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日本のサウナ人口がめっちゃ真面目に推計されていて驚いた(No.4)

こんにちは。関東某所でリサーチャー兼データサイエンティスト、もとい、なんでも調査屋として働くおっさんです。

某所のサウナの情報を検索したら、私のアカウントに「家庭用サウナ」のウェブ広告が表示されるようになりました。
集合住宅の片隅に住む私としては、「置き場所無ぇし」と思うと同時に、
このニッチそうな商品の広告はペイするのか?
そもそもサウナ好きはどれだけいるんだ?
という疑問が生まれました。

そこで徒然なるままに、日本の「サウナー人口」を調べてみました。
コンサルとか広告代理店が好きそうな話題なので、何かしら発表されているだろうと思いまして。予想通りありました。
日本サウナ総研(一般社団法人 日本サウナ・温冷浴総合研究所)さんが発表されている調査のプレスリリースが見つかりました。
なんと日英2か国語併記!気合いが伝わってきました。

日本のサウナ実態調査2023(※)

日本のサウナー人口は1681万人


同調査では月4回以上サウナに入る人を「ヘビーサウナー」と定義。2022年度(調査時点2023年1月)のヘビーサウナー数の推計は、288万人。
日本の総人口の約2.3 %(総務省統計局「人口推計2023年(令和5年) 1 月 報」の概算人口より筆者算出)でした。
また、月に1回以上サウナに入る人を「ミドルサウナー」と定義。2022年度のミドルサウナー数の推計は548万人。ヘビーサウナーと合わせると836万人。
さらに年1回以上サウナに入る人を「ライトサウナー」と定義。ライトサウナーまで含めると、2022年度の日本のサウナー人口は1681万人。
「あ・な・た~もサウナーさん、わたしもサウナーさ~ん♪」
と口ずさみたくなるくらいのサウナー人口です。

サウナー人口推計(サウナ総研「日本のサウナ実態調査2024」より画像抜粋)

サウナ総研では2016年度から年1回の調査を続けており、長期的にサウナー人口は減少傾向であることが見て取れます。
ヘビー・ミドルサウナーの減少幅はライトサイナーによりも小さいですが、世の中の『サウナーマーケティング』は、冷静に見たほうが良さそうです。

家庭用サウナのウェブ広告が出てきたことに納得

サウナー人口が掴めたので、家庭用サウナのウェブ広告について粗い見積をしてみます。
ヘビーサウナー288万人の0.01%(1万人に1人)が家庭用サウナを購入すると仮定。私にウェブ広告を出してきた家庭用サウナの最低価格29万円に基づくと、8,352万円の売上になります。おお、結構大きい。
売上の2%をウェブ広告費に充てるとします。見積もりがしやすいDSP広告(インプレッション広告)を仮定し、広告表示1000件あたり250円の広告料がかかるとすれば…約668万回ウェブ広告を出せます。


私はサウナに入らない月もあるものの、ビジネスホテルに連泊したら朝晩2回はサウナに入る程度のサウナー感なので、同調査におけるミドルサウナーに該当するものと思われます。前掲のとおり、ヘビー・ミドルサウナー人口は836万人。なのでヘビーサウナーと一部のミドルサウナーに広告を出せるくらいの広告費をかけてもペイしそう!
上掲のウェブ広告回数は保守的に見積ったので、
私のアカウントに家庭用サウナのウェブ広告が出てきたのも頷けます。

サウナー人口の推計がガチだった!

私が仕事の合間に楽しませていただいた、「サウナー人口」の推計。
バイリンガルでリリースを出すだけあって、調査集計も結構ガチでした。
まずサンプル数。毎年1万人に調査しています。この調査規模を継続しているあたりに、サウナ総研の気合を感じます。
サウナ人口の推計にあたっては、総務省統計局の人口推計を基にウェイトバックしていました。
ウェイトバックとは、いくつかの属性(おそらくこの調査では性・年代・地域のうち1~3つの属性)について調査回収サンプルにおける比率と実際の人口構成比から係数を出して補正する手法です。

さらに2022年以前の調査リリースや、サウナ総研ウェブサイトに掲載されていたレポートを見ると、都道府県ごとに調査サンプル数の割付もしている⁉
割付とは、予定する調査サンプル数の内訳が人口構成比に合うように、特定属性の回答数をコントロールする手法です。
ある程度のサンプル数の確保、サンプルが実世界(母集団)と乖離しないような回収(割付)、サンプルと実世界が微妙に擦れた時の補正(ウェイトバック)の手順から、「まじめな調査設計をしているな」と思いました。

世の中には、民間企業・団体による「○○人口は何人」のような推計結果がたくさんあります。
中には怪げな調査をしていたり、その調査設計で推計したら精度粗々じゃないの?というものも多いです。
さらには人口減社会なのに超右肩上がりな○○人口…それってホントですかね💦みたいなものもちらほら…。

精度が粗い推計を根拠にビジネスプランや売上予測を考えるのは、曖昧な仮定の上で考えを進めることに他なりません。
仕事や私生活で参考にするときは、注意したいものです。

※サウナー総研の公式X(旧Twitter)によると、2024年調査は4月以降公開予定とのことでした。今年もガチな調査結果がまちどおしいですねー。

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