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【ミックスダウン編】裏ワザ・ドラム

ドラムのミックスダウンでは、位相問題で作業が捗らないことが多々あります。特に厄介なのがタムの存在です。タムが鳴るところはフィル部分であるケースが多く、そのためシンバル類のカブリがどうしても入ってしまい、位相を完璧にシンクロさせて、フェードアウト等を駆使してもタム部分だけ不自然な音になってしまいがちです。
そのため、ドラマーの了承さえ得ることができれば、筆者はレコーディング時にタムにマイクを立てません。その代わりに、シンバルやスナッピーを完全にミュートした状態(外しても良い)で、コンデンサーマイクを使って各タムのワンショットをレコーディングしておきます。そのカブリ問題が全くないタムをミックス時に貼り付けます。もはや打ち込みのような手法ですが、オーバーヘッドがドラム全体の音を拾ってくれているので、ビート感やドラムの雰囲気を損うことなく、タムの音を存分に鳴らすことができます。
特にフロアタムはかなりのサスティンを持っているため、このワンショットによる手法はとても有効です。デジタルレコーディングならではの方法ですので、使わない手はないでしょう。

楽曲によってはスネアでも使える

ゴーストノートを叩かない楽曲であれば、スネアでも使えます。仮にゴーストノートが多用される場合でも、強拍だけをワンショットに置き換えてしまっても良いでしょう。
もしゴーストノートがないドラムをレコーディングするのであれば、筆者はスネアにもマイクは立てません。スネアにおけるオンマイクの価値はそれほど大きくなく、ドラムの中でもスネアは音量が極めて大きいため、スナッピーを含めたスネアらしい音はオーバーヘッドに入っており、わざわざカブリのあるトラックをレコーディングする必要性は低いのです。
いずれにしても、スネアのワンショットはレコーディングしておいて損はありません。

スプラッシュ

レコーディング編でも軽く触れましたが、スプラッシュはサイズが小さくなるほど音量も小さくなります。クラッシュのように大きく揺れないので、近接(50cm程度)でもワンショットであれば綺麗に集音することができます。ドラマーとの相談になりますが、綺麗なスプラッシュが必要な場合はレコーディング時に叩かず、ワンショットをミックス時に足したほうが良いでしょう。「チャリーン」というスプラッシュの独特な音はオーバーヘッドでは遠すぎて集音できません。

ドラムトラックを理解して工夫する

楽曲におけるドラムトラックの全体を把握すれば、上記のような方法は現場でもすぐに対応できるはずです。ドラムのレコーディングが終わったあと、プレイバックはほとんどのドラマーが望みます。そこで「このままタムを足すとカブリが大きいからワンショットで足しても良いか」とか、「スプラッシュが聞こえませんね、ワンショットで入れときますか」などといった協議を進めてドラムトラックは完成していきます。
あくまでドラム全体はオーバーヘッド、捉えきれない部分をオンマイクや別レコーディングでカバーするという考え方です。

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