Shining Audio

DTMを中心に、レコーディングからミックスダウン、マスタリングまで様々な技術解説を行っ…

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DTMを中心に、レコーディングからミックスダウン、マスタリングまで様々な技術解説を行っていきたいと思います。 メジャー流通音源制作実績、スタジオ機材制作実績多数あります。

最近の記事

【理解不能】音響に関わる意味不明な表現

色々な現場で色々な方々と音楽関係の仕事をしていると、意味の分からない表現を耳にすることがあります。あるライブPAをしていた時の事でした。演者のマネージャーさんから 「もう少し音を丸くしてもらっていいですか?」 と言われました。初めての表現で、一体この人は何を言っているんだと。プロしかいない現場で、指示や要望がある場合、個人的な表現は使ってはいけません。「音を丸くして欲しい」という要求は、今は音が丸くないということで、では丸い音とは何なのかと考えても意味が分からないので、無

    • 【機材環境編】聴いているのは電源の音ではない

      音源制作の現場にいると、電源についての話題がよく挙がります。電源ケーブルを変えたら音が良くなったとか、交流100Vの電源を綺麗にする電源タップやトランス、壁コンセントを何たらなどです。 しかしそのほとんどが、機材の外部の話であり、電子回路の基本的なことを理解していれば、そのような触れ込みの商品に手を出すことはありません。 音響機材における電源とは 実際にヘッドホンやスピーカーを鳴らしているのは電力ですから、電源による影響は100%あるものの、直接影響しているのは壁コンセン

      • 【機材環境編】世界最高クラスのモニター環境を激安で構築する(D/Aコンバータ)

        DAW上でミックスダウンやマスタリングを行う場合において、ほとんどの方がASIO対応のオーディオインターフェースを使用されていると思います。外部D/Aコンバータを経由しない限り、インターフェースのD/Aの音に縛られてしまい、「超」高音質を体験したことがある方は多くはないでしょう。 「Lynx Aurora」でもD/Aコンバータのダイナミックレンジは120dBと、現行(2021年7月)のハイエンドD/Aの140dBには程遠いです。 編集時には入力は必要ない レコーディングで

        • 【初心者向け】ミックスダウンで使えるフリープラグイン(コンプレッサー+EQ)サンプル音源あり

          VSTプラグインが普及して久しいものの、Wavesなどの高級プラグインは高額で種類も多く、どれを選べば良いのか初心者には難しいものです。そこでミックスダウンで不可欠なコンプレッサーとEQをフリープラグインから探してみました。 コンプレッサー 選択の基準はいくつかあります。まずアタックができるだけ速く設定できるもの、ゲインリダクションが目視できるもの、SSLや1176などの古い設計のモデリングでないものです。 ヒットしたのは「TDR Feedback Compressor

        【理解不能】音響に関わる意味不明な表現

        • 【機材環境編】聴いているのは電源の音ではない

        • 【機材環境編】世界最高クラスのモニター環境を激安で構築する(D/Aコンバータ)

        • 【初心者向け】ミックスダウンで使えるフリープラグイン(コンプレッサー+EQ)サンプル音源あり

          【初心者向け】機材やソフトウェアは何を買えば良いのか

          これまでは、中級者以上を対象とした記事を書かせていただきましたが、これからDTMを始めようと思っている方のために、機材やソフトウェアは何を買えば良いのか、筆者の主観で書かせていただこうと思います。 オーディオインターフェース:ドラムをレコーディングしない場合 ドラムは打ち込みで済ませる場合、多数の入力は必要ありません。かと言って、本当の初心者向けのオーディオインターフェースでは音質に限界があります。やはりデジタルマイクプリは欲しいところです。 MOTU AudioExp

          【初心者向け】機材やソフトウェアは何を買えば良いのか

          【マスタリング編】音圧はどうやって上げるのか

          ポピュラー音源のマスタリングで求められるものと言えば、99%が「音圧」です。要はうるさくしてくれという事です。音質のことを考えると、完全なステレオの状態が最も良いはずですが、それを破壊してうるさくして欲しいという要望は後を絶ちません。 音質を維持したまま、音圧を上げる方法を解説します。 M/Sに分離 ステレオトラックの状態でピークを持っている音はMidです。このままではコンプレッサーやリミッターがMidに反応し、Sideまで持ち上げることはできません。先ずはM/Sに分離し

          【マスタリング編】音圧はどうやって上げるのか

          【マスタリング編】ステレオを知る

          ステレオにミックスダウンした後は、どのような状態にあるのでしょうか。この「ステレオ2ch」の状態を詳しく理解しなければ、マスタリングに進むことはできません。ステレオの状態について解説します。 未だマルチトラックの状態である マルチトラックと言っても、左右のチャンネルだけではありません。ステレオトラックで位相関係を持っている場合、どのようなものでも「Mid/Side」に分離することができます。例えばドラムトラックであれば、中心に位置するバスドラムやスネアが「Mid」の成分に

          【マスタリング編】ステレオを知る

          【ミックスダウン編】ボーカルの音量制御、イコライジングを一瞬で完璧にする方法

          ミックスダウンも趣味でない以上、如何に早く良い音質で納品できるかを目指します。ドラムやベース、ギターというのは大抵同じような音がするので対応もそれほど難しくありませんが、ボーカルやコーラスというものは同じボーカリストでも楽曲や歌詞によって毎回変わるトラックです。 「さ」行が多ければ高域を多く含み、マイクが近ければ低域を多く含み、イコライジングで苦労します。 ミックスダウン編ではボーカルのフェーダーオートメーションを素早く書く方法を解説させていただきましたが、次に待っているのは

