見出し画像

労働保険に加入しなければいけないのか?加入しなかったときの3つのデメリットを社労士が解説

社長を全力で応援する社労士の下村です。

最近若い社長さんとお話しさせていただく機会が多いのですが
社会保険に比べて労働保険に加入する必要性がわからないという声を聞きました。

今回はなぜ労働保険に加入しなければならないのか?
加入しない場合のデメリット3つを社労士目線でお伝えします。


〇そもそも労働保険とは?


労働保険は従業員さんと雇用したときに必ず加入しなければならないと法律で決まっている保険です。
正社員、アルバイト、パートといった働き方に関係なく、労働保険は必ず入る必要があります。

労働保険に加入すると勤務中に働いていた従業員さんがけがをした時に
労働保険から病院に支払うお金を払ってくれたり、従業員さんが働けない期間の給与補償まで労働保険がカバーをしてくれます。

社長さんから
「仕事中のけがは健康保険証は使えないの?!」といったご質問をいただきますが
仕事に関連するけがや仕事に向かうための移動中のけがや交通事故の場合は健康保険保険証は使用できません

ですので、労働保険に加入していない時に事故が起きると従業員さんはご自身で医療費を全額負担する必要があります。

けがをした時は従業員さん自身が医療費も全部支払い
さらには働けないので給与ももらえないという状況になります。

生活が苦しい従業員さんが労働保険に加入されていない会社を労働基準監督署に訴え
監督署から会社へ連絡があって慌てて労働保険に加入するといったケースもあります。

けがをされた従業員さんの会社へのイメージは当然悪くなりますし
ほかの従業員さんも「会社は入らなくてはいけない保険に入っていないんだ…」と考え
最悪の場合、従業員さんの一斉退職といった事例もおきています。

そうなったときの経営へのダメージは深刻です。
会社さんによっては従業員さんがいないので開店休業状態に追い込まれることもあります。

労働保険は従業員さんだけでなく会社も守ってくれる保険なのです。

〇労働保険に加入しないデメリット① 「従業員の採用時に圧倒的に不利になる」



他社の求人情報欄の福利厚生に「労働保険加入済」「各種社保完備」といった文言を見られたことはありませんか?

労働保険は働く人をひとりでも雇うときには絶対に入らなくてはいけない保険です。

こういった文言を求人募集欄に記載しないのは法律上に決まっている保険をうちの会社では入りません!と求人者にアピールしているようなものです。
(大きい会社さんだと入っていてあたりまえなのであえて書かれていない場合もありますが…)

働く人が労働保険に入っている会社と入っていない会社のどちらを選ぶかは…
最後まで書かなくてもきっと伝わると思います。


〇労働保険に加入しないデメリット② 「追微金を支払う可能性がある」



追徴金(ついちょうきん)は労働保険に加入しなくてはいけない会社が労働保険に加入していない場合に
会社が支払わなくてはならない労働保険料に上乗せして請求されるお金です。

「労働保険を加入しなくてはいけないのは知っていたけど、忙しくてできなかった!」
「加入しないという気持ちがあった場合ではない!」

と訴えたとしても知らなかったではすまされないとして
本来払わなくてはならない保険料に上乗せして保険料を多く支払うよう指導される可能性があります。

ちなみに追徴金は納付すべき保険料・拠出金の10%も支払う必要があります。

手続きが遅れたことによって本来支払わなくてはいいものを払わなくてはならないなんて…となる前に早めに手を打たれることをおすすめします。


〇労働保険に加入しないデメリット③ 「会社の入らないという意志とは関係なく最終的には強制加入になる」


保険なんてお金かかるし入らない!と決めきってしまい労働基準監督署からの連絡も無視していると
最終的には強制的に労働保険に加入することになります。

悪質だと判断されれば、労働保険に加入しなかった期間中に従業員さんが怪我をした時の医療費も全額会社が負担することになります。
さらにデメリット②でお伝えした追徴金も請求されるというかなり重たい罰金になります。
(もちろん労働保険料も過去2年間さかのぼって請求されます)


お金がかかるし手続きもよくわからないからやらない!で突き通してしまうと
当初きちんと支払っておけば負担することがなかったお金まで請求されるようになります。
ここまでなってしまう会社さんは珍しいですが、労働基準監督署からの連絡は無視せず対応し
場合によっては専門家に相談されることをおすすめします。

○最後に

会社を設立して社会保険は社長さん自身の健康保険証に関わることなので早めに取り組むかと思いますが
ご自身に影響が少ない労働保険は後回しにしがちだと思います。

ですが後回しにしている最中に勤務中のけががおきるとその処理に対応が遅れ本業が疎かになりがちです。

ひとりでも雇用したら労働保険は絶対に加入!とこの機会に覚えていただければと思います。
ちなみにですが、労働保険の加入のための書類の提出期限は
最初の従業員さんを雇用された日の翌日から10日以内
です。

初めての従業員さんを雇うという大仕事の最中に待ったなしで期限はきますので
従業員さんを雇用するときに手続きはどうするのか先に考えておくことをお勧めします。

手続きをする時間が惜しい方や労働保険料の計算方法がわからないといった場合は私の方でも初回無料でお話を聞かせていただきますので
ホームページの問い合わせフォームからご連絡ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?