株式会社のおと【毎週ショートショートnote】

俺はタケシ、フリーランスライター、38歳、妻一人、子一人、大手広告代理店の下請けをしている。令和3年分の年収は1000万円を超え、令和5年分から消費税の課税事業者になる。

令和4年ももう8月が終わり秋が訪れる。元請会社からは仕事の注文が増えていた。

「やはり、法人成りして株式会社設立するかなあ」

「今、設立すればとりあえず来年の9月30日までは消費税免税事業者にはなるわね」と税理士事務所勤務の妻が教えてくれた。

「インボイスもあるんだよなあ」

「課税事業者になればそれは考える必要はないわよ」

「ただ、法人設立は既定路線になりそうだな」

株式会社のおとが聞こえてきた。

翌朝、元請会社の営業から電話があった。

「タケシは社長になる気はないか？事業承継してくれる人で即戦力になる人を探してるライター社長がいるよ。年収は1200万円スタートだそうだ」

「もち、やるよ」俺は二つ返事で答えた。

株式会社のおとは別の方向から別のおとでやって来た。

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(410字)

たらはかに（田原にか）さんの企画に参加させていただきました。

はじめましてになります。
お題が決まったショートショートをみなさんやられていて面白そうだなと思いました。

＊この記事は、以下の企画に参加しております。