写真を通して「選択」し「判断」する
昨年12月上旬、井の頭恩賜公園で紅葉の写真を撮り終え、これから電車に乗って自宅へ帰ろうかと歩いていた時、オレンジ色の建物に照明が当たる光景を見て、思わずシャッターを切りました。
そこで写真を何枚か撮っていた際、1人の女性から
「あの〜すみません。何の写真を撮られていたんですか?」
と声をかけられました。
僕は、
「あれ?なんか悪いことでもしたかな…?もし相手に勘違いされたらいけないし、きちんと説明しよう」と思い、
「目の前にあるオレンジ色の建物の写真を撮っていたんですが、何か失礼でもありましたでしょうか」
と答えました。
しばらく続く沈黙。この方は何を喋られるのだろうかと相手の顔を伺っていると、
「写真を撮られていましたよね?今の時代、誰でも写真が撮れる時代で、しかもスマートフォンでも写真が撮れると思うんですけど、どうしてカメラで写真を撮られているのですか。また、どんなこだわりを持っているのですか」
僕としては、まさかこんな質問が来ると思っていなかったのですが、言われてみれば、写真は誰でもかつスマホでも撮れる時代になったなかで何故カメラで写真を撮るのか、そう問われるのもおかしくはないと思い、自分なりに考えていることを述べました。
写真を撮る際、様々な用途に応じてカメラやレンズを使い分けますし、カメラを使っていく中でシャッタースピード、絞り値、ISO感度、ホワイトバランスなどの設定をボタンを押したりダイヤルを回したりして変えることができる。
その結果、自分なりにイメージした写真ができることで面白さ、奥深さ、難しさを感じることができます(最終的な調整はLightroomやPhotoshopなどの編集ソフトを用いて完成しますが)。
僕にとって、それは写真を撮るうえでの醍醐味であり、撮影者によって視点や表現は変わっていくものだと考えます。
例えば撮影者が被写体のどこに焦点を置くかで、広角域で撮るのか、それとも標準域で撮るのか、むしろ望遠域で撮るのかといった形で違いが生じます。
スマートフォンであれば画面を指で使って操作しますが、カメラで写真を撮る場合はレンズを交換します。
どちらで撮るにしても、切り取り方で撮影者の個性が出るのが面白いから写真を撮る。その中でも、設定をより細かく変えられるから、カメラで写真を撮る。
カメラで写真を撮る際、確かに使うレンズが増えると荷物が嵩張ってしまいますが、そのレンズの特徴や用途を理解することで、写真表現の幅も広がっていく。それらを踏まえて、カメラで写真を撮るというのが僕の考えです。
(とはいえ、全てを理解できているわけではないですし、まだまだ勉強不足なところだらけです)
相手の方は、僕と同年代か若干年上の方のような感じで、話を聞いていると、現代における情報量の多さや時代の変化、これまで学んだことと現実との違い、自分と異なるバックボーンで育ってきた人などとの関係について思うところがあるようでした。
また、僕が話した後にじっくりと考えながら話されていたので、もしかして大学で哲学もしくは社会学系でも専攻していたのだろうかと思いながら聞いていました。
20代後半の僕が言うのも烏滸がましいですが、現代においては情報量の多さや変化のスピードがめまぐるしく動いている中でどのように生きていくのか、人間関係をどのように築いていくのかという問題が溢れる中で生きているように感じます。
当然、僕も人間関係や自身の置かれている状況から、これから先どのような人生になっていくのか、社会はどう変わっていくのか不安になることはよくあります。
いかにして選択していくかという判断が幾度となく現れていいて、常に「これでいいのか」と自問自答しながら判断をする日々を過ごしています。
話が写真に戻りますが、写真を撮るうえで目の前にある被写体をどう切り取るかは、写真を撮る前に目の前にある情報を観察して選択し、シャッターを切るということの積み重ねによって生まれると考えます。
それを重ねていくなかで、写真を撮る技術が磨かれていき、経験値として積み重なっていく。
井の頭恩賜公園での出来事は、なぜ写真を撮るのかということと、写真を撮ることを通して目の前にある情報を選択する積み重ねが大事であるということに再発見した出来事でした。
同時に、自分が生まれ育った場所や現在住んでいる場所、変化していく街や人の様子をカメラでシャッターを切ることで、自分がどんな人生を歩んできたのかを振り返るきっかけになる。
それをするために、これからも写真を撮り続けて、これから先どう変化していくのかを改めて考えるきっかけになりました。
情報が溢れる現代を生きていくうえで、行き詰まった時には、自分が歩んできた道を振り返り、一息つきながら、また歩みを進める。
その繰り返しをしながら、より良い人生にして行きたいものです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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