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春の始まりの記録

最近はぐんと暖かくなりましたね。

近所のお宅の丸い植木鉢には、薄紫の葉ボタンと絵の具で塗ったような濃い紫と黄色のパンジーが寄せ植えされていました。まるで美容院から帰ってきたかのように整えられていました。

車道には、汚れた軍手がピースサインの形のまま、ぺちゃんこになっていました。

床屋の螺旋看板(?)は相変わらず回り続けています。昔から回っているのでしょうか、かつては白かったであろう部分は黄ばみ、螺旋状に絡み合う赤いすじと青いすじも心なしか草臥れた様子でした。

街路樹のコブシが、クリーム色の小さなつぼみをつけていました。そして少しだけ、花びらが解けていました。

細い骸骨のように枝だけ広げていた紫陽花には、鮮やかな黄緑色の葉っぱが生え始めていました。まるで、枝の先にぽつぽつと緑の薔薇が花開いているようでした。

人間のあれやこれやも素知らぬ様子で、季節は変わりゆきますね。鮮やかな色の溢れる春が来ました。ようこそ、ゆっくりしていってくださいね、と言いたくなりました。

春の始まりのとある一日の記録でした。

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