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          【ミックスダウン編】ボーカルの音量制御、イコライジング…

          【エフェクター編】イコライザー

          もうこれは乱用ばかりを目にします。カーオーディオやスピーカーなど、環境によって適切なイコライジングが必要であることは理解できますが、それこそ熟練のライブPAでなければ、環境に合わせたイコライジングは不可能でしょう。筆者の専門分野は音源制作ですので、その視点からイコライザーとは何ぞやということを解説します。 位相をずらして特性を変える道具 リニアフェイズ以外のイコライザーは全て位相をずらします。位相がずれるということは、原音の波形を留めない=歪むということです。ギターのオー

          【エフェクター編】イコライザー

          【エフェクター編】コンプレッサー

          ミックスダウンからマスタリング、ギターやベースまで、よく使われるコンプレッサーについて理解を深めることで、デジタルレコーディングにおける正しい使い方も見えてきます。 なぜ必要なのか レコーディング編やミックスダウン編でも度々書いているとおり、アナログ時代のレコーディングでは、予測できない音量の変化への対応や、記録できないフェーダーコントロールの再現性の担保にコンプレッサーは大いに役立ちました。予測できない音量の変化を安定させるという点では、現在でもライブPAでコンプレッサ

          【エフェクター編】コンプレッサー

          【ミックスダウン編】裏ワザ・ドラム

          ドラムのミックスダウンでは、位相問題で作業が捗らないことが多々あります。特に厄介なのがタムの存在です。タムが鳴るところはフィル部分であるケースが多く、そのためシンバル類のカブリがどうしても入ってしまい、位相を完璧にシンクロさせて、フェードアウト等を駆使してもタム部分だけ不自然な音になってしまいがちです。 そのため、ドラマーの了承さえ得ることができれば、筆者はレコーディング時にタムにマイクを立てません。その代わりに、シンバルやスナッピーを完全にミュートした状態(外しても良い)で

          【ミックスダウン編】裏ワザ・ドラム

          【ミックスダウン編】ピアノ、ストリングス、その他キーボード

          ハイパス、位相調整以外には何もしない ポピュラー楽曲において、ピアノの奏法はクラシックのようにダイナミック(強弱の差が大きい)ではありません。レコーディングに失敗していなければ、それほど音量が暴れることもなく、ハイパスと位相合わせ以外には何もできません。 ストリングス系もよく使われます。このように音量が安定しているトラックは位相調整以外は何もできないのです。エフェクトが何もかかっていないストリングスであれば、ホール系リバーブを足すくらいなものです。 サックスやバイオリン、ま

          【ミックスダウン編】ピアノ、ストリングス、その他キーボード

          【ミックスダウン編】ボーカル/コーラス

          歌モノの主役です。エンジニアからすると最も面倒なトラックでありますが、主役ゆえにいい加減にミックスすることはできません。今回はボーカルやコーラスのトラックをミックスダウンする方法を解説します。 ボーカル定食をやめましょう DTMでも設備さえあればボーカルのレコーディングが容易になったため、プロではない方がボーカルをミックスすることも多くなっています。そういった方のトラックを見てみると、どこで仕入れた情報か不明ですが、コンプレッサー、EQ、ディエッサーを当然のようにトラック

          【ミックスダウン編】ボーカル/コーラス

          【ミックスダウン編】アコースティックギター

          ミックスダウンでアコースティックギターを綺麗に鳴らすには、少々の知識が必要となります。エレキギターのように歪ませることはほとんどなく、サスティンも伸びにくいので、失敗するとジャカジャカとピッキングの音しか残りません。ポップスで採用されることの多いスチール弦を前提に、アコースティックギターのミックスの手法を解説します。 基本的にはクリーンのエレキギターと同じ 楽器の成り立ちから見ても分かるとおり、音の特性はクリーンのエレキギターと大差ありません。若干アコースティックのほうが

          【ミックスダウン編】アコースティックギター

          【ミックスダウン編】エレキギター

          クリーン系からクランチ、ディストーション系まで多彩な音が出るエレキギターのトラックはどのように処理すればよいのか、パターン別に解説します。 エレキギター全般について エレキギターの帯域の特性として、ほとんど低域も高域もありません。実際にギターの個性を決める帯域は2KHz付近にあり、最低域は重視した場合でも200Hz程度が限界です。EQで調整する場合には、主にこの範囲内で行います。ローパス処理まで行う必要はありませんが、不要な低域はハイパスフィルターで予め切り捨ててしまいま

          【ミックスダウン編】エレキギター

          【ミックスダウン編】ベース

          レコーディング編と同じく、エレクトリック・ベース・ギター(以下、ベース)のミックスダウンについて解説します。スタジオでの高級な環境での話をしても現実的ではありませんから、ロック、ポップス曲をオーディオインターフェースで直接レコーディングした場合を想定します。 基本的には音量を安定させること ベースという楽器の特性上、ラインでレコーディングしたトラックは音量が大きく暴れます。特にスラップ部分では強いアタックが特徴的で、まるで打楽器のような波形を作ります。 さらに、多くの場合

          【ミックスダウン編】ベース