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ドラマや映画の中に出てくる本の装丁が気になってしかたない 5

「わたし、気になります!」

映画とかドラマに出てく架空の本の装丁が気になってしかたない。
って記事を過去何度か書きましたが、かなり久しぶりのこのシリーズです。

ドラマとか映画を見ていて、ちらっと出てくる「本」の小道具。
見つけてはせっせとメモしているのですが、なかなかまとめる気力がなくて…未整理のままたくさんたまってしまった。
このままだと完全に埋もれて終わるので、印象的だったものを少しずつまとめていきます。
もう時間も経ってしまって、詳しい内容を忘れてしまったのもありますが、掘り起こしながら思い出して、少しずつやっていこうと思います。

今回はいまさら2021年編です(一部2020年の取りこぼし作品もあり)。


○ドラマ編

ドラマ「親バカ青春白書」

2020年…3年前じゃん!!
ムロツヨシ演じる主人公のお父さんが、娘の大学生活が気になって同じ大学に通っちゃうって親馬鹿ドラマでした。そのお父さんムロツヨシが小説家という設定。
たまたま主人公と友達になった中川大志演じる大学生が、お父さんのファンで、家にはお父さんの著作が神棚のように飾れていているという第2話。
その部屋がこちら。
どれも本当によく作り込まれているし、意外にタイトルロゴが作り込まれていたり、手間暇かけている。ちなみに第5話ではこの本を使って神経衰弱のような遊びをするシーンもありました。

特撮「仮面ライダーセイバー」

これも2020年。
ドラマというか、特撮。仮面ライダーなんですが、本をテーマにしたシリーズだったんで必然的に「本」が出てきます。そして主人公はライダーシリーズでたぶん初めての職業「小説家」兼「本屋の店主」。主人公が出版した本がこれ「ロストメモリー」ファンタジー界に革命を起こす1冊。

ドラマ「あのコの夢を見たんです」

これも2020年。
南海キャンディーズ・山里亮太原作の妄想短篇をドラマ化したもの。その第10話。元モー娘。鞘師里保がゲストの回。書けなくなった小説家(という設定の山里亮太)が、もう会えなくなってしまった女性との思い出を記すため再びペンを取るという話。出版された本が「天使の恩返し」。書体に使ってるのは「TAm-candy」。このドラマあまり注目されてなかった気がしますが、けっこう好きでした。途中1話だけ滝沢カレンと山里亮太がただしゃべるだけの回があって、「天才」が2人揃うとヤバいなと思いました。

ドラマ「恋する母たち」

これまた2020年。
第8話で架空の小説が出る。吉田羊演じる主人公の夫・林シゲオ(矢作兼)が、息子を題材にして書いた本がベストセラーになる。タイトルは「エシャロット」。奥には以前の著作「水平線と僕」がチラ見えしている。このドラマコロナ禍初期に作られたドラマながら開始時の作中の時間を少し昔に設定して、そこからコロナ禍、コロナ明けまで描いていたり、けっこうよくできたドラマだったなと思う。

ドラマ「書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活」

2021年1月期のドラマ。
売れない脚本家と売れてる小説家の夫婦。売れない脚本家にたまたま舞い込んだドラマの脚本の仕事。学園もののはずがなぜかヴァンパイアものに?そして売れっ子小説家の妻に舞い込んだ仕事もヴァンパイアもので…というわけでヴァンパイアの資料として登場する本がこれ。「ヴァンパイア物語〜蘇る恐怖の歴史〜」。監修に名前があるジョニー・バートンは、ジョニー・デップとティム・バートンのミックス? きっと「ダーク・シャドウ」ですね。

ドラマ「ウチの娘は、彼氏ができない」

これも2021年1月期のドラマ。
菅野美穂演じる主人公の職業が恋愛小説家。そのデビュー作が「空の匂いをかぐ」。恋しくて、胸が痛くて、大号泣。な小説。見いだされたのは大学生の時。彼女を育てた編集者を演じるのが有田哲平演じる編集者。恋愛小説をヒットさせ、いまはえらくなって編集長になっている。

