見出し画像

僕が「玉とくぼみ」デバイスでなく粘弾性デバイスを推すワケ

人工椎間板の種類は大きく分けて2つあります。

「玉とくぼみ」型と、粘弾性タイプとです。


右手でグーを作り、左手で右手を包み、右手をグリグリ動かしてみてください。それが、「玉とくぼみ」型椎間板の動き方です。360度自由に動くというわけですね。


ですが動きすぎても困るのです。


人差し指を、後方に反らしてください。人差し指の第三関節が痛くなりそうになるくらいまで反らしてください。

なぜ痛みが出るのか?それは、体が「これ以上は動かないようにできているんだからやめておけ」というサインを痛みとして出しているんです。人差し指も、360度ぐるぐる動き回られたら困ります。

椎間板も同じです。360度リミッターなしに動きまくったら椎間関節に負担がかかる恐れがあります。

この動画をご覧になればそれがよく分かると思います。一番最初に出てくる人工椎間板が、90年代から長く使用されてきた人工椎間板「ProDisc-L」です。

ダウンロード (1)

ですが私は、先述の「360度制限なしに動き回ってしまう」点を懸念していたため、ProDisc-Lは選択肢から外していました。

僕が選んだ人工椎間板は、粘弾性デバイスの代表格「LP-ESP」です。

画像2

2005年に人工椎間板置換市場に出回り始めたLP-ESPは、昨年私が手術を受けたアンドレアス・シュミッツ医師のお墨付きのデバイスです。「2020の現状では、このデバイスが一番だろう」と。

この粘弾性デバイスであるLP-ESPとProDisc-Lとの大きな違いは、LP-ESPはグリグリ色んな方向に動かないことです。

動きにリミッターが付いているのです。「ここまでは動いていいけど、これ以上は動いちゃだめだよ」といった具合に。

無理に後ろに反らしすぎず自然な可動域で人差し指を使うように、人工椎間板もまた、360度動き回れればいいのではなく適度にコントロールされた可動域が必要です。


ADR外科医で、7000症例以上を誇るベテランのベルグ医師は、インタビューの44:40あたりで、「粘弾性デバイスのほうが玉とくぼみ型(ここではmechanical prosthesisと呼んでいる)より天然の椎間板の動きに近い。あと10年も経てば玉とくぼみ型のデバイスは市場からなくなるだろう」と。


僕はまだ健康な頚椎を持っていますが、仮に頚椎ヘルニアになってしまった場合には、迷わずLP-ESPの頚椎バージョン、CP-ESPの人工椎間板置換を希望するでしょう。


いかがでしたでしょうか?

デバイスの特徴や口コミ、仕組みや不具合の報告など、患者側もしっかりと考えてデバイスを選ばなければなりません。

外科医の経験と患者の学ぼうとする努力があって初めて、最高の手術の結果が得られると僕は信じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?