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サービスブループリントを活用するために、大切な5つのこと

こんにちは。UXデザイナーのはまちです。

この記事は、サービスブループリントを有効活用するための方法や考え方について考える、第二弾の記事となります。

前回の記事では、そもそもサービスブループリントとは何か?サービスブループリントはどのような点に優れているのか?といった点について記載しました。

今回はその知識を前提に、このツールを有効活用するために大切にしたい、5つのことについて書いていきたいと思います。


1. 使う目的を明確にすること

サービスブループリントは、あくまでサービスの全体像を可視化するツールにすぎません。つまり、それ自体は最終成果物でなく、常に、より良いサービスをつくるための中間成果物であり続けることになります。

ですので、まずはサービスブループリントを作ることが目的になってしまわないよう気をつけなければなりません。

それを念頭に、意識したいのが

何のために今このツールを使うのか?

という目的の部分です。

前回の記事で、サービスブループリントが担う役割を、3つの観点から書きましたが、このツールが何に優れているのかを理解した上で、今行いたいこと= 目的 と照らし合わせる。そしてその両者が合致すれば活用する。そういったプロセスをきちんと踏むことが、このツールを有効活用するために大切なことだと思っています。


2. 作成プロセスに関係者を巻き込むこと

サービスブループリントを作成するプロセスに、そのサービスを運営する関係者を巻き込むことで、以下のメリットを得ることが出来ます。

1) 関係者の理解が揃う且つその解像度も上がる
2) 偏りなくサービスの全体像を理解できる
3) 顧客体験に一貫性が生まれやすくなる

サービスが大きく複雑になればなるほど、顧客との間には様々な接点が生まれますし、それぞれの担当者は当然、各職務領域の範囲でサービスを理解しています。

そういった中、サービスを運営する関係者が集い、サービスブループリントを作成することで、お互いの知見を補完しあいながらサービスへの理解を揃えることができ、更にはその解像度を上げることも可能となります。

作成プロセスに関係者を巻き込むこと

また、サービスの「企画側」と「提供側」といった形で役割を分断してしまうのではなく、実際に顧客に接する関係者も含めてこのプロセスを共にすることで、コンセプトがコンセプトのまま終わることを防ぎ、サービスを通して一貫性のある体験を顧客に提供することが可能になります。

とはいえ、多くの制約がある実際のプロジェクトでは、全ての関係者を巻き込むことが出来ないケースも多くあると思います。実際、今年私がご支援したプロジェクトでも、同様のことが言えました。

そういった時は例えば、これまでそのサービスに様々な側面から携わってきた方に協力頂くことで視点の偏りを防止したり、プロセスを共に出来なかった関係者にオペレーションを伝達する際に、サービスブループリントを活用するなど、それ自体をコミュニケーションツールにすることも可能です。


3. まずはサービスの全体像を捉えること

初めからサービスの特定部分に着目するのではなく、まずはしっかりとその全体像を理解することが大切だと言えます。

「顧客にとって、何が価値といえるのか?」といった問いに立ち返った時、次に待ち受けるのは、

具体的にサービスのどの部分を工夫すべきか?

といった問いになります。

しかし、サービスの全体像を捉えることが出来ていない限り、その問いに対する最適解を出すことは出来ません。

まずはサービスの全体像を捉えること

更に言うと、サービスの関係者で各々の視点を補完しあい、より網羅的にその全体像を把握できていない限り、最適解を出すことは出来ないとも言うことが出来ます。

そういった意味で、大変なプロセスではありますが、まずはしっかりとそのサービスの全体像を理解することが、このツールを活用し、より具体的なサービスの議論をしていく上で、とても重要になると言えます。


4. 「事業目線の目的」と「顧客目線の価値」を明確にすること

これまで書いてきた1〜3のポイントをいくら満たしたとしても、この4つ目のポイントをクリアしない限り、このツールを有効活用することは出来ません。

なぜなら、いざサービスの理想像を描こうとした時、「事業目線の目的」「顧客目線の価値」の両者が明確になっていない限り、その「理想像」が理想であるかを判断する軸が無い状態になってしまうからです。

また、この点は前回の記事「サービスブループリントが担う3つの役割」で、2つ目の役割として書いたこととも関係してきます。

プロジェクトの制約を踏まえた時、理想像を実現するためにはどの課題を優先的に解決すべきなのか... どんなレベルの解決策を導入すれば良いのか... 

上述の2点が明確になっていない限り、そういった「理想と制約の擦り合わせ」をすることも出来ません。

「事業目線の目的」と「顧客目線の価値」を明確にすること


とはいえ、何が顧客にとっての価値なのか、といった点は中々定義が難しいですし、ある意味、それを定義しきることは出来ないかと思います。

そんな時は、もちろん顧客調査を事前に行うに越したことはないですが、例えば初期段階では、実務経験を踏まえた仮説ベースで「顧客目線の価値」を定義し、早くコストをかけずにサービスのプロトタイプを作り、実際に運用をしながらそれを検証する、といった方法も一つのやり方です。

いずれにせよ、サービスブループリントを有効活用するためには、それ以前に「事業目線の目的」と「顧客目線の価値」を明確にしておくことが必須条件であると言えます。


5. つくったまま放置しないこと

冒頭でも述べた通り、サービスブループリントは最終成果物でなく、常に、より良いサービスをつくるための中間成果物であり続けることになります。

つまり、関係者を巻き込みながら作っているものは、本質的にはサービスそのものであり、サービスブループリントではありません。

ですので、実際にサービスを運用してから、常にこのツールをサービス改善のための議論の土台として活用していくことがとても重要になります。

議論の土台としての役割は、前回の記事でもう少し詳しく書いています。


結局は常に目的に立ち返ることが大切

いかがでしたでしょうか?

長々と書いてしまいましたが、前回書いた「サービスブループリントが担う3つの役割」を踏まえると、上述の5点は「当たり前のこと」と思われたかもしれません。

そういった意味では、しっかりとサービスブループリントが優れている点を理解し、それを活用する目的を明確に出来ていれば、自ずとこの記事で書いたポイントをおさえ、このツールを有効活用することができると思います。

とはいえ、プロジェクトが複雑であったり、色々な制約があったりと、現実問題、手段が目的化してしまいそうになることは多々あるかと思います。

そんな時に、この記事で書いたポイントが参考になれば嬉しいです。


さて、次回の記事では、実際にサービスブループリントを活用する際に踏むことになる4つのステップについて書いていきたいと思います。


▼目次
1. サービスブループリントが担う3つの役割
2.サービスブループリントを活用するために、大切な5つのこと
3.サービスブループリントの活用4ステップ