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親の介護は突然やってくる(要介護4の父と要介護5の母)

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突然訪れた親の介護。いつか「やっと終わりました!」って投稿が出来るまで。
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#親の介護

病床の人間の心理と思考

全く異なる目的で選んだ本だったんだけど、思わぬ感情に触れてしまったのでこの場所でメモしておく。 闘病中の家族を看病する側の人に読んでもらいたい。いや、父を看病し見守っていた頃の自分に読ませたい本でした。 簡単に本の解説をすると、レース中に大事故に合ったレーサーが死の淵に立たされるけれども、大手術を繰り返し退院して日常生活を取り戻そうとするまでの話を、事故に合った本人が綴っている。 この本で初めて出会ったのが、極限に置かれた病院患者の心理を分かりやすい言葉で残している表現。

墓に入ることと子世代の無宗教観

僕個人としては無宗教であるのだけれど、宗教を気嫌いしているわけではなくて仏像彫刻や人の心理的な影響としての存在は興味を持っている。美術的な視点や哲学的な観測みたいな学問的な難しいものではなく、もっとカジュアルな立ち位置。仏師知らないけどこの彫刻カッコいいな程度。 我が家は祖父母の代から檀家となってるお寺があり、なにかしら寺イベントがあれば祖母はお寺の厨房を仕切ったりしていた。これがまた大人数の食事を賄ったり、偉いお坊さんの食事や形式的なルールなんかも把握してお膳を用意したり

僕の日常に親がいなくなった話

父親の死後、淡々と業務的な手続きが進んでいく。急かされるままに葬儀や49日、年金の手続きやケータイの解約。さまざまに生きていた証みたいなものをひとつひとつ「死」というインクで塗りつぶしていく感覚。あまり心地よいものでもないけれど、特に忌み嫌う感じでもない。 自分の日常生活の中で「あ、父は死んだのだ」と思う瞬間は少なく、父を思い浮かべたとしても「死」が共存している感じもない。実家を離れて生活していく中で、いつのまにか父は「遠くに存在しているもの」として認識していて、それは亡く

介護が終わる時に何を思うのだろう

母の要介護5が付いて3年くらいなのかな。その間にも友人知人の家族が亡くなる話を見ている。SNSは友人知人の生活が見えてくる。 悲しみの報告につくコメントはお悔やみの言葉。そんな投稿に僕だけはコメントを入れられない。「良かったね」って言葉しか思い浮かばないから。 嫌味で言うのではなくて、「あっと言う間だった」って話には、素直にそう思う。本人に苦しみがあったとしたら辛いけれど、家族も本人も苦しい時間が少ないこと。そしてそんな大切な家族を恨んだり、嫌いになる気持ちが出なかったこ

年寄りを敬えとは?

昭和後半生まれは道徳の授業でもテレビの中でも「年寄りは敬うもの」「年寄りには知恵がある」と教えられてきた。今はそれほどじゃないと思うけれど、無条件で年寄りを大切にしろと言う。 それはどうかな。 人として相手と接する上で年齢って関係ない。自分が尊敬できる相手には敬意を持って接すればよいし、話が合わなければ相手にしなければ互いに都合よいもの。 敬う:相手を尊んで礼をつくす。尊敬する。 だから、ただ単純に「年寄りだから」と敬う必要は無い。敬うって無条件で出来ることじゃないよ

勝手な父

父が母の在宅介護などをするようになって、それが父の唯一の生きがいとなった。連れ添ったパートナーこその愛というのではなく、母の世話をすることで自分の仕事を見つけ出したというか、役割を見出した様だった。 僕と姉の意見は同じで「あまり仲良くなかったのにね」と。 父は、寝たきり状態となった母を自宅での世話をしていたけれど、その状況を垣間見るにあまり良い環境とは言えなかった。イラつく父の怒る声や、動きが鈍くなった母を急かす声は夜にも聞こえてきた。 母の介護を母のためにではなく、父

父の見舞いへ

いつ手が空くかわからないから、ちょっとしたタイミングで実家に向かった。高速はそこそこ流れてて、向かう移動時間は1時間。滞在時間は15分。 呼吸は苦しいらしく、完全に肺の機能が低下しているのが素人にも判る。酸素チューブを付けているけれど、音を聞く限りもの凄い強さで送られている。数値としてはspO2は80を下回る。単位はわからないけれど、調べてみると90越えが正常らしい。看護婦が度々確認をしながら、更に酸素を強めに調整してようやく90近くになった。 相変わらず肌がかゆいという

なんでもない風景

先日イケアに行った。欲しいものは特に無くて、一通り見た後にレジ先のスペースでホットドックを食べた。 隣では小学校に上がる前くらいの女の子二人がお父さんと楽しそうにソフトクリームを食べていた。 その二人がキャッキャ、キャッキャと両手をベタベタになりながら夢中になっていたんだけれど、ある瞬間に突然そろって目線がレジの方向へ。 そこにはお母さんとすぐに分かる女性が会計を終えてこっちに向かっていた。女性は子どもと目が合った瞬間にとても幸せそうな優しい微笑みを二人にむけた。 この

介護の目的って実際なんなんだ?

介護に関わる家族は一般人。だけどこの「一般人が介護する」って情報で有益だと思ったものがあまり見当たらない。 話題になりがちなのは、老老介護に多いんだけど「介護を楽しんじゃえ」みたいなもの。これは全く共感出来ないでしょ。暇人ならそれでも良いけど仕事抱えてるのよ。40代。自分の生活に他人の都合を介入させたくない。それが例え親であっても。 悩みは原因となる問題をクリアにすることが大切。介護の原因となる問題は不自由となったまま生き続ける人の存在。更に、介護って終わりが見えない上に