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【神道】 神様とは(6) 神様となる条件

この投稿は続きです。よろしければ先に下記の投稿をお読みください。
神様とは(1) ・神様とは(2) ・神様とは(3) ・神様とは(4) ・神様とは(5)

神様となれる人

 当シリーズでは近代から平安時代まで遡り、神様として祀られた人物(人間神)を確認しました。祀られるまでの背景はさまざまでしたが、実は一貫する要素があります。今回の投稿は「神様となる条件」です。
 これを確認するべく、これまでご紹介した神社や人間神をお祀りする神社のご由緒を見てみましょう。

北野天満宮は、天神信仰発祥の社として今から千年あまり前の村上天皇天暦元年(947)、御神託(神様のお告げ)により平安京の天門(北西)にあたる北野の地に菅公をおまつりし創建されました。
その後、藤原氏による大規模な御社殿の造営があり、永延元年(987)に一條天皇の勅使(お使いのこと)が派遣され、国家の平安が祈念されました。この時、一條天皇より「北野天満大自在天神」の御神号を賜り、菅公は「天神さま」としておまつりされ、以後、寛弘元年(1004)の一條天皇の行幸(天皇陛下が直接お参りされること)をはじめ、代々皇室の御崇敬をうけ、国家国民を守護する霊験あらたかな神として崇められてきました。

北野天満宮 御由緒より

徳川家康公は生前、家臣に対し、自分の死後について「遺体は駿河国の久能山に葬り、江戸の増上寺で葬儀を行い、三河国の大樹寺に位牌を納め、一周忌が過ぎて後、下野の日光山に小堂を建てて勧請せよ、関八州の鎮守になろう」(『本光国師日記』より)との遺言を残されました。
この御遺命により御遺骸を久能山に埋葬し、その地に2代将軍秀忠公の命により久能山東照宮が創建されました。
当宮に対しては朝廷の御崇敬ことのほかに篤く、元和3年(1617年)2月21日には朝廷より「東照大権現」の神号を賜り、また同年3月9日には、正一位御追贈の宣下がありました。

久能山東照宮 由緒より

時の東京市市長・阪谷芳郎男爵は先頭に立って広く同志を集め、中央乃木会を組織し、乃木邸内の小社に御夫妻の御霊をお祀りしました。
また、毎年九月十三日にはその御前に祭儀を斎行するとともに青少年への研修会を開催するなど、御夫妻の精神を永世に伝えようという活動が活発に続けられていきました。
大正八年(一九一九)には乃木神社創立の許可が下り、明治神宮創建の後に御造営の事業がおこされ、大正十二年(一九二三)十一月一日に鎮座祭が斎行されました。

乃木神社 由緒より

創建当時、日本は近代的統一国家として大きく生まれ変わろうとする歴史的大変革(明治維新)の過程にありました。(中略)そうした大変革は、一方において国内に避けることのできない不幸な戦い(戊辰戦争)を生み、近代国家建設のために尽力した多くの同士の尊い命が失われる結果となりました。
そこで明治天皇は明治2年6月、国家のために一命を捧げられたこれらの人々の名を後世に伝え、その御霊を慰めるために、東京九段のこの地に「招魂社しょうこんしゃ」を創建されたのです。
この招魂社が今日の靖國神社の前身で、明治12年(1879)6月4日には社号が「靖國神社」と改められ別格官幣社に列せられました。

靖国神社の由緒 より

楠木正成公は後醍醐天皇の勅命を受け、鎌倉幕府の勢力や新たに武家の政権を立て
ようとする足利高氏と戦って正義と忠誠を示されました。
しかし延元元年(1336)に、この湊川の地での足利軍との戦(湊川の戦い)で自刃されました。
その後地元の人々によって、この地に葬られていた正成公の塚(お墓)は大切に守られてきましたが、江戸時代に入り、正成公を非常に崇敬された徳川光圀公によって立派なお墓が建立されました。
このお墓の建立後は正成公を慕い、その精神を拠り所とするため、多くの人々が参詣し、特に幕末には吉田松陰や坂本龍馬など、志士達が訪れました。
明治元年に明治天皇がこの地に神社創祀の御沙汰を下され、明治5年に創建されました。

湊川神社の由緒より

当社は、明治18年10月に三條實萬公を御祭神として創建、別格官幣社に列せられ、大正4年の大正天皇即位式にあたり實萬公の御子實美公が第二座御祭神として合祀されました。
明治2年、明治天皇から「忠成公」のおくり名を賜り、明治18年10月、公の生地である旧梨木町に神社が創建され、別格官幣社の御祭神として奉斎されました。

梨木神社について より

 もうお分かりのことと思います。上記の人間神に共通しているのは、天皇陛下(国家)に神様として祀られることを許されていることなのです。
 全ての人間神に共通するとは言い切れませんが、大きな要因であることは間違いありません。この指摘を持って、当シリーズは終了とします。
 お読み頂きありがとうございました。

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店主略歴

 広告代理店とデザイン会社の勤務を通じて日本文化に関心を持つ。國學院大學へ入学、宗教学(古代神道、宗教考古学)を専攻。神社本庁の神職資格(明階)を取得し、卒業後に都内神社にて神職の実務経験を積む。現在は家業の薬店を経営。登録販売者資格保有。


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