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ハラル料理にビール? PCR検査が待つバンコクへ

バングラデシュからタイのバンコク経由で帰国する。バングラデシュ南部のコックスバザールに滞在していたときは、意識も薄くなっていたが、新型コロナウイルスの感染が収束したわけではなかった。日本の新規感染者数は1日2000人を切っていたが、その後、爆発的に増えることになる。タイ入国にはまだタイランドパスが必要だった。そして日本に帰るにはPCR検査の陰性証明。それらを通過していかなくてはならない。そして帰国後、僕は新型コロナウイルスに感染してしまう。「コロナ禍の旅」は、これが最後という感覚だったが、その終わりに⋯⋯。その帰国旅を写真と文章で紹介する。1回目はコックスバザールからダッカの空港、そしてバンコクまでを。

旅の期間:6月19日~6月20日
※価格等はすべて取材時のものです。

ダッカの渋滞がはじめる前に空港に着く?

(旅のデータ)
これまで南部のコックスバザールからダッカに戻るときはグリーンラインの夜行バスか飛行機にしていた。問題はダッカの大渋滞だった。グリーンラインのバスが到着するターミナルから空港までの間に渋滞に巻き込まれると大変だった。飛行機にすることがあったのはそのため。しかし今回はENAの夜行バス。ターミナルが空港の先にあるため、渋滞がはじまる前の早朝、空港前のバス停に着くという話だった。さて、そううまくいくか。ENAのバスは1800タカ、約2592円.

渋滞に巻き込まれずにダッカの市街地を抜けた

(sight1)

乗ったENA社のバスの車掌は、コックスバザールに向かうときと同じ人だった。僕のことをわかってくれていた。「空港で降りたい」。そう伝えると、しっかりと頷いてくれた。深夜の午前零時にトイレ休憩。その後、1回の休憩があり、3回目の休憩は早朝の5時20分。すでに明るい。バスはダッカの入口にさしかかっていた。渋滞前に空港に着きそう?

(sight 2)

朝もやなのか、空気の汚れなのかわからいダッカの街をバスは進む。まだ渋滞ははじまっていない。このまま行ってくれれば⋯⋯。コックスバザールからやってくると、ダッカはやはり大都会。街全体が工事状態のなかに放り込まれる。バングラデシュのエネルギッシュな混沌が一気に蘇ってくる。
 
(sight 3)

空港には7時前に着いた。渋滞に巻き込まれずにダッカの市街地を抜けることができた。ほッとひと息。空港ターミナルに入るには少し早いので、歩道橋を渡ったところにある店で少し休むことにした。歩道橋から眺めると、建設途中の高速道路。次に来たときは、この先までのびているかもしれない

紅茶は5タカ、約7円だった

(sight 4)

歩道橋を越えたところにあった店に入った。7時前だというのにこのにぎわい。カレー風味の炊き込みご飯、ビリヤニをもりもりと食べている。ラカイン料理から突然、ベンガル料理の世界になる。寝不足の体には、油っぽいビリヤニはちょっと⋯⋯。チキンサンドを頼んだのだが⋯⋯。
 
(sight 5)

ミルクティーも頼むと、「ない」という。そうだった。ベンガル料理の世界では、食事と一緒にミルクティーは飲まない。もっぱら水。高級な店に入ると、ミルクティーを頼めるのだが。頼んだチキンサンドを手に、歩道橋下で店を出すチャイ屋で紅茶を買う。値段は5タカ、約7円。うれしくなる安さ。

ダッカの空港は、飛行機を利用しない人たちでいつも埋まっている

(sight 6)

空港に向かうことにした。近くの歩道橋を渡ろうとすると、「おお─ッ。エスカレーター」。つい写真を撮ってしまった。これまでショッピングモール内でのエスカレーターは乗ったことがあるが、屋外の歩道橋は⋯⋯記憶を辿ってみても、エスカレーターが浮かんでこない。ダッカは変わります。

(sight 7)

ダッカの空港ターミナルに向かう。正面が国際線ターミナル。左側に国内線のターミナルがある。以前はかなり厳しいチェックが行われていた。ターミナルに着くまでに数か所の検問。そのつど荷物やボディーチェック。最近はその種のチェックはほとんどなくなった。政権は安定している? 一応。
 
(sight 8)

空港ターミナル内に食堂はほとんどない。売店程度だ。イミグレーションを抜けるとあるのだが。国内線から国際線に乗り換える際、時間があると、食堂を探してこのあたりをうろつくことが多かった。8時前。もうこれだけの人。搭乗客ではない人たちで常に埋まっている⋯⋯それがダッカの空港です。

(sight 9)

見えるのは到着階の出口。バングラデシュにやってきたり、帰国した乗客はここに出てくる。そこを埋めているのは出迎え、そして客引き⋯⋯。このポイントは24時間、いつも人で埋まっている。隣に新しいターミナルが建設中だが、建物が新しくなっても、この人だかりは消えないはず。きっと。

インドと東南アジアに挟まれた国の生きる道

(sight 10)

空港ターミナルに入った。チェックインフロアー。なんとなく3年前よりきれいになった気がするが、たぶん気のせい。チェックインがはじまるまで2~3時間待つことが多いが、欠点は蚊がいること。隅の椅子に座ると、かなり刺される。中央あたりに座ること。ダッカの空港でのすごし方のコツです。
(sight 11)

就航便はコロナ禍前には戻っていないと思うが。飛行機の目的地を見ると、その国の経済的なつながりの濃いエリアがわかる。バングラデシュのそれはやはり中東。東南アジア路線の倍以上の就航便がある。難民支援、国内インフラの借款⋯⋯。そのあたりも中東寄り。新空港も中東便の増加を見込んでのことだと思う。それが、インドと東南アジアに挟まれた国の生きる道?

独立50年。ラーマンのブースもつくられていた

(sight 12)


チェックインを終え、免税店フロアーに。3年前となにも変わらないような気がする。コロナ禍の嵐が吹き荒れ、就航便もほとんどなくなってしまった頃は、免税店も閉まっていたのかもしれないが。魅力的な商品が並んでいないのも、3年前と同じ。
 
(sight 13)

昨年、バングラデシュは独立50年を迎えた。そして初代大統領、ムジブル・ラーマン氏生誕100年も同時に。それを記念するブースが免税店ラウンジにつくられていた。ラーマンはアワミ連盟をつくり、投獄、弾圧といった苦難のなかで、バングラデシュ独立の路線をつくった。最後は暗殺される波乱の人生だったが。

ハラル料理を食べながらビールがんがんのバングラデシュ人

(sight 14)

タイ国際航空でバンコクに向かう。この時期、ダッカとバンコクの間はLCCが未就航。タイ国際航空がいちばん安かった。乗客の大半はバングラデシュ人。それがわかっているのか、出される機内食にも「HALAL」の文字。というのに、バングラデシュ人はがんがんビールを頼む。イスラムの矛盾を抱えながらのフライトです。
 
(sight 15)

バンコクのスワンナプーム空港に到着した。7月から廃止されることはすでに発表されていたが、この時期、まだタイランドパスが必要だった。はたしてスムーズに入国できる? その先の日本はPCR検査の陰性証明を課していた。バンコク滞在の目的はその検査。もし陽性が出ると、10日間の隔離。コロナ禍の緊張はまだつづく。
 
【次号予告】次回は10月7日の公開。さらに緩められるタイの入国規制を前にするバンコク。そしてPCR検査⋯⋯。



新しい構造をめざしています。