マガジンのカバー画像

ひび

539
日々のことについて文章を書きます。
運営しているクリエイター

2020年11月の記事一覧

ファンシーチョコレート

お歳暮でモロゾフのファンシーチョコレートというのを貰ったので開封すると、色とりどりの一口チョコが並んでおる(合計18個)。どれも可愛らしい顔をしておる。歓喜した自分は早速ちょこっと食べた。濃厚な甘さが口の中いっぱいに広がり溶けていく。急いでホットミルクティーを沸かして、啜り、頬張り、啜り、また頬張り、一服した。非常にファンシーな晩飯であった。いつの間にか半分無くなっていたので、蓋をして、残りは明日

もっとみる

なまくらの道

毎日チョコレートを禁止にして野菜中心の食生活プラス夜のジョギング、という決まりを設けたのはもう随分前のことで、かねてからの三日坊主はその健康的な暮らしをしっかりと三日で終えた。さぞ無念を浮かべているのか、というと、そうでは無い。ボテンとした醜い腹をさすり、今日から筋トレしよっかな、などと言いつつ、もしゃもしゃチョコレートを平らげていて、無念どころか反省の欠片も無い様子である。

自分は昔から、興味

もっとみる

完璧

喫茶店が好きな小娘を後ろに乗せて、おれは坂道をチャリで爆走するのだ。寝坊のせいでもう日暮れ、だからどうした、関係無いよ、寺の向こうに夕陽が見える。少し寒いが、平然とペダルを漕いで、確かあのへんの角を曲がったところ。小娘は何も言わずに荷台に座り、ただ、おれの服を掴んでいた。ア!警察だっ。二人乗りあかんよー。即座に降りて、無言で俯きながらチャリを押し歩く。大阪の警察は適当だから、大して怒られない。通り

もっとみる

去勢

応援してください!なんて、言うなよ。政治家じゃあるまいし。応援してます、なんて死んでも言うなよ。他人に応援されるようなこと、何もしてないぜ。嬉しいことに、周りにそんなことを言ってくる人はあまりおらず、楽しみにしてます、ばかりである。てめえの超個人的欲求な感じで、素晴らしいと思う。はは。是非、勝手に、楽しみにしておくれ。ぼくはその期待を見事に裏切るから。

皆の期待に応えることほどつまらぬことは無い

もっとみる

きみにジュースを買ってあげる

こないだ、知り合いの漫画家の個展へ行く途中に、商店街の文具屋で色鉛筆を買った。外国製の、12色入りのものである。個展を開催していた小さな店に入ると、生憎知り合いは不在であった。BGMが格好良い歌だったので、店主に、これは誰の歌ですか、と聞くと、フクオカシローさんです、と言われたので、後で調べようと思った。結局知り合いとは会えず終いで、差し入れ、というか贈り物の色鉛筆は店主に預けておいた。

それか

もっとみる

誰か

気持ちに偽り無く、ただ、ひたむきに誰かを想う。

素晴らしいことじゃん、とヘソ出しギャルは言うけれど、これはこれで結構辛いものがある。誰かを真っ直ぐに想い続けることは、時に苦しいのだ。それは祈りのようなものかもしれぬ。我々は誰かに想いを馳せながら、胸を躍らせたり、溜息をついたり、涙を流したりする。

有象無象の顔たちにはぼんやりとモヤが掛かっていて、その中にひとつだけくっきりと見える顔がある。あぁ

もっとみる

伝説の下心

先日、久しぶりに本屋で新刊の本を買った。早川義夫の「女ともだち」という、最近発売されたものである。内容は、さまざまな恋の話と、そして、去年癌で亡くなった、しい子という奥さんについての話。とても素直で切ないエッセイであった。恋の純情に年齢など関係無く、そして純情とは時に変態的であり、非道徳的なものだ。

早川義夫のイメージといえば、やはりジャックスの頃のオドロオドロしい歌だろうか。バンドを即解散して

もっとみる

どうかしている!

今日は漫談家の街裏ぴんく氏に呼ばれて、漫才をした。どでかい立派な劇場で、個別の楽屋にはトイレも風呂も蛸飯もあって、笑った。昼間の公演だったため、自分は欠伸を堪えるのに必死だったが、蓋を開けると非常に濃密な笑いのライヴで、目が覚めた。

街裏氏については、自分がちょうど2年ほど前に書いたnoteがあり(何と!本人も読んでくれたらしい。恥ずかしかった)、漫談はYouTubeにも色々と上がっているので、

もっとみる