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ソ連によるフィンランド侵攻。日常に何食わぬ顔して入りこむのが戦争

今回は、とある一般のフィンランド人のツイート(ポスト)を紹介したい。

この方は、フィンランドにソ連が侵攻して始まった、いわゆる「冬戦争」に触れているのだが、突然ソ連軍が侵攻して来た際の市民の様子が興味深いのだ。

「あぁ、こんな感じで戦争が始まるんだろうなぁ」

私はこのような気持ちになった。

ツイート(ポスト)を紹介する前に「冬戦争」について簡単に説明しておく。

冬戦争、フィンランド語で「talvisota」というらしいが、これは第二次世界大戦が始まってから3ヶ月経った1939年11月30日にソ連がフィンランドに侵攻した為に始まった戦争だ。

当時、ソ連はバルト三国に圧力をかけ、半ば強制的に軍事基地を設置し相互援助条約を結んでいたのだが、同じような圧力を受けていたフィンランドは応じずに拒否していた。するとソ連側が無かったことをあったとでっち上げ(マイニラ砲撃事件)、突如フィンランドに侵攻したのだ。

NATOがどうとか、ネオナチがどうとか適当な理屈をつけてウクライナに侵攻した今のロシアと同じやり口だね。

さて、説明はこんなところにしておいて、例のフィンランド人のツイート(ポスト)を紹介しよう。


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●1939年11月、血塗られた5分間が冬戦争の始まりだった。
ソ連の爆撃機が宣戦布告なしにヘルシンキを爆撃し、91人の市民を殺害した。
ヘルシンキへの最初の爆撃は、民間人に対する明白な戦争犯罪であった。

●国境地帯が早朝から戦場となったため、ヘルシンキの市民は戦争が始まったことに気づかずに一日を始めた。

彼らが最初に異変を感じたのは、9時20分に鳴り響いたサイレンの音だった。

●低空飛行のソ連軍機が頭上を通過するのを、多くの市民は驚いて見つめた。爆弾の代わりにビラが投下された。

これらのビラはフィンランド国民に宛てたもので、「今こそ抑圧の束縛から解き放たれ、帝国主義政府を打倒する時だ」と告げていた。

●驚いた首都の住民たちは、これらのプロパガンダのビラにほくそ笑んだが、ヘルシンキにとって最も暗い日が始まったばかりだったため、すぐに笑顔は消えた。

●爆撃機の第1波は標的である混雑したヘルシンキ中央駅を外れ、幸運にもヘルシンキ市街地に表面的な損害を与えただけだった。

民間人3人が死亡、9人が負傷した。

●朝の興奮冷めやらぬ中、ヘルシンキの人々はショック状態に陥り、多くの市民は呆然とし、ある者はブラシを手に被害の後片付けを手伝い、またある者は首都を離れるために荷造りを始めた。

●このような茫然自失の中で、ヘルシンキはその日だけでなく、この戦争全体で最も壊滅的な空襲を受けた。

正午過ぎ、8機のDB-3爆撃機がクロピツァ飛行場から飛び立った。高度わずか400メートルでヘルシンキに到着し、爆弾を投下した。

●その結果、市街地は徹底的に破壊された。

ヘルシンキ工科大学は実質的に消滅し、避難する市民でいっぱいのカンピのバスターミナルは大打撃を受けた。ルーテル教会も打撃を受けた。


●死者は91人、負傷者は240人に上った。

この攻撃の目撃者によると、爆撃機の後方の機銃手も街中に機銃掃射を行ったという。

街頭での機銃掃射の様子は、その日、多くの人々によって記録された。

●最も多くの犠牲者を出したのは、アブラハム通り(Abrahaminkatu)とレーンロティンカトゥ通り(Lönnrotinkatu)の高い角の家を直撃した爆弾であった。数十人の死傷者が運び出された。

●ヘルシンキの最初の爆撃はわずか5分間で終わった。

飛行機はヒエタラハティからバスターミナルに向かって直進し、そこからクルヌンハカまで海に向かって横向きに飛行した。

彼らは主にカンピの住宅街に焼夷弾と爆弾を投下した。

●ヘルシンキへの爆撃は12月1日にも続けられ、数機の爆撃機が開けた場所に集まっていた人々に機銃掃射を行った。

ヘルシンキの6人が死亡した。

対空砲火が1機に命中し、飛行機はムンキニエミに墜落した。

●外国人ジャーナリストが爆撃について報道したため、ソ連の外相ヴャチェスラフ・モロトフはラジオ演説で、ソ連はフィンランドを爆撃していないし、貧しい市民を殺しているわけでもない、と宣言せざるを得なくなった。


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以上だ。

一般のフィンランド人によるツイート(ポスト)なので誤りもあるかもしれないが、しかしヘルシンキの市民たちの様子が何となく伝わってこないだろうか? 

こんな風に、戦争というのは普通の日常に何食わぬ顔をして侵入してくるのだろう。驚き、呆然としている間に街は破壊され死体が積みあがっていくのだろう。

日本の地震がそうではないか。東日本大震災にしても石川の地震にしても、普通の日常が突然引っ繰り返され悪夢へと変わってしまうのだ。

備えあれば患いなし。とりあえず我々日本人が始めなければならない事は、ロシアと中国は日本の隣国で、どちらも帝国主義的野望を持った覇権国家だという事実をしっかり認識する事だろう。

遠くない未来、中国とロシアが日本に侵攻してくるかもしれないのだから。



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