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〈第4回〉 ロゴタイプは体を表す、のみならず

シン八田の友人である本間です。
連日暑いですが、いかがお過ごしでしょうか。


第4回の本番が明日に近づいてきました。


バナーの画像は、第4回のゲストである原田さんを私がフィールドにしている北山杉の里・中川をご案内した時の1枚です。

前職の奈良文化財研究所で北山杉の里・中川の文化的景観の調査が佳境の頃、報告書の表紙のデザインをお願いするため、多忙を極める原田さんを中川に1日ご案内しました。

2018年秋、北山は紅葉が見事なタイミングでした。

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そして2019年3月、京都市文化市民局から『京都中川の北山林業景観調査報告書』が刊行。表紙は明治期の図案を背景にしながら、シンプルだけど背景と呼応するようなデザインの表紙にまとめていただきました。

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ところで最近、2025年の大阪万博のロゴが発表されSNSを中心に話題になりました。

ロゴと言えば原田さんも、今年の夏に金沢に移転・開館した東京国立近代美術工芸館、通称「国立工芸館」のロゴタイプを担当し、ニュースになりました。

記事の引用になりますが、ロゴに込めた意図に、原田さんのものづくりへの敬意と愛が感じられます。

私たちが着目したのは「工」という漢字でした。調査の中で、文化人類学者・竹村真一さんの著作『宇宙樹(慶應義塾出版社)』で「工」の思想/森の思想に出会いました。そこで記述されていた「工芸や人工の“工”という字は、もともと二本の横棒で表現された「天」と「地」を結びつける「人」の営みを表していた」ということに感銘をうけ、「工」という字を丁寧に考えなおすことで、ロゴタイプをつくれないかと考えるようになりました。
工芸作品をよくみていくと、作者の意思が、手の反復する動きによってかたちづくられていることに気づきます。また、その反復から生まれたものを自立させる重力を感じることが出来ます。そういった観点から「工芸」らしい字形を試行錯誤し、上下のラインを支える中心の線に重心を感じるエレメントをつけ、シンプルさの中に力強さとしなやかさをもたせました。
私たちがここで導き出したことは、わかりやすくデザインされたものではなく、ものを人間がつくるという儚さや尊さが感じられるところをデザインしたいということでした。

実は私が代表理事を務める一般社団法人 北山舎のロゴマーク・ロゴタイプも、原田さんにデザインしていただきました。

私たちは、京都の北山という中山間地域を舞台に、文化遺産と言われる建物の保全と活用をしながら、その土地に脈々と受け継がれてきた風景を次の世代に持続させることを第一の目標に活動をはじめています。

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ロゴを送っていただいた時、原田さんからは一枚の画像とコメントが送られてきました。

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北山全体を「舎」と捉える感覚が良いなぁと思って、「舎」をモチーフにデザインしました。山と土と屋根と営み(四角)が一体になったマークです。
こんな感じで版画的につくりました。

北山舎のロゴ、私たち北山舎の理念を的確に理解し、親しみやすい表現でまとめてくださり、私は大好きなデザインです。

名は体を表すと言いますが、ロゴタイプは体を表すのみならず、ロゴタイプはその団体の活動を指し示す道標にもなると私は感じています。
また、ロゴにはロゴ自体が一つの人格を持ったかのように自律する力強さも秘められています。

当然グラフィックはロゴタイプだけではなく、より広くて奥深い射程をもった領域なので、今回の本番では、全国さまざまな土地を飛び回る原田さんがどのように地域や活動と向き合い、咀嚼し、グラフィックに昇華してきたか、その方法論にも言及できればと思っています。

本番が楽しみです。

今回も本番1週間前には学生100枠は完売しました。

ありがとうございます。


U-35チケット、大人チケットはまだ数に余裕がありますので是非お時間のある方はアクセスしてみてください。






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