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【青年海外協力隊】次の進路に「現地就職」を選んだ話。

青年海外協力隊は基本的には任期は2年間と決められています。退職して参加する隊員も多いので、多くの隊員は帰国後の進路に悩まされることになります。

南アフリカに派遣されて1年となる2018年3月末から1週間、職場が休みに入った。そこで私は年明けに初めてお会いした在住日本人の方のお宅へ数日間遊びに行かせてもらった。ここで頂いた紹介が次の進路への決め手に。
「南アフリカの企業に現地就職をする」
いま、ワクワクしかしない。

協力隊の身分や進路って…。

さて、協力隊は大きく二つの立場で参加することができる。

仕事を辞めて応募する「退職参加」
雇用が維持されたまま休職などの形で参加する「現職参加」

現職参加にもいろいろ形態があり、有給・無給や1年間の期間限定などあります。また教職員などの公務員や一般企業の社員と人も様々。もちろん現職参加の隊員は帰国後、間もなく復職することになる場合が多い。

今回のテーマの『進路』について、協力隊事務局は帰国後の進路調査を行っている。参照はこちら

その結果は「就職」が大半を占めている。次の進路に繋がらないのは協力隊応募にも影響するので事務局も気を使っている様子。相談窓口やカウンセラーを設置してサポートをしてくれます。
他の進路に「学業」。特に国際協力の世界では2年程度の実務経験や修士・博士の学位を求められることが多いので、それらをセットで計画しておいて任期を過ごした後にイギリスなどで修士課程に入る人もいる。

私の進路は…

そんな私は退職参加の隊員ですが、退職は応募のずいぶん前のこと。前職は自動車メーカーの工場で生産設備のメンテナンス(設備保全)を7年ほどしていました。高卒で働いていたので、経験をずいぶんと積めたので20代半ばでも、人手不足の時にはシフトリーダーを任されたり、夜勤のメンテナンスや立ち上げと言った作業を担当させてもらうこともありました。

海外への憧れみたいなのは昔から持っていて、退職し留学や海外旅行をして流れ着いたのが青年海外協力隊。今は南アフリカの科学館で設備保全のサポートの仕事をしています。

そんな私は先日の6月20日に30歳に…。20歳を迎えたとき、まさか次の節目を南アフリカとは夢にも思っていませんでした。そしてこの30歳の節目が、ここ数年どことなく焦りを煽っていた。それが「進路」。

協力隊2年目を迎えるのを前に進路に決め手を欠いていて色々調べてた。というのも大学進学というのも一つの選択肢だったからで、大学自体は日本にこだわりはない。とはいえ英語も堪能ではないので、もし海外の大学を選ぶなら英語のスコアを取るための勉強も必要になると思ったから。

大学についての懸念はやはり年齢。30代入って更に4年の通学はその先が厳しくないかと悩んだ。他にも、通信課程は?4年分の費用は?など考えることはたくさんあります。海外で生活や留学している家族に聞けば、年齢は気にすることないとはいえ、30年も日本人やってるとなかなか腑に落ちず。パートナーに聞けば、目的やその先のことを聞かれると少々ツラかった。正直なところ、箔をつけたいとかコンプレックスの解消みたいな一面もあったからだと思う。とりあえず、候補の大学や学部まで選んでいた。

そして就職のことも。自身の「工業」と「国際協力」の経験を掛け合わせた仕事として「開発コンサルタント」が選択肢に上がっていた。日本の企業だが仕事で世界を舞台にする仕事。日本を拠点に半年くらい出張で行き来するような仕事はやってみたい働き方だった。この職業はインフラ系や土木系が多いのだが、少なからず経験を生かせる求人もあったので、帰国前後には説明会参加や応募などアクションを取っていこうと思っていた。

2年目に入った時に。

進路についてスイッチが入ったように調べ回り、それが落ち着いたころに協力隊2年目を迎える。
3月末から4月の最初の週は、南アフリカの学校も休みに入るのでそれに合わせて職場も休みに入った。その休み期間の大半を南アフリカに在住している日本人の方のお宅でお世話になった。その方は通訳・翻訳家として南アや日系の企業から仕事を受けていて、海外生活は10年以上となる大先輩です。

その時はどんな話をしていただろう…。近況を話してただけだったと思うけど、進路についても考えだしたと話したのだろう。

「海外とも関わった仕事をしたい」
「日本でずっといるのはなんだか物足りない」
「前職の経験も活かせられたら…」

その時に、ある日本人Aさんを紹介してもらった。
Aさんも南アフリカ在住で、勤め先は南アフリカの企業。その企業は工場で使われるような設備を取り扱っていて、南ア国内の大手メーカーの工場と取引している。Aさんは社長から事業拡大に向けての人材を探すよう言われていた。具体的には「工業に関する知識や設備の経験を持った日本人」を探していたそう。というのも、日系企業の工場には権限を持つ駐在日本人がいる。取引をしていくうえで日本人が窓口になるというのは大きなアドバンテージになるそう。