ドラマ「レンアイ漫画家」

2021年4月期ドラマ。
主人公が 鈴木亮平演じる「刈部まりあ」のペンネームで少女漫画を描く漫画家・刈部清一郎。代表作が「銀河天使」という大人気漫画。以前も1回紹介したんですが、表4(裏側)の解説までしっかり書かれていたり、連載されている「少女モーニング」もかなり完成度の高い仕上がりなので、追加で再度紹介してみた。

雑誌の裏の広告

ドラマ「リコカツ」

2021年4月期のドラマ。
色んな意味でぶっ飛んだドラマだったんですが、北川景子のお父さん役が途中交代したところのドラマ内説明は、なかなか強引でチャーミングでステキだった。そんなこんなで好きなドラマなんですが、主人子の職業がファッション誌の編集者で、途中から文芸部に異動になるんで、いろいろと架空の本が登場する、架空本ファンにも嬉しいドラマでした。
まず1話目。北川景子の母親「奇跡の美魔女・水口美土里」演じるのは三石琴乃(ミサトさん!)が、出した本。なんか色んな意味で情報量が多すぎてクラクラする。「“奇跡”に変わる美魔女習慣」。

4話で文芸部に異動になる主人公。
彼女が担当することになる売れっ子の恋愛小説家が出している本がこれ。若者に絶大な人気で、恋愛のカリスマと言われる著者によるベストセラー本。「この想いはいつか忘れられない憶いへ」。ドラマ内に登場する恋愛小説は、空の写真を使った装丁が多いです。

文芸部の同僚編集者に勧められる渋い小説

ドラマ「桜の塔」

2021年4月期。
警察内部物。複雑な話でしたよね。4話で出てくるのが「プロファイリング」という本。すごく80年代を感じされるようなレトロな書体の使い方。古い雰囲気もありつつ、なんか異様な感じもあって、けっこうこの装丁好きなんですよね。実際の本ではなさそうなんですが、ありそうな感じがいい。ちなみにこのドラマ、8話で昔住んでた横浜の鴨居の橋の下がロケで使われていたり、細かなところが好きなドラマでもありました。

ドラマ「イチケイのカラス」

映画化もされたシリーズ。最終回に架空のマンガが出てきます。「ジャスティスヒーロー」というマンガ。顔がなんか主人公の竹之内豊ですよね。劇場版もなかなか面白かったです!

ドラマ「トーキョー製麺所」

本というか雑誌なんですが、最終回に文芸誌が出る。「小説つばる」。栁俊太郎演じる青井春翔が書いた小説「鬼殺し毒へび」が掲載される。「小説、意味わかんなかったです」ってみんなに言われる。

ドラマ「ラジエーションハウスⅡ」

こちらも雑誌というかガイドブックなんですが、7話でラーメン好き末期癌患者が病室に持ってきてた「ラーメンガイド首都圏」。あれ?これ本物?なふつうにありそうな感じ。いや、これ実際にあったのかも…。

ドラマ「SUPER RICH」

2021年10月期。
3話に出てくる架空のマンガ本。10年新作を出してないマンガ家・北別府Kの有名なマンガ。まだ電子化されてないこのマンガに電子書籍編集部が目を付ける。

9話には登場したのは「包みの中身」

ドラマ「じゃない方の彼女」

2021年10月期。
濱田岳演じる冴えない既婚の大学准教授(妻は小西真奈美)が、山下美月演じる魔性の女子大生に一目惚れされてしまって…という、うらやましいような、怖いようなような話。YOU演じる主人公・濱田岳の母親が恋愛小説家。彼女の著書が「愛の蟻地獄」。この時期のドラマ、登場人物に恋愛小説家が多すぎ問題。

8話に登場した「地獄のかげろう」

ドラマ「相棒 season20」

6話が架空本回。相棒はだいたい架空本が絡む話が毎クールある気がします。福山光一郎というベストセラー作家が、自宅で刺殺される。現場から消えた新作の最終回の原稿。未完小説に仕掛けられたナゾを巡るはなし。出てくる架空の小説にはそれぞれ作家が仕掛けたルールがある。そしてその小説の装丁がそれぞれしっかり作り込まれている。相棒の架空装丁は毎度クオリティがすごい。さすが相棒!なところだ。

