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ブックレビュー「世界は贈与でできている」/近内悠太

「世界は贈与でできている」!?なんだそれは!?と興味を惹かれて手にした本。

これが読んでみるとめちゃめちゃ面白かった!!

「世界と出会い直す」という言葉が出てくるんだけど、読み終わった後なんとも言えない心象の変化起きていて、世界の見え方が変わる感じがあるんです!


著者について

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著者の近内悠太さんは、教育者・哲学研究者。

ウィトゲンシュタイン哲学というのが専門らしい。

総合型学習塾「知窓学舎」という所の講師もしていて、学問と教育を組み合わせた活動をしているようです。

「世界は贈与でできている」が初の書籍。

本も面白かったし、30代ということで今後の書籍や活躍が気になるところ!(2021.4月現在)


感想

今回のレビュー長くなってしまい、且つ上手くまとめられていませんw

なので、下の構成まで見てもらえば大丈夫かとw

それだけ印象的な内容があり、充実した内容だと思ってください!


とりあえず、端的な感想としては、

贈与に気づくことで世界の見え方が変わり生き方も変わる本

といった感じです!


構成

以下のような章の構成になってます。

1.「お金では買えないもの」の正体

2.ギブ&テイクの限界点

3.贈与が「呪い」になるとき

4.サンタクロースの正体

5.僕らは言語ゲームを生きている

6.「常識を疑え」を疑え

7.世界と出会い直すための「逸脱的思考」

8.アンサング・ヒーローが支える日常

9.贈与のメッセンジャー


「お金では買えないもの」の正体

ここでは、

・人間が未熟で生まれ育つこと
・プレゼントの習慣
・親が孫を欲しがる理由
・偽善と自己欺瞞

といったことから、贈与の定義、性質や特徴、原理やルールについて書かれています。

「贈与は受け取ることなく開始することはできない」「贈与は返礼として始まる」といった言葉があるのですが、それらは贈与の重要なルールになります!


ギブ&テイクの限界点

贈与の対極的な存在になる「交換」がキーワードとして出てきます。

資本主義とは交換の論理で、交換は見返りや計算可能な対価という生み、それが現代の生きづらさややりがいの消失に繋がっていると云います。

加えて、交換は贈与に重要な「気づき」や「想像力」を失わせてしまうとも。


贈与が「呪い」になるとき

ここでは主に贈与の負の側面について書かれています。

贈与は無意識にやっている場合もあるし、善かれと思ってやっている時でも、贈与を受けた側はなんらかの制約や苦悩を与えることになっていて、苦しめたり、呪いになることがあると云います。

呪いの説明として取り上げられているのが、

・毎年届く年賀状
・「返信は不要です」というメール
・強迫神経症
・ダブルバインド

といったもの。

呪いになりかねない贈与の性質から、

「贈与はそれが贈与だと知られてはいけない」

「後に贈与を受けていたことに気づく」

ことが必要だと云います。


サンタクロースの正体

前の章の、

「贈与はそれが贈与だと知られてはいけない」

「後に贈与を受けていたことに気づく」

を掘り下げた内容になります。

例として出てくるのが「サンタクロース」で、贈与の視点からのサンタクロースの話が面白いです!


僕らは言語ゲームを生きている

ここは言葉にまつわる意味や概念、ルールの哲学的な内容になっています。

近内さんの専門であるウィトゲンシュタイン哲学では、野球やチェス、コミュニケーションなど、世の中には多くは「言語ゲーム」で成り立っていると云います!

その言語ゲームの概念や世界像などについて書かれています。


「常識を疑え」を疑え

「疑う」というのは「常識の中から立ち現われるもの」だと云います。

常識と疑うは蝶番のような関係で、片方だけでは機能しないということです。

なので、タイトルにあるように常識を疑うというのは可笑しいと。

疑うという、常識という前提によって見えてくるものとして「アノマリー(変則性)」という言葉が出てきます!

更に、常識やアノマリー(変則性)の言い換えとして「求心的思考」と「逸脱的思考」という言葉で話が展開していきます。


世界と出会い直すための「逸脱的思考」

ここでは日本のSF作家(小松左京・星新一)の作品や漫画テルマエロマエと絡めて話が展開します。

日常の前提が覆されてしまう世界観や異様な日常を描くSFや漫画などは逸脱的思考と同じ性質があると云います。

小松・星のSFには「破局が起きる前に破局を見ること」というメッセージがあり、僕らが忘れ当たり前化してしまっている日常や前提への「気づき」を与えてくれると。

その気づきは贈与の気づきでもあると云います!


アンサング・ヒーローが支える日常

章のタイトルにあるアンサング・ヒーローとは、評価されることも褒められることもなく、人知れず社会の災厄を取り除く人と出てきます。

アンサング・ヒーローの存在に気づく時というのは災厄が起きた時なので、アンサング・ヒーローは現れない方がいい。

現れない方がいいアンサング・ヒーローの存在は、知られてはいけないサンタクロースの存在と一緒であると。

アンサング・ヒーローやサンタクロース(=贈与する側)は知られてはいけないが、SFのメッセージにあるように贈与された側は、贈与されていたことに気づくことが重要だと云います!


贈与のメッセンジャー

夏目漱石の「月が綺麗ですね」という一節、SNSや昔のポップスの歌詞の例から、僕らは何かに心が動かされた時、それを誰かにシェアせずには居られないメッセンジャーとしての性質があると云います。

メッセージを送るには宛先、届ける相手が必要で、僕らは贈与する存在であると共に、贈与される存在としての役割もある。

贈与は贈与されていたことに気づいた時に贈与として現れるので、気づくことが大事であり、気づきを得る為には勉強が必要だと云います。

また、贈与は資本主義システム(交換の論理)と蝶番の関係であり、資本主義の隙間に存在するものだと。

そして最後に「健全な資本主義、手触りのある温かい資本主義を生きること」という言葉が出てくるんですが、健全で温かい資本主義にするために贈与が必要というのがメッセージになります!


謝罪

文が下手だし上手くまとまってなくて読みづらい感が否めない、、悔しい、、

レビューが逆効果になっても困るので、是非本を読んでみてください!w

面白いですから!!


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