さっそく頂いた電話でAさんからは「協力隊は辞められるのか?」「いつから来れるのか?」「休み明けに会いに行っていいか?」と言う勢い。私のほうが勢いに押されていた。すごく魅力的だったが、少し立ち止まって考えられるように数週間後に私がオフィスを訪問することと、事前にCVを送ることで落ち着いた。

突然の「南アフリカに現地就職する」という選択肢。協力隊に行く前、「将来は現地の日系企業に駐在員として関われたら…」なんて考えたこともあったが現地就職とは…。考えることはまた増える。

現地就職で考えること。

やはり最初に給料面。
基本的に現地で生活できる金額になりそう。東南アジアで働く話を読んでみたが、現地生活は十分な生活でも、帰国のことを考えると日本の平均はぐっと下回ることも。
発展している南アフリカとはいえ、いくらになるのだろう…。生活は出来るだろうけど、日本人的考えの一つの今後の「貯蓄」の不安は少しでも解消したいというのが本音。
オフィス訪問に向けて、自分の中で協力隊で支給される生活費に住居やクルマなどのことも考えて基準を作って話に備えていた。

そして仕事面。
今回の仕事はいわゆる営業。今まではその営業を受けてきた立場である。経験から仕事の内容は想像がつくし、付き合い方とか求められることとか痒いところに手が届く提案も出来そう。ただ、苦手分野だという先入観からずっと避けて来た分野。挑戦というと聞こえはいいが少々不安。

あとは会社そのものについて。もちろん世界に展開するような大きな企業でもないから会社名は初耳だった。調べてみるとそこそこのホームページを持っていて、会う前に送ってもらった資料でも南アフリカ国内では多くの大手企業と取引をしているようで少しは安心できる。

いろいろ調べたり備えていたものの、心のうちは決まっていた。

日本で就職と比べるとこっちのがオモシロイ。
キャリア的にもいいエッセンスだと思う。
知らないアフリカ諸国よりは勝手知ったる南アフリカのがイイ。

いつも、こういう決断はぐるっと回って最初の直感に頼ってきた。
今回も話を聞いた瞬間の直感は受けたいと思った。

実際に会ってみて…。

紹介してもらって3週間後くらいだったか。ヨハネスブルグでAさんと実際にお会いした。空港で合流し、そのままカフェでいろいろお話。備えて行ったくせに説明を受けるばかりだったような気がする。ただ、欲しい話はほとんど聞くことができた。
給与や福利厚生などのサポート面は日本に引けを取らない、それどころかいくつかは日本で聞いたことが無いものもあった。給与面で日本で聞かないのはインフレ率に沿った昇給。そのインフレ率、最近は約年5%だという。給与が毎年5%上がるというのはスゴくない?

そしてそれらの契約というのは会社と個人で交渉の上で取り交わされる。さすが海外と思ったが、考えてみれば日本でもあるはずなのに聞いたことがない。日本では新卒だろうが転職だろうが大体は最初に雇用主が提示する条件を承諾できるか、だと思う。私も高卒でそのまま就職し、退職後もアルバイトをしたくらいで交渉などしたことが無い。
だからAさんと話している中で、「会社に出す条件はどうしますか?」と言われて困った。最初にこちらから提示するのだ。最低ラインは決めていたが、希望は考えてなかった。なのでAさんのことをエージェントかの様にして遠慮なしに相談していった。そして前職の給与やAさんが実際に受けている福利厚生、海外生活で不安な保険といった部分のサポートをお願いすることになった。

そして話がある程度まとまったところでオフィスを見学させてもらった。職場は支店なので本社であるヨハネスブルグのオフィスは軽く見学した程度。都市郊外なので土地は広く、オフィスはキレイなほうだった。見学することで少し実感も湧いてきた。

さて、仕事についてもいろいろ話が出来た。主には日系企業を相手に関係を築いていくのだが、そこに限らず一緒にいろいろ仕掛けていきたいという話をすることができた。また日本に出張する機会も年に数回ありそうで、もちろん仕事だけど帰れること自体は楽しみの一つになりそう。

オフィスを見学して、話もひと段落したところで帰路についた。今回のことはAさんから社長へ報告され、いくつか面接でされるような質問に回答したところで、採用への合意が取れたと連絡をもらえた。

今後は…

さて、この時はまだ協力隊の身分。現地採用に向けて話が進むのであれば、次の交渉先は今の職場とJICA。
次回はそのあたりの話をまとめてみようと思う。

頂いたサポートを励みに、発信を続けることができます。また皆さんにアフリカの世界をお届けできます。 よろしくお願いします!!