当時の人物の名前が全て戦国時代の武将という小説「死神のアルゴリズム」
登場人物の名前が銀座の高級クラブのホステスの名前という「殺しの甘く芳しい香り」
登場人物が早元出版の社員の名前という「薔薇の棘と毒」
登場人物が長野県の地方都市の町名と駅名の「消えた殺人者とカナリア」
新作「運命の来たる日」が連載されていた雑誌「ジャパンミステリー」。連載最終回を掲載する前に作家は殺された


ドラマ「99.9刑事専門弁護士完全新作SP」

2021年末に放送された劇場版につながる「完全新作SP 新たな出会い篇」で登場する杉咲花演じる新米弁護士が愛読しているマンガ「ロボット弁護士B」。なんかこの辺の設定がとても逆転裁判っぽいですよね、このドラマ。ちなみにこの架空のマンガは劇場版ではもっとたくさん出てきます。

○映画編

映画「ずっと独身でいるつもり?」

田中みな実演じる主人公のライター本田まみが、作中で10年前に出版してヒットした著作「都会というサバンナで一人で咲く花になろう」。略して「トカサバ」。

映画「偶然と想像」

3つの短篇オムニバスのうちの2話目で登場する本「サントロペの虹」。この話、ずっと密室でこの本を朗読するってだけの話なんですが、むちゃくちゃ緊張感あって、ドキドキして、そしてちょっと残酷で、でも運命の面白さもあって、めちゃくちゃ面白かった。

映画「聖地X」

記憶が具現化するという世界で、曖昧な記憶が生み出したこの世に存在しない小説。「わたしはゾンビと海を歩いた」。見たことある装丁。デザインモチーフは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」です。そして「私はゾンビと歩いた」という映画も存在します。それらが混ざって生み出された作中の妄想架空本なのかもしれません。

映画「青葉家のテーブル」

市川実日子演じる小さな中華料理店を経営するカリスマ料理人・国枝知世の著書3冊。架空本とは思えないクオリティの高さ。おしゃれな映画はこういう細部の作り込みもすごい。けっこう好きな映画です。

左「好きなものだけですみません」
人の意見よりはまず自分が「好きなもの。」 初のエッセイ集 待望の文庫化
真ん中「いとおしい日々の記録」
右「ちょっとだけプレミアム」
大切なのはほんのちょっとのおもてなし 小さな中華料理屋の人気の秘密

映画「まともじゃないのは君も一緒」

これだけ2020年の映画ですが、確認できたのが配信されてからだったので。冒頭、主人公(清原伽耶)が憧れの青年実業家(小泉孝太郎)のところに彼の著書を持って会いにいく。「働かなくてよくなる時代に私たちはどう生きるか」「シンギュラリティ2018ー2045年」はタイトルがわかるが、最後のは読めない。

映画については、もっとメモは取ってるんですが…その後確認できてない作品がけっこうあります。いつかチェックします。

そして、疲れた…。
2021年をまとめただけでけっこうな数になってしまった。

もう疲れたので、つづきはまた今度。
と言いたいのだけど、2021年は架空装丁ファンをうならせた最も大事な作品があったので、それを紹介して今回はシメにします。
その作品は…

ドラマ「婚姻届に判を押しただけなのに」

このドラマ、色んな意味でハラハラするドラマで、その詳細は省きますが、最大の注目ポイントは清野菜名演じる主人公の設定が27歳デザイナーというところです。デザイン会社で主に書籍のデザインをしている設定。つまり架空の本が作られる過程がドラマになっているのです。

まず第1話。
主人公が装丁のデザインをする話が展開されます。
企画書を渡される。

「ズボラ女子の自炊生活」という本。
「時間がないのでイメージをすり合わせたい」と編集者がオーダーを出してくる。
ようは「マネろ」というやつです。
↓レイアウトはこれをマネして、

