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お客様も企業様も神様たり得ない

毎度のことですがくだらないお気持ち表明です。

某オンラインサロン(月額会員制)で私が主催者に意見したところ、発言内容が他の複数の会員の怒りに触れてお気持ち表明されました。そこで失言があったのは事実なので素直に認めて謝罪文を貼り反省しましたが、あなた方もちょっと違うんじゃないの?と思うところがあり腑に落ちませんでした。

そのサロンでは鉄道会社側の人間が主催者を務め、利用者(マニア)側の我々は会費を払って限定コンテンツを利用したり、企業側と客側が近い距離感でやり取りする事が出来ます。しかし、現状では後者の特性がほとんど活きておらず、主催者から提供されるコンテンツを消費するだけのユーザーが大多数を占めています。そういう人にとっては私みたいに特権を全力で活用して色々活発に提案したり物申したり評価したりする奴は目障りな邪魔者みたいです。

会費を対価として特権を得るのは理にかなっていますが、活用せず享受するだけなら双方向コミュニケーション媒体を使う意味がないとは思わないんでしょうかね(・・?
与えられた権利をどう使おうが個人の自由ですが、文字通り金をドブに捨ててはいませんかね?我々は企業から提供されるサービスを無批判に享受する隷属的な消費者であるべきなんでしょうか?

一般的にマニアが個人の趣味で鉄道会社に関わる(乗る、撮る、収集するetc.)以上、会社側から言われた事には素直に従うのが前提とされます。鉄道もバスもマニアのために運行しているわけではないので、会社の主要な客層である一般の利用者を優先しなければなりません。これは事実です(だから私は駅を撮影地と思っていないし可能な限り沿線に出て撮ります)。しかし、会社がマニアのためのサービスを提供するとなれば話は違ってきませんか。マニアを相手に商売するなら、マニアの需要にある程度は応じなければ支持されません。マニアからの支持が得られないとその事業は失敗し、結果的に会社の損失になります。せっかく時間と金と人員を割いたのに期待した効果がなければ不利益ですし。

ちょうど同じタイミングで、大宮でこんな事態が起きていました。わかりやすい例として挙げます。


鉄道会社(とりわけ大手)はマニアが喜ぶような事をした結果、つけあがったマニアによって痛い目に遭い、そういうサービスをしなくなった歴史があります。誰でもアプローチできるコンテンツには夥しい数のマニアが寄り付いて秩序が失われてしまうのが現状です。ちょっと珍しい電車が走ると駅構内が大パニックになる光景も見慣れてしまいました。
しかし彼等は近年になって新たな形でマニアの需要に応え得るサービスを提供し始めました。JR東が「撮り鉄コミュニティ」と銘打って鳴り物入りで始めたような、課金制・定員制などの制約によって増えすぎたマニアを選別して良質な顧客に特権を与える形態です。JR東の田端運転所で初めて有料撮影会を開催すると、マニアから注目を浴びて高く評価されました。すると各鉄道会社がイベントやツアーを企画し始め、今や定着しつつあります。

すると徐々に、会社から提供されるコンテンツの質を求める傾向が現れました。そして先程挙げた例のように、大枚叩いて参加したマニアが会場で損するケースが発生する事態が時折見受けられるようになりました。また、開設当初は大きな注目を浴びていたJR東の「撮り鉄コミュニティ」は機能不全に陥り、見切りをつけて退会する者が相次ぎました。
そしてSNSで惨状を嘆く投稿がされ、拡散されると各方面から賛否両論・玉石混淆・的外れなものも的確なものも様々な意見が寄せられました。よく見るコメントはこんな感じでしょうか。

  • 高額な参加費を取っておいて酷い有様だ

  • 車両や人員の手配を考えれば妥当な費用だ

  • マニアは会社側に期待しすぎている

  • 会社側はマニアの求めるところを理解していない

  • 与えられた条件の中で楽しみなさい

その中でも私を含め多くの鉄から特に反感を買う言説は、

”機会を提供してくれてるだけありがたいと思え”

です。

無料ならまだしも、有料コンテンツでその理論は通じませんよ。確かに会社の厚意で成り立つサービスかもしれません。しかし最近になって始まり定着したという事は、裏を返せばマニアを相手に商売をしないと利益が出せないぐらい鉄道業界は追い込まれているのではないでしょうか?JRもコロナ禍で利用者が激減して赤字経営と言われています(最近再び黒字転換したというニュースを聞きましたが)。運賃収入だけではどうにもならず仕方なくヲタク相手の商売をする、的なスタンスならマニアの気持ちなんぞ一切考えない杜撰なプランが出来上がるでしょう。マニアの心理を毛ほども知らない人間ばかりが企画陣に集まっている事もあり得ます。
そういう体制は電車を餌にマニアという金づるを捕まえるような気持ちでやっているに違いありません。マニアを相手にビジネスをする事自体は大いに支持します。しかしこういうスタンスの金儲けはビジネスというよりは単なる搾取です。そんな体制の企業に敬意を払えますか?一部の方々は会社を過度に神格化していませんか?お客様は神様ではないかもしれませんが、企業様も決して神様ではないんですよ。

冒頭の記述を繰り返しますが、わざわざマニアを相手にビジネスをするのであれば、彼等の心を掴むようなコンテンツを提供できなければ成功出来ません。鉄道業界においてこの形態のビジネスは駆け出しも駆け出しで、会社側も利用者側も不慣れな部分が多いです。かつてのマニアがお客様は神様理論でつけあがったように、企業も神様扱いされると徐々につけあがって来ないとも限らないです。マニアは企業からより良いコンテンツを購入するために、思うところがあれば積極的に意見していった方がいいのです。それが会社に良い刺激を与え、やがてマニアへと還元されて行くのです。ヲタクビジネスはそうやって循環して行くのです。双方とも決して思い上がる事のないように。自戒も込めて申し上げます。

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