『蜩ノ記』人生で大切なことは生きる長さではなく、志を果たすかどうか。

どうも、大関( @nobooknolifeso)です。

夏休みの宿題といえば、自由研究や算数ドリルといったものを思い出すけど、なかでも嫌だったのが読書感想文。いや、自主免除していたんだけどね……。

そんな僕も、今では月10冊〜15冊程度は書籍を読むようになりました。

自主免除していた分を取り組もう! それが #大人の読書感想文 です。

『蜩ノ記』(著 葉室麟)を読みました。この物語の主人公は檀野庄三郎です。庄三郎は、奥祐筆を務めていましたが、城内で刃傷沙汰を起こします。本来であれば切腹となるところでしたが、家老の中根平右衛門に命じられて戸田秋谷がしている家譜作りの手伝いをすることになります。その家譜作りと一緒に家老から課せられたのは二つ。まず一つは、戸田秋谷の監視。もう一つは家譜の中で七年前の側室不義にまつわる一件がどう書かれているかを確かめ報告することです。

この物語での重要人物である戸田秋谷についても触れたいと思う。秋谷は、郡奉行から江戸表の中老格用人となるが、七年前の八月に事件を起こして失脚。向山村に幽閉されています。その事件というのは、側室と密通し、そのことに気づいた小姓を切り捨てたというものです。
本来なら家禄没収のうえ切腹となるところですが、秋谷が家譜作りに取り組んでいたため、十年後の八月八日を切腹する日と期限を切って、家譜編纂を続けるよう命じられます。

庄三郎は、死の恐れを見せず淡々と過ごしている秋谷を不思議に思います。庄三郎の胸の内を察した秋谷はこのように語りかけます。

「ひとは誰しもが必ず死に申す。五十年後、百年後には寿命が尽きる。それがしは、それをあと三年と区切られておるだけのことにて、されば日々を大切に過ごすだけでござる」(頁29)

庄三郎も切腹しなければならなくなることが恐ろしくてたまりませんでした。しかし、命を区切られた秋谷と接するうちに、志が果たされるのであれば、命を絶たれることも恐ろしくはないと思うようになります。

人は、命の期限を定められたからといって、これまでの人生や、これからの生き方が変わるわけではないのです。むしろ、死ぬまでに何をすべきかが生きていくなかで大切なことだと気付かされました。

#読書 #蜩ノ記 #葉室麟 #読書感想文

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