↓配色はこれをマネして、

↓タイトルのフォントはこれを使ってくれと

いったい、これをミックスしたらいったいどんな装丁になるんだ…。

そしにしてもなんて具体的な発注だろうか。
かなり親切な編集者だ。

しかし
「これじゃパクリじゃん!」と怒る主人公。

そしてオーダーに反発してオリジナルのデザインを制作すると意気込む。
「明日まで!?なら徹夜してやる!!」精神。

なんとこのドラマ、実際のデザイン制作過程が描かれる。
文字と要素を配置する。
一応この時点でなんとなくオーダーされた色だけは守っているが、候補にしている書体はオーダーされたものとは違ってるし、レイアウトも違う。
それにしても候補にしているフォントふくめ少し心配になるデザインセンスだ。

それが徹夜してこうなる。
・・・・大丈夫か、これ?
そしてもちろんオーダーには一切応えていない。
この1案を作るのに徹夜する。
…くらいに主人公はでデザイン初心者なのだろう。
そう思うしかない。

原作にも同エピソードは登場するのだけど、そちらは新人漫画家のコミックの装丁で、新人だから冒険できないので売れ筋のデザインをパクって欲しいと言われた主人公が「それパクリじゃないですか!」と憤慨する話になっている。

で、このデザインの結末がどうなるかは、ぜひドラマでご確認下さい。

主人公には熱狂的に好きな作家がいる。
丸園ふみ先生。
ノスタルジックな世界観を描く大御所作家。
いつか彼女の本の装丁を作るのが夢。

2話で登場する「あどけないおとどけもの」

そして第6話でその丸園先生の本をデザインするチャンスに恵まれる。
タイトルは「1507号室の魔女と12の恋の物語」

装丁案を作ってオフィスを訪れる主人公。

タイトルを間違えている案がある気がするけどスルーしておこう

「方向性は悪くないけど、ありきたりね」
と作家本人からやり直しを言い渡される。

ちなみに丸園先生のオフィスには過去の著作や受賞トロフィーなどが並んでいる。

やり直す主人公。手書きでラフを起こし、

作り直して持っていく。

よくなった、のだろうか…。
また丸園先生と対面打ち合わせをする。
それにしても編集者を介さず、著者とデザイナーが直接装丁デザインの打ち合わせをするなんて、なんてエキサイティングな本作りの現場だろうか…わたしは怖くてそんなことできない。
この装丁の結末がどうなったかは、ドラマ本編でご確認ください。

さて、このデザイン。
おせじにもよくできているとは言いがたい。
ハッキリ言ってうまくない。
ただ1話目でつくっていた「ズボラ女子の自炊生活」に比べたら、ジャンルの差もあるとは思うけど、デザイナーとして少し前進しているのが感じられる。

そして驚いたのが10話、最終回だ。
「妻がデザインした本です!」と主人公の夫が仕事関係の人に見せる本がこれ。

「熱帯魚と少年」小宮山智香

す、すごい。デザインがしっかりしている。とても同じ人が作ったとは思えないほど飛躍的に成長している。

つまにこのドラマ、じつは主人公が人間として成長しつつ、しっかりデザインのスキルも上げていたことを小道具を通じてしっかり描いていたのです。
そういう裏テーマのあるドラマだったのかと、最終回を見て感心しました。

それにしてもこのドラマ本筋に関係のないところで小道具の本がたくさん出てくる架空装丁好きにはたまらないドラマでありました。

4話に登城したイラスト素材集「かわいく使える!日常イラスト集」
6話に登場した小説「海の街はそれでも青い」


おまけ:アニメ篇
細かな説明は省きますが、2021年アニメで見かけた架空本の装丁を少しだけ。

アニメ「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら」

最終12話に登場。
主人公が読む本「苦しみをパワーに変えて進もう」

アニメ「吸血鬼すぐ死ぬ」

2話に登場。通称「ロナ戦」。自伝の第1巻。詳しくはこちらを

アニメ「さんかく窓の外側は夜」

1話に登場。主人公のバイト先の本屋で。

アニメ「見える子ちゃん」

4話に登場。書店にて。


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