今林伸支(Shinji)

ベトナム・ホーチミンに駐在して10年以上。環境、リサイクル、脱炭素関連の仕事に10年以…

今林伸支(Shinji)

ベトナム・ホーチミンに駐在して10年以上。環境、リサイクル、脱炭素関連の仕事に10年以上取り組んでいる。アジアを中心に海外事業の経験を多く積む。ベトナム人の家族を持つ。大前研一のBond-BBT MBAプログラム卒業、赤羽雄二オンラインサロンメンバー。大阪鴨塾1期生。趣味は読書。

最近の記事

廃タイヤリサイクルの現状とこれから

〇日本でのタイヤリサイクルの現状はどうか 日本では年間9,100万本、重量にして98万トンのタイヤが廃棄されている(2021年)。ブリジストンの調査によると回収率は94%で非常に高い。しかし、そのうち一番割合が大きいのがサーマルリサイクルで64%を占めるのが現状である。 サーマルリサイクルとは燃料として燃やしてカロリーを取り出す方法だ。英語ではリサイクルという言葉は使わず、Energy Recoveryと表現したりする。このサーマルリサイクルはリサイクルの定義や解釈の問題で

    • リチウムイオン電池のリサイクルの将来

      〇電池市場の現状と将来はどうか。  電池の種類は大きく分けて3種類に分かれる。車載用、定置用、小型民生用である。2020年の容量は、車載用で146GWh、定置用で38GWh、小型民生用で82GWhになり、シェアでは車載用が多い。  それが2035年になると容量は車載用で2,070GWh、定置用で165GWh、小型民生用で193GWhになる。圧倒的に車載用の伸びが大きく、車載用を中心に大きな市場拡大が見込まれる。EV自動車のニュースがいつも話題になり、そのリチウムイオン電池の

      • ベトナムを代表する企業・ビングループとは何か。

        〇ビングループ(Vingroup)とは。 1993年にPham Nhat Vuong氏がウクライナで創業した。もともとはMivinaというブランドで即席めんの販売していたが、2000年にはベトナムに拠点を移して今の事業の中心である不動産業を始めたといわれている。なお、この即席めんの事業は2010年にネスレに約150百万ドルで売却している。これらの利益をもとに不動産をはじめたという。 Vingroupの本社はハノイにあり、2007年にハノイ証券取引所に上場している。小売業で

        • ベトナム産木質ペレットの問題:日本の発電所向けに適しているのか。

          〇日本のバイオマス発電所向けベトナム産木質ペレットで起こっている問題  木質ペレットの価格が高騰し、多くの日系企業が頭を抱えている。昨年はベトナム産木質ペレットの価格はFOB100ドル~110ドル程度で推移していた。ところが今ではFOB180ドル台の成約もあり、ベトナム側のオファーでいうと200ドル台のオファーも聞く。1年もしないうちに価格が倍近くになったことになる。  価格上昇があまりにも急に起こったために、ベトナム企業と価格の再交渉や契約した数量が納入されない問題が起

        廃タイヤリサイクルの現状とこれから

          ベトナムで脱炭素化によるビジネスのチャンスはあるのか.

          〇脱炭素化に向けて動き出しているベトナム  ベトナム政府は脱炭素に向けた方針を明確に打ち出している。2021年11月のCOP26ではベトナムの代表として参加していたファム・ミン・チン首相が「2050年までに温室効果月の排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする」と宣言した。これを受けて政府は第8次国家電力開発マスタープラン(PDP8)原案を見直すことにした。著者はまだ詳細を確認していないが2022年4月版の草案では脱炭素化がさらに加速する内容となっている。  脱炭素の内容

          ベトナムで脱炭素化によるビジネスのチャンスはあるのか.

          地球温暖化は人間活動の二酸化炭素排出が主因なのか。脱炭素は正しいのか。

          〇本当に地球は温暖化しているのだろうか。 環境・リサイクルに関連する仕事を10年以上しているので環境に関連する情報に触れる機会が多い。特に最近は脱炭素経営などと言われ、我々も脱炭素を事業に取り込んでいき、どのようにビジネスチャンスに繋げていくか日々模索している。そうなると当然、地球温暖化に関する情報はよく目にするようになる。IPCC(国連・気候変動に関する政府間パネル)の発表にある「産業革命前からの気温上昇を1.5度以下にしなければ人類に深刻な影響を及ぼす」という記事はよく目

          地球温暖化は人間活動の二酸化炭素排出が主因なのか。脱炭素は正しいのか。