【エッセイ】自転車日本一周記４

ジャグリングと日本一周

日本一周にはもうひとつ。ちょっとしたサブミッションがあった。全国のジャグリングサークルを巡ることだ。

ジャグリングってあれだ。道具を使ってパフォーマンスをするやつ。大学生からの趣味のひとつだったのだ。それが続いていたし、日本を周るにあたってそういったサブイベントもあってもいいなと思っていたのだ。

そしてみんなが思っている以上に全国でジャグリングの練習会というものは開催されている。

しかし、これが日本一周しながらだと参加が結構難しい。練習会というものはそれなりに多くあるのだけれど、その日にその場所にいるというのが難しかったのだ。

考えれば分かることだが、こういう練習会はその県の中心で行なわれることが多い。人が多いところでないと成り立たないのだから当然だ。
そして、人が多いところっていうのはその範囲はどうしても狭くなる。自転車で走っていればあっという間ってことだ。
　
だから、最初に都合があったのは出発開始から一週間後。
場所は栃木は宇都宮だった。

結果としてその練習会にはひとりしかいなかった。そういうことはよくある。マイナーなものなんてそんなもの。特にジャグリングっていうのはひとりで練習できてしまうのだ。

実際このひとりで練習できるっていうのに助けられたことはたくさんある。日本一周中はどうしたって時間が有り余る(特に夜)。そんなときはとりあえず練習しておけば楽しかった。その場に偶然に居合わせた人との会話のきっかけにもなった。割と相性のいいものだったのだと今でも思っている。

で肝心の練習会だけれど。その参加者の方と散々話しもしたし盛り上がりもした。東京で行なわれるイベントについての情報も得られたし、連絡先も交換した。そして、さんざん練習して。普通に解散した。それこそ、また来て下さいね。くらいの感じで。

日本一周と切り離されたその時間の過ごし方は楽しかった。でも、たしかに日本一周しなかったらあの時間がなかったのだと思う。

まあ。残念なことにその彼との再会は果たされていない。調べたら練習会は大きなものへと変化したみたいだ。もしかしたら彼はいないかもしれない。でも行ってみたいとこれを書いていて思った。