分かれている。お客さまから接客についてのご指摘が施設全体で増えてきているという声が目立っている様子。マスクやフェイスシールドをしている中での接客で“ご指摘”が増加するのは実感がある。
 例)自社ミス(商品をカルトンの上に置いてしまった瞬間、「新しいものにかえてください」という声をいただいた。)コロナウィルスについての敏感な対応があるお客さまが多かったものの、“気にしない”お客さまも多くなってきた。一方、衛生面でのデリケートなお客さまも一定層いらっしゃることも体感。これは、ウィルスの有無ではなく、継続的な課題(私たちが気にしなければいけないこと)と感じている。店舗としては、試食には規則に伴って対応しているが、同じ対応をしている中でお客さまの反応の違いがある。

👤接客で会話をすることが好き・得意というスタッフ(1対1)、複数のお客さまに対応(エンターテイメント性のあるサービス)を提供することが好き(得意)というスタッフの特徴が明確になってきた。自身の接客スタイル(得意・顧客様をつくる)ことなど気づきのある日々

👤9月から新入社員として勤務開始になった“2020年度新入社員さんたち”が、オフィス勤務や通勤に必要なものを揃えるために来店されることが増えた。35歳以下の若年層のお客さまが増えてきている。購入される方の層が変化、1つ1つをしっかり検討し「安くて良いモノ」を親御さんと来店されて買い物されている姿も目立っている。

👤フードコートなどの利用を見ていると、屋外で食事をされているようなお客さまが増えている。購入比率はさほど上がらないモノの、SCへの来館・来場が増加している。家族での週末を過ごすSCになっているような様子。屋外型SCで安心感もある。館内アナウンスも頻繁(15分に1回など)に流れている。マスクや手指の消毒・セルフでお願いしている部分にも定着が見える。

👤勤務されているスタッフへの安全配慮(衛生面)でも、SC側(会社側)からの配慮も感じられる。それに対する感謝する気持ちと対応


👤レストラン、ホールで仕事をしてみて感じたこと。これから新店舗がオープンするような企業、理想はアットホームな店舗にしたい(鮮魚をプレゼンしてメニューを選定していただくような仕掛けを本来はしている)、飲食店はコロナの影響で人手不足が起きている(例)洗い場に人がいないので、食器がたまってしまう。(都内はお客さまが戻ってきている中で、スタッフを減らした影響で人手不足、本来のあるべき姿(サービス)ができていない。商品知識などは無いものの、全てのお客さまに会話をしたところ“お客さまは、目を合わせて会話をしてくださって質問などもしてくださる)人手があれば、もっとサービスができるはず。
 新店舗に携わる予定なので、新しいお店は“良いお店にしたい”=”接客に力を入れたい“、変えてはいけないことを見誤ってしまうことの怖さを店舗(経営側)が実感。経営・オペレーションとしてコロナ禍の影響が出ている。

👤接客に強い人が見いだされるようになってきているように感じている。有名料亭に行った際、これまでは担当スタッフがサービスついてくれていたが、度々サービス担当が変わるようになっていた。これまでの一客に対する丁寧なサービスが失われ、寂しい気持ちになった。同じく挨拶のない食物販の店舗もあり、悪い印象が残った記憶がここ最近ある。
 コロナ禍においても、独自の一貫したサービスを徹底している(施術)店舗への好感が増すことも経験した。
 お客さまと店舗との乖離を感じるような会社・ブランドは淘汰されていくのかもしれない。だからこそ、お客さまとスタッフとの関係がしっかりと作れているようなことができると、業界・未来は明るい!バックアップする側としても体制を整えたいと考えている。

👤ソーシャルディスタンスは気を付けているが、お客さまスタッフともに配慮しながらも“できるかぎり店頭にきてくださった方に”変わらないサービスを意識している。嫌がられることも踏まえて、お客さまへの配慮はしている。

👤各SCに行くことが増えて、接客力の高いスタッフからの声「お客さまから少なくなった分、丁寧に・これまでよりも違うジャンルの会話ができるようになった。更に、今はお客さま数が戻ってきているので、マスクなどがある中で表情などの工夫・お客さまへの共感

👤例年購入しているアパレル店舗に出向いた際、「○○はあまり無いのですよね・・・」でスタッフが去ってしまう。お客さま側からすると、こちらから商品に触れすぎるのはどうなのか・・・と遠慮してしまう。毎年購入することを楽しみにしてきたブランドではあったものの、今年初めて購入せずに断念した。消費者としても”買いたい”気持ちを持ちながらも、接客=売る気がない店舗では購入に至らない。

 

 serendipity

 買い物をするための手段・選択肢が増えることは豊かなことであることは確かであり、もっとシンカすることでしょう。同時に、残しておきたいことはモノとの出会い・ヒトとの出会いにおけるserendipity(セレンディピティ)です。生活・人生を、より一層豊かなものにしてくれるのではないかと考えています。
 そのために、店舗にはお客さまにとってより良きモノとの出会いを繫げる役割になる接客・サービスのスペシャリストが存在していて欲しいと願います。

 サロンメンバーとは、オフラインでの店舗接客やサービスについての可能性を引き続き、一緒に探ってもらえることを期待しています。

 



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