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【開催レポート】第20回市民ゼロポイントブックトーク※当日レジュメあり

第20回市民ゼロポイントブックトーク

開催日:2023年7月16日(日) 於:松本市中央公民館

紹介した本:東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』(ちくま新書、2022年)

紹介者:上原(企画運営委員)

参加者:12人(企画運営委員含む)

当日のレジュメはこちら↓

企画概要については告知ページをご覧ください

開催レポート

今回は取り上げる本が『聞く技術 聞いてもらう技術』ということで、テーマを『聞く・聞いてもらうについてあれこれ話す会』として、途中本書の解説を挟みながら、「聞く・聞いてもらう」ことを参加者全員で考え実践するような形の取り組みとなりました。

前半は本書の解説に先立ち、まず参加者それぞれが考える「聞く・聞いてもらう」ことについて話してもらい、以下のような意見が出ました。

看取り士の講座として二ヵ月に一度、死と向き合う事=生と向き合う事のお話を数年来続けてきている。看取り士は(死を迎える本人に最期まで寄り添うために)話を聞くことがとても大切。講座でも参加されている一人ひとりのお話を聞いている。

特に女性から話を聞いている時に、問題解決のための提案をすると「私の話を聞いてない!」と言われる。女性は問題を解決するのが目的ではなく、ただ話を聞いてもらう事が目的である場合が多いのだろうか?

私は自分の意見や話を聞いてもらうよりも、人から話を聞くことが多いがその中で感じるのはみんな話を聞いてもらいたがっているということ。そこに性差はないと思う。

話をする人は誰かに、ではなく、自分自身に語りかけているのだと思う。話を聞くときは共感し、その人に寄り添い、その人自信が答えを導き出せるようにしている。

天にも届く塔を立てようとした罰として人々を分断させるために言葉がつくられたというバベルの塔の話を思い出す。小さなムラ社会、コミュニティーの集まりである社会の中で、違うコミュニティーの相手には話が通じないと思うことが多い。

インタビューを書き起こす事が多い。その中で、現場での言い間違いや言葉と言葉の間にその人の過去の経験や歴史の重さが現れると感じる。

「聞く」より「聴く」方が難しく重要だと言われてきていたし、自分でもそう思っていた。レジュメで示されているように本書の中では「聴く」より「聞く」の方が難しいという。そこに興味をもった。

その後本書の解説として、「聞く」と「聴く」について、普段意識せずとも出来ている「聞く」ことが出来なくなった時にこそ、「聞く」ことがとても難しくなること(まえがき)、その原因や対処法として「聞いてもらう」ことの必要性(第一章)の説明と「孤独」と「孤立」の違いについてや「孤立」を「孤独」に回復することの重要性(第二章)についての説明をしました。

休憩をはさんで後半は、「孤立」と「孤独」についてそれぞれが思う事を話したのち、周囲の人が聞こうとし、本人も聞いてもらう事を恐れなくなっている「場」の必要性とその「場」をつくるための方法(第三章)、そしてその「場」を社会に広げていくために必要な、第三者として話を聞くことを、あなたから始めてもらいたい(第四章)という説明のあと、フリートークを行いました。

全体を通して、「一人でいられる=孤独」ことは、人としての条件であり、能力であり、権利であることを改めて学びました。
そして、「聞く」「聞いてもらう」ことやその連鎖が、人それぞれの「孤独」を支えるために必要なのだと感じました。
ゼロポイントがそうした「場」のひとつでありますよう、願う次第です。
(加藤)


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