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宝石とお客様を繋ぐのは。〜マンガ『宝石商のメイド』シリーズ〜

こんにちは。桜小路いをりです。

最近、やませちかさんの『宝石商のメイド』という漫画のシリーズにハマっています。

宝石の買い集めのためにしょっちゅう店を空ける主人に代わって、宝石店を任されているメイドさんのお話。

そのお店には、石に目がない店主が集めた、数々の珍しい宝石が並んでいます。
磨かれた「宝石」だけでなく、まだ宝石になる前の鉱物も取り揃えられており、非常に珍しい宝石店です。

メイドさんは、店にやって来るお客様の話を聴き、その人の要望や悩みに合わせて、ぴったりの石を提案します。
時には、お客様の背中をそっと押す言葉をかけてあげることもあったり。

派手な展開はなく、ゆるゆるとした時間が流れる宝石店を舞台に描かれるのは、お客様と石との、かけがえのない出会い。

素敵なメイドさんに導かれながら、読み手の私たちも、素敵な石たちにたくさん出会うことができます。

宝石を始めとする石が好きな方はもちろん、心温まるストーリーに癒やされたい方にも、とてもおすすめです。

私は、とにかくこの漫画の絵が好きです。

宝石のキラキラした輝きが、モノクロのページでも鮮やかに伝わってきて、すごく素敵。

何より、メイドのエリヤさんも、そのご主人様も、「石」を心底愛していることが伝わってくる、すごく魅力的な人物です。
それが口コミで広まっているためか、お店にやって来るのも、素敵なお客様ばかり。

読み進めていくと、エリヤさんの過去も少しずつ明らかになっていって、穏やかなストーリーの中にも、きちんと緩急があります。
連作短編なので、少しずつお話どうしが繋がっていくのも見どころ。(個人的には、3巻のいちばん最後のお話が好きです。)

石は、そのひとつひとつが唯一無二のもので、その中でも特に美しい選りすぐりのものが、丁寧に磨かれてアクセサリーになって。

でも、実際には、人が決めた価値だけでは測れない、その石にしかない魅力もあったりして。

「人」と「石」の出会いは、一期一会で運命的。
その縁を繋ぐ「宝石商」という仕事を繊細に描くこのシリーズは、「出会い」の大切さと温かさを教えてくれる気がします。

そして、どんなに高級で貴重な石でも、そこに持ち主の想いが重ならなければ、それは「その人にとって唯一無二のもの」にはなり得ない。

逆に言えば、世間的に価値のあるものではなくても、もし強く心惹かれたのならば、それは「その人にとって唯一無二のもの」になり得る。
そんなメッセージも感じます。

明日は最新巻の4巻が出るので、これからどんな展開になっていくのか楽しみです。(なんでも、宝石店が開かれたワケが明かされるとか……)

気になった方は、ぜひお手に取ってみてください。

きっと、宝石のようにかけがえのない読書体験ができるはずです。

今回お借りした見出し画像は、アンティークなネックレスの写真です。色合いも雰囲気も『宝石商のメイド』にぴったりで、運命的な出会いに思わず歓声が漏れました。こういうささやかな感動も、noteの醍醐味です。

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