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小説を書くために必要な2つのこと

小説を書くために必要な、2つのこと。

①誰かを心から好きになること
②その人からこっぴどく振られること。

綺麗な景色とか、心が動いた瞬間を共有したくなる人が好きな人だとしたら、永遠に話せなくなって、今まで大好きな人のために向けていた言葉の行きどころが原稿用紙に向かった人が小説を書くんだ。

高校のときに、文芸部で賞を取っていた同級生の言葉をふと思い出した。早大の文学部に行ったはずだ。笑顔が素敵で、人当たりもいいのに、どこか掴みどころがない猫みたいな気まぐれさを持っている人だった。彼も、固有の寂しさを原稿用紙に向けていたのだろうか。

そんな人が書いた文章が、境遇とか心のひだが同じ形をした人に、そっと染み込んだときに、救われると思っている。論文的な新しい概念や現象を見つけて誤解がないように伝える文章と違って、文芸と言われる領域のできることってそこにあると思っているんです。少なくとも僕はそんな文章に救われてきた。

そのときに、AIとかchatGPTみたいな早くいい感じに生成される文章を超えられるとしたら、ゴッホの絵が彼の人生と重ね合わせられて価値が上がるように、書き手の思想や、それが人生にまで滲み出したような文章だと思うんです。

ところで、風の噂で高校の文芸部だった彼は投資銀行に就職したと聞いた。

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